前川さんは高校1年生の時にアメリカでホームステイをして日本人と外国人の考え方や文化・習慣の違いに驚きながらも、その違いを楽しめるようになったことがきっかけで、国際交流のボランティアや日本語学校での日本語教師などをしてこられました。
そして自分の理想の学校を作りたいと思いから、平成21年1月に日本語学校や日本の文化体験レッスン、福岡在住の外国人の方向けの生活支援サービスの事業を開始されました。

-これまでどのような仕事を経験されていますか?
結婚前は何か特別なキャリアを積んだような仕事はしていなかったんですけれども、英語を勉強していましたので、結婚後にそれを活かして小学生から高校生までに英語を教えていました。
その中で仕事ではないんですけど、空いた時間に国際交流のボランティア活動を積極的に参加し、日本在住の多くの外国人の方々と交流してきました。
-創業のきっかけを教えてください。
私自身が何か自分で起業しようという夢は全くなかったんですけど、自分が国際交流の活動を通じて将来的に何かそういう仕事に携わりたいという思いはずっと持っていたんですね。日本語学校を開校するという気持ちはほとんどなかったんですけど、まず日本語の教師の免許を取れば私の将来の夢に役立てられるという思いで、まずは日本語教師の免許を取ったんです。
そして、ひとつの経験としてある日本語学校で日本語教師の経験をしました。そこでいろんな国の方と接して、いろんな経験をさせていただいて、自分の理想の学校を作りたいと思ったんです。
ただ日本語学校だけというのではなくて、全ての福岡を訪れる外国人の方たちのためのサービスを提供する会社を作りたいということで起業しました。
-事業内容を教えてください。
ひとつは日本語学校です。ただ、日本語を勉強したい方たちは世界中にたくさんいらっしゃるんですけど、それぞれの方たちがやはり目的・目標が違うんです。
当校では1ヶ月から3ヶ月くらいの短期で来られる方が多いんです。また、年齢層も今までの経験で言えば15歳から65歳と幅広く、結局国籍やバックグラウンドも全く違う方たちが日本語の勉強にいらっしゃいます。
当校は小さな学校ですので、そういったいろいろな方たちの学習目的に沿ったいろいろなコースを設けています。
例えば、普通の一般コースに加えて、将来日本で仕事をしたいとか、日本語を使って仕事をしたい方たちのためのビジネスコースを設けています。あとは、日本語レッスンに日本の伝統文化体験レッスンやアニメに代表されるポップカルチャー体験レッスンを加えたコースなどもあります。
2つ目として、観光客の方たちに対していろいろな文化体験レッスンを提供しております。日本の伝統文化体験レッスンとしては茶道や書道、着物の着付けもありますし、現代文化体験レッスンとしては、漫画やアニメがあります。

日本の漫画やアニメの文化は世界中に広がって、ひとつの日本の文化としてよく知られていますので、そういう文化体験を観光客の方たちにも気軽に経験していただきたいと思っています。
弊社で一番多いのは着物の着付けです。
以前に比べて福岡で国際学会が行われる頻度が高くなっています。その時に同行されてきた奥様たちにひとつの体験として着物の着付けをしたりします。
観光客の方は福岡に来て観光以外に何かしてみたいというのがあると思うんですけど、特にリピーターの方たちは観光よりももっと自分のオリジナルなプランで滞在を楽しみたいという方が多いと思うんです。
そういう方たちのために他とは違う自分だけのオリジナルな体験のお手伝いをしたいと思います。




