お金を払って食事をするという愉しみ

お金を払って食事をするという愉しみ

「何言ってるの?当たり前でしょ!」
そうですね、外食するのだから、お金は掛かります。
前回まで、ホールサービスや、売りメニュー等に関して、お話させて頂きました。今回は、「売上げやお客様をどうやったら・・・」というお話しとは別の路線で書かせて頂きます。
とは言っても、全く無縁のお話ではありません。

当然の事ながら、外食しに行くのですから、「美味しいお店・サービスの良い店」に行きたいですよね。同じお金を払うなら、美味しいほうがいい、それは当たり前の話。店側もですが、私達お客側は、どうなのでしょうか?食事を愉しんでいるでしょうか?

お客側にも愉しむ為にもマナーや作法というものが無くてはならない、また、ある意味のルールがあり、必要だと私は思います。箸の持ち方だとか、ナイフ・フォークの使い方とか・・・勿論それは、基本ですが、それともう一つ特に男性に言いたいのが、「作法」です。料理と料理人に対する配慮です。高級店に限らず「食」という席で通用する「作法」は、双方が気持ちよく刻を過ごす為のものではないでしょうか。

何で、ワザワザ、気を使ってまで、飯食わなければならないの?と思う方もいらっしゃるでしょうが、私は、そうは思いません。気を使うのではなく、配慮なのです。これは、同席している人にも相通ずる事であろうと思います。作法の出来る人は、店側も一目おきます。「この人、ちゃんとしてるな!無作法は出来ない」と、緊張感が出ます。私が言いたいのは、無理に格好をつけても食事は美味しくないです。無理に格好をつけるのではなく、常識的な配慮を身につけてほしいのです。

では、無作法なお客さんは、どんな人? 何点かあげてみましょう。
  1. 予約もせず、入店してきて「どれくらいしたら入れるの?」とか他にお客様がいるのにもかかわらず、大きな声で聞く。
  2. 案内を待たずに、勝手に座ろうとする。
  3. 香りが強い香水・整髪料をつけている。
  4. タバコを吸う時、隣客がいるのに断らず吸う。

最低限この4点くらいは、やめて頂きたい。

逆にこの事くらいが、出来なくて大人と言っていいのでしょうか?作法の出来る人は?勿論上記の逆がそうですが、それ以外では、2点をあげさせて頂きます。

1.レディーファースト
 相手が、女性であれば誰であろうと、席を引いて先に座らせるくらいの配慮。
 上座には、基本女性を座らせるべき。

2.会計
 もし女性が一緒なら、彼女が中座した時に済ませる。
 いかにも「私が払う」みたいな行為は、NG
 現金ならキャッシャーで払い、カードならテーブルで支払うのがスマート。

食事の最後の〆は、支払うスタイルです。
これは、後輩・部下・接待でも、かなり好感が持てます。
ここまで、ちゃんとすれば、最後まで美味しい食事となります。

話しを戻しましょう。
お金払えば、何やってもいいなんてそんな人は、仕事も、たいした事ないと私は思います。それを実感した事があります。それは、私が、まだ20代前半の頃、仕事関係で、ある女性社長と食事をする機会がありました。

上司と私と先方4名で、ある和食店に行った時です。お座敷で仕事の話も宛ら、忘れもしません、コース料理内の「つぼ鯛の焼き物」を食べていた時、私は魚の「皮」が苦手で、それを お皿の角に、避けて食べていました。

女性社長 「あなた、そのお皿見て御覧なさい、綺麗とはいえないわよね?」

藤田    「???」

女性社長 (私の「つぼ鯛」のお皿を見て)

       「こういう時はね、皮に皆敷(かいしき)をのせて隠すの!そうすると器が綺麗でしょ!」

藤田    「皆敷とは、何でしょうか?」

女性社長 「皆敷って、料理を盛り付ける時の葉物や菜物の事を言うのよ。」

女性社長 「男性はね、食事の仕方で、裁量をはかられるわよ!チマチマ食べてもダメ! 品無くガツガツ食べてもダメ!スマートにさり気無く、そして男らしく!食事作法が、出来る人は、仕事も出来る!あなた、まだ若いのだから、こういう事も勉強と思って頑張りなさい」

そして、帰りがけに「偉そうな事言って、ごめんなさいね」と言ってくださいました。社長は、あの一言を言ったとき、一瞬曇った空気になったことを悪かったと思われたのです。

でも、私は、思いました。
全く偉そうには感じなかったのです。決して上から目線ではなかったし、むしろ、優しさすら感じました。今、思い出しても、もし私が、同じことを言ったなら同じ空気感で言えただろうか?人に嫌事を言うのに、ああいう雰囲気で言えるなんて、未だに凄いと思えて、しかたありません。

その帰路に上司は、「わし勉強になったわ!お前に言ったのは、わしにも言ってるんだよ。今まで、飯食いに行って、そんな事気にもせんかった!」と重ねて言っていました。

それから、「マナー・常識・粋・無粋」とは、何だろう?と思っていました。この世界に入って20数年、やっとわかりかけてきた事が、「作法」なんだと。作法は、お互いに、いい意味で緊張感を持たせ、お互いを愉しませてくれます。

お金を払うから、作法が生きる! 外食するから、お金を払う!
大人なら、こういう愉しみ方を今後に生かしましょう。

配慮ができ、場の雰囲気をよみ、会話をしながら食事を取る。だからこそ、本音を言い合ったり、仕事の話にも深みが増してくるはず。そういう人物は、仕事が出来ると実感してます。
仕事だってそうですよね。場の雰囲気、配慮、そして会話!
「あの人、ちょっと違うね!あの人と食事をすると楽しい!接待には必要な人物!」
と評価も上がるし、自分自身もスキルが上がります。
食を通して、ワンランク上の自分になる事。仕事場の評価も上がるに違いありません。

藤田新次郎

藤田 新次郎(ふじた しんじろう)

オフィス シンクロ 代表

1965年山口県下関生まれ。第一経済大学経済学部貿易科卒業。1988年福岡市内のレストラン・バー運営会社に従事。その後、1992年アメリカの飲食シーンを勉強するべくニューヨークに渡る。帰国後、福岡市中央区赤坂にレストランバーを開業。2002年自身の開発する珈琲&焼酎「新黒」(シンクロ)を県内の酒造会社と提携し発売。 2004年今までの経験を活かし、飲食関係経営・企画・イベント・グルメ番組製作。「オフィス シンクロ」設立。福岡を拠点とし、グルメ番組企画・サポート・グルメ関連イベント・博多どんたく・飲食店コンサルタント・自社開発焼酎の販売促進を手掛けている。

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