「再生」は地域経済の活性化の切り札
九州経済の最前線情報について、施策情報を交えて紹介するコラムですが、第二回は、様々な「再生」が、九州経済にとって不可欠であり、「再生」を進める環境整備のための施策が用意されているという話です。
様々な再生
再生という言葉の使用は、生物学上で、損傷を受けた組織や器官、四肢などを復元する現象というのが一般的だったようですが、最近では、倒産した企業等が、事業の継続・再開を図るような場合に使用されるケースが増えています。民事再生法、産業活力再生特別措置法、地域再生法、会社更生法など、再生にまつわる法律も多くあります。最近の再生の代表例と言えば、日本航空があげられますが、会社更生法の適用と企業再生支援機構からの支援により、再生の道を歩いています。企業再生支援機構による支援は、その第一号案件が、日本航空であったため、大企業を中心とした再生のみを支援するようにみられがちですが、地域の中堅・中小企業の支援も行うことになっており、機構内には、「中小企業再生支援センター」も設置されています。
次に、地域企業の再生の話です。鹿児島県霧島市旧隼人町の街中に、「野鶴亭」というオシャレな旅館があります。以前からインターネット上では、かなりの人気だったようですが、経営不振に陥り、昨年8月、経営者がかわり、リニュアルオープンしました。
新しい経営者は、鹿児島県曽於郡輝北町の森建設の代表取締役で、森グループを率いる森義久氏です。鹿児島県商工会連合会の若き会長でもあります。森氏の経営者としての手腕が十分に発揮され、「再生した」新生・野鶴亭は順調のようです。もともと、旅館としての強みは有していたものの、十分に活かされていなかった経営資源が、力のある経営者により、再生した地域中小企業の典型例と言えます。
野鶴亭 http://www.yakakutei.com/
再生は最成
また、再生と言えば、厳しくなった企業を、延命的に持ち直すケースが多く、少し後ろ向きのイメージが強くなっていますが、最近の傾向としては、経営革新や新事業展開を同時に実行して、本格的再生に取り組む、比較的前向きで積極的な事例も多くなっています。その場合に必要なものは数多くありますが、その中でも特に重要なのが、金融機関を中心とした債権者の理解に加えて、再生された新生企業を引っ張っていく新たな力のある経営者と新生企業の新たな取り組みを応援するスポンサーの存在です。その意味では、「再生(さいせい)」は、優れた新たな経営者が、債権者やスポンサーの支援や協力を得て、その企業がもつ、もともとの強みや経営資源に、独自のノウハウや戦略を付加して、最も成功させる「最成(さいせい)」とあると言えます。
地域単位での面的再生
個別企業の再生は重要なことですが、一企業が再生したために、その周りの複数の企業が厳しい状態に追い込まれることもあります。温泉地の旅館やホテルの再生や家具、陶磁器、各種織物等の地域産地などにそのケースがみられます。このような場合、地域単位での再生を目指すことが大事ですが、個別企業の再生以上に、難易度が増します。前述の関係者に加え。自治体の理解や、その地域のリーダーの存在が重要になります。地域としてのシステムづくりや住民を巻き込んだ取り組みが必要となるからです。
再生を支援する施策
地域経済にとって、既にそこにある雇用が守られることは何に増しても重要であり、そこが再生の意義とも言えます。再生を支援する施策としては、大きく二つのものがあります。一つめは、前述の「企業再生支援機構」ですが、もう一つが、「中小企業再生支援協議会」(以下「協議会」)事業です。協議会では、中小企業の私的整理における事業再生を各地域において支援しています。協議会には事業再生の支援について知識や経験を有する専門家が常駐し、課題解決に向け、窓口相談を行っています。金融機関との調整が必要と協議会が判断した場合には再生計画の策定支援を行います。再生計画の策定支援に当たっては、弁護士、公認会計士、税理士、中小企業診断士等からなる個別支援チームを結成し、支援を行います。協議会は、47都道府県のそれぞれに1カ所ずつ設置されており、約250名の常駐専門家が支援活動を実施しています。
九州各県の中小企業再生支援協議会の相談窓口
協議会事業は、平成15年度から実施されており、平成20年度末までの間に、九州全体で2,654社からの窓口相談がありました。このうち、263件の再生計画策定支援を完了し、16,961名の雇用を確保するなど、着実に成果が拡大しています。20年度は、窓口相談案件が540社で、卸売・小売業、建設業、製造業、サービス業の4業種で約8割を占め、また、再生計画策定完了件数は48件で、製造業、建設業で5割を超えています。