3つ目として、福岡在住の外国人の方たちに対する生活のサポートです。
外国人の方が何か困ったことがあった時に、通訳付きでさまざまな問題を解決するサポートをしています。
例えば、就職活動のサポートで、履歴書とか面接の準備のためのレッスンというのがあります。いろいろな公的機関や企業で面接とか履歴書の書き方の講座を持ってらっしゃる経験豊かな専門の先生が当校の日本語の先生にいらっしゃるので、その先生にお願いしています。
その先生は日本人で、企業に40年くらいお勤めされていて、ずっと人事とか、社員教育とかを担当されていたんです。その先生は通常の日本語のレッスンも担当されていますが、英語、スペイン語も堪能なんです。
他にもファイナンシャルプランナーの資格も持ってらっしゃるので、実際に外国人の方が日本での税金とかファイナンシャルプランの相談に来られたこともあります。
ですから、当社のサービスというのは多岐に渡っておりまして、日本語学校から始まって、観光客の方たちの福岡の滞在を楽しむためのサービス、また福岡に住んでらっしゃる方のための生活サポートとか、就職活動サポートも行っております。
-創業の準備はどのようにされましたか?
起業しようと思った時点で一緒の夢を持って進んで行こうというスタッフが2人いましたので、3人で協力しながらどんな会社にするかを具体的に考えました。
私たちはあくまでも国際交流の推進の一助になることを最終目的としていますので、そうなれるような会社作りをしたいということで日本語学校という枠に留まらず、福岡を訪れる全ての外国人の方に対するきめ細かいサービスを提供しようといろんなアイデアを出して実際の業務内容を決めていきました。
事務所も決めるまでは大変でしたね。
まずはうちに来られる学生さんは短期の方が多いですし、日本語の学習だけを目的にしてらっしゃいませんので、レッスン以外の福岡での滞在の仕方というのがとても重要になってきます。
それに日本語のレッスンだけでなく、観光客の方々にも来ていただいて、いろんな文化体験をしていただくサービスもしておりますので、まずは街の中心地で便利のいい場所、皆さんが集まりやすい場所ということでいろいろ検討した末にこの場所(中央区舞鶴)に決めました。

-創業資金はどのように調達しましたか?
半分は自己資金で、残りの半分は日本政策金融公庫からの借入金です。
-社名の由来を教えてください。
WAHAHAというのは、ひと言で私たちのテーマが「笑い」というところからです。私たちに関わってくださる世界中の方たちに「笑顔」を提供したいと思っています。楽しい経験をしていただいて、満足していただき、たくさんの素敵な笑顔に出会えることが一番ですね。
Studioというのは、ここにみんなに集まって欲しいという意味を込めています。日本人だけではなくて、世界中の人々が気軽にここの場所に集まって、ここを1つの交流の場として使っていただきたいということから付けました。

-ビジネスのターゲットはどのような方ですか?
今は日本語レッスンも含めてすべてのサービスで欧米系の方が多いんですけど、これからは中国人の個人旅行者の方たちもターゲットとしていきたいですね。
今、中国人の方たちがたくさん福岡に来られますけど、皆さんだいたい観光バスで同じ目的地に行かれるわけですよね。でもやはり観光の目的も多様化してきていると思いますので、例えば買い物でも何を買いたいとか、どこに行きたい、何が食べたい、それぞれ目的は違うと思うんです。
最近は日本のネイルとかエステといった美容関係やファッションに興味を持ってらっしゃる中国人の方も多いと思います。
そういう方たちは滞在期間も短いですし、その短い滞在時間をいかに有効に使っていただいて、楽しんでいただくかというのが私たちのサービスに意味があるところだと思うんですね。当社の場合は小さな会社ですので、そういう方たちに個人的なサービス、その方たちのニーズにあったサービスを提供することができます。ですから小さいことが魅力の1つだと思っています。
日本語レッスンの方は今、スタッフに台湾人がいるので、台湾から来られる方が少しずつ増えています。
中国の場合は、当校のようなタイプの日本語学校の場合はビザの問題がありますのでなかなか難しいんですが、日本語のレッスンに関しても中国人の方も目的別のレッスンというのはこれから需要が増えていくのではないかと思っています。
-他の会社や他の日本語学校との違いはどのような点ですか?
小さい学校ですので、本当に相手に合ったきめ細かいサービスを提供できるというところです。生徒さんそれぞれで目的も違うので、授業も少人数の体制で目的に沿ったレッスンを提供しています。
日本語レッスンに関して私が自信を持って言えることは、生徒さんの目的達成のために最大限の努力をするということです。特に強調したいのは日本語の先生の質が高いことです。
日本語の先生の採用では、日本語教師の経験も当校の場合は3年以上という枠を設けていますし、人間性はもちろんのこと、私が一番重視しているのは経験ですね。
当校ではいろんな社会経験、人生経験をされた先生たち、ある分野でエキスパートであった先生たちを採用していますので、他の学校に比べて年齢が高い先生が多いんですね。ですから先ほどのようなビジネスに関してエキスパートである先生とか、新聞記者を40年くらいされてすばらしい知識を持ってらっしゃる先生がいます。

