ソーシャルマーケティングの考え方 ~震災復興に重ね合わせて~
企業の社会貢献が取り沙汰されることが多くなった今日、社会貢献によってブランド価値を向上させ商品・サービスの競争優位に立とうとするマーケティングも重要な戦略だ。今春3月11日に発生した大震災、及びその復興支援など「私たちができること」を自問自答し、改めて企業の社会貢献について考え直す機会を持った方々も多いだろう。本コラムでは、皆様の参考となりそうなソーシャルマーケティングについて述べてみたい。
企業の成長を支える要因としての社会貢献
慈善活動としての寄付行為やボランティアなどのあり方については、一般論としては儲かったお金や余剰時間の一部を社会貢献活動に充当するといった考え方で、これは過去からもあった。
寄付、フィランソロピー、文化貢献であるメセナ、といった企業活動も1980年代後半からの我が国のバブル期にもてはやされたものの、90年代に入ってバブルが崩壊した途端、社会貢献的活動は大きく減退した。しかしながら、2000年代に企業経営の健全なあり方・意義目的を探求しつつ実践する上で、CSR(Corporate Social Responsibility=企業の社会的責任)という経営用語が一般化してきたが、CSRの中の一つとしての社会貢献は、今日でも前述のような大雑把な概念が支配的であろう。
東日本大震災が起きた時に世の中の大勢が義援金の提供などの支援に動くなかで、多くの企業では会社が借金を抱えているにも拘らず、会社でも経営者個人でも寄付をすることが美徳とされる傾向もある。一方で、社会貢献を経営の根幹に置き、積極的にマーケティング戦略として捉えるべきとする考え方もある。
つまり、企業経営を健全に成立させつつ社会貢献を行うこと、言い換えれば、儲かって社会貢献する、または儲かるために社会貢献に取り組むことを目標化する考え方だ。飽和・もしくは縮小する市場でさらに競争激化する中にあって、マーケティング戦略としての社会貢献を筆者は支持したいと考える。
買う理由とブランド価値
安心・安全、フィット感、こだわり、エコロジーからロハス…など、モノ・コト消費の誘因としてマーケティング優位に立とうとする戦略の方向性も様々だが、その企業が社会に貢献しているかどうかを購買の選択肢に据える生活者視点に着目する必要がある。
CRM(Cause Related Marketing)はマーケティング手法として近年、企業側で重視され始めており、売り上げの一部が社会貢献に寄付されるという仕組みを作って生活者の共感を創出し社会貢献意欲も喚起しようとするもので、文字通り‘Cause’(理由)、つまりそれを買う理由を創るという考え方だ。
例えば、ビール一本の売上につき1円が環境団体などに寄付される例や、森を創るための植樹に寄付する量販店などの例がある。ブランド創造は、品質・イメージなどを包括するベネフィットを如何に創出するかを重点課題として取り組んできたが、それらの中で購買者の‘Cause’として認められる社会貢献が重要視されてきている。
上のグラフは、生活者が環境保護活動の参加に対しどのように実践しているかを探ったものだが、売上が環境保全に役立てられることを意識して購買・参加しているとした回答も目立っている。(黄色枠回答を参照)
(注)本調査は環境意識を探ったもので、幅広い社会貢献をテーマとしたものではない。
マーケティングの立場で社会貢献
CRMはコーズ・マーケティングとも言われ、競争優位に立つため、生活者(購買者)の選択に適うため、つまり社会貢献をマーケティング戦略として位置づけるものだ。消費者がその商品・サービスを選択する際に、自分が支払う代価の一部が社会貢献に払われるという参加意識や、社会貢献に熱心な企業のものを購入利用するという意識は、この大震災によってさらに高まったのではないだろうか。
筆者は今回の大震災の発生後の自粛ムードが支配的になることを憂い、もっと経済が活性化されて企業は利益を上げ、個人は所得を上げることで、企業も個人も得たお金から寄付行為ができ、かつ納める税金で被災者支援、震災復興支援ができるものだと方々で訴えてきた。
