アフィリエイト契約について

アフィリエイト契約について

今回は、アフィリエイト契約について検討する。アフィリエイトは、比較的、誰でも簡単に始めることができるため、ちょっとしたお小遣い稼ぎの目的で始める方もいると思われる。

そこで、アフィリエイトを行う際に注意しておくべき事項を検討する。なお、本コラム中の意見にわたる部分は、すべて筆者の個人的見解であり、筆者の所属組織とは無関係である。

アフィリエイト契約とは

  1. Webサイトやメールマガジン等において、広告主である企業サイトへのリンクを張り、閲覧者がそのリンクを経由して当該広告主のサイトで会員登録したり商品又はサービスを購入したときに、広告主からリンク元サイトの主催者であるアフィリエイトに対して一定の報酬が支払われる広告手法のことをいう。


  2. アフィリエイトの仕組みとしては、商品又はサービスに関連した情報を掲載するWebサイトやメールマガジンが主な対象媒体となるので、広告主にとっては、自身の商品又はサービスに関心を持つ層へと容易に到達しやすいメリットがある。また、売上に応じて媒体側であるアフィリエイトへの報酬額が決まるため、これまで現実社会において行われていた成果とは無関係の広告と比べ、費用対効果が高いサイバー社会での新たな広告手法といえる。


  3. アフィリエイトに対する報酬額としては、広告のタイプによって、例えば、次のように定まっているのが通常である。
①クリック:1クリック毎に1円ないし5円の報酬
②契約締結:5%前後の報酬
③会員登録:100円前後の報酬
④資料請求:1,000円前後の報酬

アフィリエイト契約の法的性質

アフィリエイトは、上記のとおり、広告主から提供される情報及びプログラムを用いて、自己のWebサイトを構築したり、ブログやメールマガジン等において、広告主へのリンクを貼ったりすることを行う。

まず、アフィリエイト側の債務として考えられるものは、基本的には、Webサイトやメールマガジン等において、広告主より提供された広告を設置することである。

これに対して、広告主側の債務として考えられるものは、閲覧者にリンクをクリックされたとき、又は契約が成立したとき等の一定の支払条件が達成された場合にのみ報酬を支払うというものである。

アフィリエイト契約が、広告主と閲覧者との間の商品又はサービス提供に関する契約を媒介している点をとらえるとすれば、商法上の仲立契約(商法543条)としての法的性質を有するといえるし、アフィリエイトが単に自己のWebサイト、ブログ、メールマガジン等において、広告主へのリンクを貼る点をとらえるとすれば、準委任契約(民法656条)としての法的性質を有するといえる。また、閲覧者によるクリックや契約締結等の結果が発生してはじめて、アフィリエイトの報酬が発生する点をとらえるとすれば、請負契約(民法632条)としての法的性質も有しているといえる。

結局のところ、アフィリエイト契約は、サイバー社会において、新しく生まれた契約類型であり、民法や商法に規定されている典型的な契約には当てはまらない無名契約と考えられる。

なお、民法は、13種の契約を規定しており、この13種の契約に当てはまる契約類型を有名契約(典型契約)といい、この13種の契約に属さない契約類型を無名契約(非典型契約)という。

実際のアフィリエイト契約の解釈に際しては、原則として、アフィリエイトと広告主との間で締結した契約内容にしたがって解釈されるが、もし両者の締結した契約の内容に不完全な部分や不明瞭な部分がある場合には、上記の仲立契約、準委任契約又は請負契約等の規定のうち、争いになっている場面に適した条項を利用して解釈を行うことになる。

アフィリエイトの責任

アフィリエイトには、閲覧者を広告主のサイト等へ導いて、広告主の提供する商品又はサービスの契約締結を促し、アフィリエイト報酬を得ようとするインセンティブが働く。

そして、一般的に、広告主から商品又はサービス提供に関する写真等は、広告主から提供されるとしても、商品又はサービスに関する説明文は、アフィリエイトの側で作成することが多いと考えられる。

上記インセンティブが正常な形で表れている限りでは問題ないものの、商品又はサービスに関する説明文をアフィリエイトの側で作成することが多いことから、アフィリエイトが、例えば、閲覧者からのクリック数を増加させるために、商品又はサービスに関する誇大な説明を記載したりするような誇大広告を行うような場合や、商品又はサービスに関する説明を行う際に、第三者の著作権や商標権等の知的財産権を侵害したり、アフィリエイトが広告主の機密情報や個人情報を不正に利用・漏洩するような危険性もある。