生徒さんは勉強する目的が違いますし、レベルも全然違うんです。
極端に言うと、ゼロ初級、全く日本語がしゃべれない生徒さんから日本語検定の1級を持っていて全く日本語のコミュニケーションに問題ない生徒さんまで幅広い生徒さんがいます。ですから、先生も生徒さんの目的やレベルに対応した先生にしています。
当校の先生はほとんどが日本語の他に英語が話せる先生なんですね。
ですから、例えばゼロ初級の学生に対しては、やはり日本語で説明するのは大変難しいので、当校では英語も指導手段のひとつとして使っています。特に初級の生徒さんには文法の説明などは英語を使っていますし、相手からの質問に答えるのにも英語を使っています。
英語で質問したことが英語で返ってくることによって生徒さんもストレスが少なくなるんですよね。「先生は何を言っているんだろう?何を言っているんだろう?わからない」というのは生徒さんにとってとてもストレスなんですね。ですから英語を使うことによってストレスも少なくなりますし、それによって理解も早くなってきます。もちろん英語を積極的に使うという意味ではなく、必要であれば英語も使うということですね。
ですから、ゼロ初級の場合は英語が話せる先生で、楽しみながら日本語を学べるような雰囲気に出来る先生にしています。
でも逆に日本語検定1級を持っているような日本語が本当に上手な生徒さんに対しては、もうひとつ上のいろんな知識、例えば日本の歴史とか社会状況とか経済状況などの知識、ちょっと難しい語彙や表現などの知識を持った長年現場で新聞記者をされていたような先生にしています。
そういう先生だと私も尊敬するくらいのあらゆる知識、体験をされていますので、私ができないような授業ができますね。
当校は短期で来られる生徒さんが多いので、そうすることによって短い時間で少しでもそれぞれの目標に近づいて欲しいと思っています。
そしてもうひとつはやはり知識はあっても使える日本語でないと意味がないので、私たちが目指している日本語教育は実践的な使える日本語なんです。

短期間の日本滞在中に少しでも日本人とのコミュニケーションを積極的にして楽しんでもらいたいと思っています。ですから、ゼロ初級の方には英語も使いながら楽しく授業を行って、自然に使える日本語を習得してもらいます。
そのことによって、滞在している間にコミュニケーションが取れるようになりますし、コミュニケーションを取れることによってすごく喜びが生まれますよね。そしてまた日本語の勉強をするモチベーションが上がるんです。
レッスンもグループレッスン、プライベートを選べるんですね。グループだと一応6人までとなっているんですけど、実際は多くても4人くらいですね。
というのもグループレッスンではレベルを重視しているからなんです。語学を勉強するうえでレベルが違う人たちが一緒に勉強するのは本当に効率が悪いと思います。
ですから、当校ではグループレッスンでも1人、2人になる場合がとても多いですね。同じレベルの生徒さんが他にいなければ1人でもレッスンします。それはやはり短期で来られていて、その短い間にどれだけ日本語が上達できるかというのが私たちの目的になっていますので、それはしょうがないと思っていますね。