非被災地である西日本・九州の事業体・ビジネスパーソンはもっと元気に経済活動を発展させることこそが社会的使命で、これこそ大震災後のCSRではないかと考える。ここに企業経営を重ね合わせ、効果的なマーケティング戦略として、社会貢献の実践に積極的にチャレンジしてほしいものだ。
2011年5月14日著
株式会社ジーコム
代表取締役 村上隆英
※掲載したグラフに関するデータは弊社WEBサイト で閲覧できます。
慈善活動としての寄付行為やボランティアなどのあり方については、一般論としては儲かったお金や余剰時間の一部を社会貢献活動に充当するといった考え方で、これは過去からもあった。
寄付、フィランソロピー、文化貢献であるメセナ、といった企業活動も1980年代後半からの我が国のバブル期にもてはやされたものの、90年代に入ってバブルが崩壊した途端、社会貢献的活動は大きく減退した。しかしながら、2000年代に企業経営の健全なあり方・意義目的を探求しつつ実践する上で、CSR(Corporate Social Responsibility=企業の社会的責任)という経営用語が一般化してきたが、CSRの中の一つとしての社会貢献は、今日でも前述のような大雑把な概念が支配的であろう。
東日本大震災が起きた時に世の中の大勢が義援金の提供などの支援に動くなかで、多くの企業では会社が借金を抱えているにも拘らず、会社でも経営者個人でも寄付をすることが美徳とされる傾向もある。一方で、社会貢献を経営の根幹に置き、積極的にマーケティング戦略として捉えるべきとする考え方もある。
つまり、企業経営を健全に成立させつつ社会貢献を行うこと、言い換えれば、儲かって社会貢献する、または儲かるために社会貢献に取り組むことを目標化する考え方だ。飽和・もしくは縮小する市場でさらに競争激化する中にあって、マーケティング戦略としての社会貢献を筆者は支持したいと考える。
買う理由とブランド価値
安心・安全、フィット感、こだわり、エコロジーからロハス…など、モノ・コト消費の誘因としてマーケティング優位に立とうとする戦略の方向性も様々だが、その企業が社会に貢献しているかどうかを購買の選択肢に据える生活者視点に着目する必要がある。
CRM(Cause Related Marketing)はマーケティング手法として近年、企業側で重視され始めており、売り上げの一部が社会貢献に寄付されるという仕組みを作って生活者の共感を創出し社会貢献意欲も喚起しようとするもので、文字通り‘Cause’(理由)、つまりそれを買う理由を創るという考え方だ。
例えば、ビール一本の売上につき1円が環境団体などに寄付される例や、森を創るための植樹に寄付する量販店などの例がある。ブランド創造は、品質・イメージなどを包括するベネフィットを如何に創出するかを重点課題として取り組んできたが、それらの中で購買者の‘Cause’として認められる社会貢献が重要視されてきている。
(注)本調査は環境意識を探ったもので、幅広い社会貢献をテーマとしたものではない。
マーケティングの立場で社会貢献
CRMはコーズ・マーケティングとも言われ、競争優位に立つため、生活者(購買者)の選択に適うため、つまり社会貢献をマーケティング戦略として位置づけるものだ。消費者がその商品・サービスを選択する際に、自分が支払う代価の一部が社会貢献に払われるという参加意識や、社会貢献に熱心な企業のものを購入利用するという意識は、この大震災によってさらに高まったのではないだろうか。
筆者は今回の大震災の発生後の自粛ムードが支配的になることを憂い、もっと経済が活性化されて企業は利益を上げ、個人は所得を上げることで、企業も個人も得たお金から寄付行為ができ、かつ納める税金で被災者支援、震災復興支援ができるものだと方々で訴えてきた。
非被災地である西日本・九州の事業体・ビジネスパーソンはもっと元気に経済活動を発展させることこそが社会的使命で、これこそ大震災後のCSRではないかと考える。ここに企業経営を重ね合わせ、効果的なマーケティング戦略として、社会貢献の実践に積極的にチャレンジしてほしいものだ。
2011年5月14日著
株式会社ジーコム
代表取締役 村上隆英
※掲載したグラフに関するデータは弊社WEBサイト で閲覧できます。