このように、アフィリエイトが広告主から独立した広告掲載手法を取り、上記のような広告主の予期しない広告がなされる危険性があることから、アフィリエイト契約において規定がない場合であっても、無名契約の解釈として、アフィリエイトと広告主との間には、アフィリエイトのWebサイト、ブログ、メールマガジン等における広告に際し、善管注意義務(民法644条)があると考えるべきである。

つまり、アフィリエイトが、アフィリエイト報酬を得るために、誇大広告を行ったり、広告において断定的判断の提供を行ったりした場合、当該行為は、広告主に対する善管注意義務違反を構成することになり、アフィリエイトは、広告主から、損害賠償責任を追及される可能性があるということである。

また、広告をするためのアフィリエイトのWebサイトにおいて、第三者の著作物や商標を無断で使用したりした場合には、著作権法違反や商標法違反の責任も当然生じることになる。

さらに、アフィリエイトが広告主の機密情報や個人情報を不正に利用・漏洩した場合にも、善管注意義務違反を構成することになる。

アフィリエイトは、比較的、誰でも簡単に始めることができることや、閲覧者を広告主のサイト等へ導いて、アフィリエイト報酬を得ようとするインセンティブが働くことから、アフィリエイトとしては、軽い気持ちでやったことが、結果的に誇大広告や違法行為になってしまうことがあり得る。アフィリエイトを行う際には、十分注意をすることが必要である。

インターネット上での表示・広告については、拙著である「インターネット上での表示・広告規制」(http://keiei-online.jp/column/cat103/post_147.html)も参考にしていいただきたい。

広告主の責任

アフィリエイト契約の基本的な考え方としては、広告自体がアフィリエイトのWebサイトやメールマガジン等においてなされているため、アフィリエイトと広告主とは、あくまで独立した事業者として、商品又はサービスの広告を行っていることになる。

したがって、アフィリエイトの行った商品又はサービスに関する広告等について、広告主が責任を問われないのが原則である。

しかし、広告主は、アフィリエイトに対して、広告主の商品又はサービスに関する購買促進のための表示・広告をしてもらうことを予定しており、閲覧者との間で契約締結できたような場合にアフィリエイト報酬を支払うことになっている。

このように、アフィリエイト契約が、もともと表示・広告に関して、アフィリエイトに任せる構造を採っていることに加え、広告主は、アフィリエイトのWebサイトやメールマガジン等を把握することのできる立場にあり、内容を調査・確認した上で是正を求めることもできる立場にある。

それにも関わらず、広告主がアフィリエイトの不当な商品表示、断定的判断の提供、誤った情報提供がなされているときに、それを知ることが出来るにもにもかかわらず、それを放置したと評価できるような場合には、広告主は、閲覧者に対し、不法行為に基づく損害賠償請(民法709条)を負うことがあるといえる。

また、場合によっては、アフィリエイトによる表示・広告等が、広告主自身による表示・広告等であるとみなされ、広告主が特定商取引法又は景品表示法の責任を負う可能性も生じうると考えられる。

例えば、東京地裁平成20年10月16日判決(先物取引裁判例集53号352頁)は、アフィリエイトによる「100%の勝率と、月間利益率25%以上」との外国為替証拠金取引に関する説明が断定的判断を提供するとして、広告主の損害賠償責任を認めている。

以上のとおり、広告主が自身の商品又はサービスについてアフィリエイト契約を利用する際には、アフィリエイトが誇大広告を行ったり、違法行為を行ったりすることのないよう、定期的にアフィリエイトのWebサイトやメールマガジン等の内容を確認する必要があると考えられる。

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山根 義則(やまね よしのり)

弁護士

1972年福岡県生まれ。1996年九州大学工学部情報工学科卒業。2006年弁護士登録。2007年九州大学大学院システム情報科学府情報工学専攻博士後期課程に飛び級入学。暗号理論と情報セキュリティの研究に従事し、その後弁護士となる。弁護士として、事業再生、M&A、税務訴訟、住民訴訟、知的財産コンサルティング等の案件を扱う。研究者としては、電子商取引、電子マネー等の情報セキュリティに関する研究に従事する。法律と技術との架け橋となること、クライアントのニーズに対して戦略的解決を図ることに注力している。

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