あとは、例えばJLPTという日本語能力試験に興味がある人も、ない人もいるんですよね。それに漢字に興味がある人、ない人がいるので、グループレッスンになるとやはり漢字はしたくないという生徒さんももちろんいます。
当校のような学校ではJLPTの勉強をしないといけない、漢字は絶対に覚えないといけないというのはないので、例えば漢字をしたい生徒さんに対してはレッスン以外で何か教材を渡すようにしています。そして家で自習してきてもらって、レッスン以外で私たちがチェックして、その人の目的を達成できるようなお手伝いをしています。
他にも、24時間サポート体制をとっていますので、何かあった時には24時間いつでも連絡をしていただければ必ず対応します。そして最後まで一緒に解決できるように努力しています。
例えばこれは何度もあったことですが、生徒さんが学校に来なくて連絡もないことがあります。その場合はスタッフが生徒さんの住んでいるところまで尋ねていきます。メキシコから冬に来ていたので、気候が合わなくて欠席の多い生徒さんがいたんですね。
その子は管理人さんがいる学生寮に住んでいたので、寮母さんとは毎日連絡を取っていたんですけど、やはり心配でスタッフが何回も直接会いに行きました。そうしたら体調が悪くてずっと寝てたんです。
私も何人かの生徒さんを病院に連れて行ったこともあります。
事前に連絡をするようには言っているんですけど、1日でも連絡なく学校を休んだ場合は、うちでは必ず連絡を入れたり、会いに行くようにしています。それで元気であれば、それはそれでいいことですからね。
このようなきめ細かいサービスは小さい学校だからできることだと思っていますので、私はあえて小規模にこだわりたいと思っています。
ですから、これから生徒さんが増えても上限は決めています。私自身がひとりひとりの生徒さんに目が届く範囲で、1日1回でも全員の生徒さんに会って挨拶が出来る範囲にしたいと思っています。
-どのようにしてお客様を増やしてこられましたか?
当社の場合はまだ歴史が浅いので、エージェンシー(海外の留学斡旋会社)からの生徒紹介という形ではまだなかなか相手にしてもらえないんですよ。やっと3年目になったので、これから少しずつ認められるようになってくるとは思うんですけど、今までは難しかったんですね。
ですから、とにかくいろんなところにパンフレットを送付したり、メールで学校紹介をしたりしてきました。パンフレットは公的機関にも配っていますし、海外に住んでいる知人とか、福岡県の事務所とかにお願いして送ってもらったりはしています。
あとはWebの充実です。ホームページ上では当校がお客様に何を提供できるかがわかるようにしていますし、コンテンツ内容にきちんとした説明を入れるようにしています。
それと外国からのアクセスが多いので、やっぱりFacebookやブログの英語バージョンの充実ですね。学校のページをFacebook上に作っていて、そこに今までの生徒さんがみんな登録してくれているので、今何があっているとか、こういったイベントやったよとか、今週末どこどこに行くよ、という情報を全部流すようにしています。Facebookは今のところ英語バージョンだけです。

ブログは日本語バージョンは私たちが書いていますが、英語バージョンはスタッフが書いたり、生徒さんが書いたりしています。ブログのほうは日本語、英語、台湾語のバージョンがあります。
他にも一度来られた生徒さんなどからの口コミや紹介があります。特に福岡に在住していて週1回くらい来られる生徒さんが10人くらいいるんですけど、その場合は本当に口コミだと思いますね。
これからはもっと実績ができれば、エージェンシーとかも活用して違う形のアプローチをしていきたいとは思っています。
-ビジネスの手応えはいかがですか?
まだまだですね。でも、少しずつですね。今がちょうど3年目に入ったばかりなので、今年が飛躍の年だと信じています。今まで自分の信念に基づいてやってきたことが、きっと今から実を結ぶのかなと思っています。
-苦労されたのはどのようなところですか?
一番はやっぱり知名度がまだまだ低いことですね。いろんなサービスは用意してあるんですけど、知名度が低くてなかなかなかなか使われないというところです。
福岡観光コンベンションビューローさんとは「福たび」とかで一緒にいろいろイベントを企画したりしていますけど、集まってくれる外国人の方は少ないですね。
料金も私たちの感覚では安いと思うんですけど、外国人の方はあまりお金を出してくれないですね。何か特化したものとか、本当に自分がしたいと思うこととか、価値があると思うものじゃないとお金は出してくれないでしょうね。
-創業して良かったことはどのようなことですか?
やはり日本人も含めていろいろな国の人たち、今まで私の人生で出会えなかったような人たちとの新しい出会いがたくさんあることですね。それは本当に私の喜びです。私たちと関わってくださって、私たちのサービスに対して満足していただいて、笑顔で帰っていく姿を見たときには本当に嬉しいですね。
-現在の課題はどのようなことですか?
今はより多くの生徒さんを獲得するということです。
そして、日本人でも外国人でも多くの人にここを活用してもらいたいということです。課題はそれに尽きます。
私の将来の夢、最終的な私の目標を達成するためにはビジネスが基本として運営ができていないと続けられないからですね。
-これからの展望を教えてください。
まず、私がどうしてこの仕事をしているかというのは、遡ると私が高校1年で16歳の夏休みにアメリカのカリフォルニアに1ヶ月だけホームステイをしたんですね。
私は昔から外国に興味があって英語が好きで、外国に行ってみたい、アメリカに行ってみたいと思っていましたので、親にたのんで行かせてもらったんです。
1ドル360円の時代ですから今と比べると渡航費用は高かったと思います。でも親は全く反対もせず、快く活かせてくれたことに心から感謝しています。
その時に日本とアメリカの全てに対する違いにすごくびっくりして、最初は驚きの連続だったんですね。それは自分自身が経験して、日本とアメリカの違いというのが認識できたんです。
例えば、私がホームステイしたのは夏だったんですけど、朝晩の寒暖の差が激しくて夜すごく寒かったんですよ。ベッドの上には薄いお布団しかなかったんですが、部屋のどこかには毛布があると思って探したんです。
その時に私は日本人の家庭だったら寒い時のために絶対クローゼットかどこかに用意してあると思っていたんです。でも、どこを探しても部屋になかったんです。それで寝られないからどうしようと思って、でも自分でどうにかしないといけないですよね。それで辞書で「毛布」という英語を調べて、ホストマザーに「毛布をください」って言ったんですね。そうしたら「あー、もちろん!」って言ってくれたんですよ。
あとお風呂に入るのも、私は一応ゲストなので、「お風呂に入っていいよ」って言ってくれるのをずーっと待っていたんですね。そしたらずーっと何も言われないんですよ。だからどうしようと思って、「お風呂に入っていいですか?」って言ったら、「あー、もちろん!」って、いつでも入っていいよという感じで言ってくれたんです。
その時に私はわかったんです。やはり日本人の考えだったら、当然こうしてくれているはずだという思い込みがありますよね。でも、アメリカでは自分が主張しないといけないし、自分がしたいことは自分で言わなければいけない、でも言ったことはしてくれるというのを身を持って知ったんです。それで、私はそういう異なる文化・習慣・考え方を受け入れることによって、その違いを楽しめるようになったんですね。
長崎で国際交流のボランティアを15年間していた時も、いろんな国の人が来られていて、そこでもいろんな違いを感じることはありました。その違いから何か先入観や偏見とかを持ってイヤだと思って終わる人もいると思うんですよ。でも、私はその時の経験から違いを受け止めることができ、面白いと思うようになって、違いを楽しめるようになったと思うんですね。
私も16歳の時にそうやって1人で外国に行って、いろんな経験をしたからこそ自然に自分自身の視野が広がって、そのことで人生の幅が広がったと思うんです。
ですから、私は今の仕事をしていると思うんですね。
将来的にはここを拠点としていろんな人が自然な形で交流して、違いを楽しんでもらえるような仕事をしたいと思っています。自然な形でお互いのことを知って、そしてお互いのことを尊敬し合う、つまりお互いの違う文化・習慣を尊敬し合って、自然な流れの中で交流が生まれるというのが理想なんです。
だからそういう交流の場の1つとしてここを活用してもらいたいと思っているんですね。


ここは場所がいいですし、24時間教室も使えるので、もうひとつ交流目的で日本人向けに英会話とか韓国語のレッスンも始めたんすね。
目的はWAHAHAというのは「笑い」なので、みんながここに集まって、いつも笑顔でいてもらいたいということなんですね。外国人はここに日本語を勉強しに来ますし、日本人はここに外国語を勉強しにきます。そしてここで私が目的としている自然な交流が生まれれば良いかなと思っています。
それでもうひとつの取り組みとして、日本の大学を出て長く福岡に住んでらっしゃる韓国人の方と「FIV : Fukuoka International Volunteer(福岡インターナショナルボランティア)」というグループを立ち上げましたので、今から活動を広げていきたいと思っています。
FIVのミッションは、「福岡大好きな外国人と日本人が協力し、ボランティア活動を通して福岡をより住みやすい、観光しやすい、外国人と交流しやすい街にする」というものです。
私たちは福岡が大好きですし、とてもいい街だと思います。実際福岡に来ている外国人の生徒さんたちもそう言っています。今、香港人の生徒さんが1人いるんですけど、「もう札幌、東京は何回も行ったし、大阪も行った。でも、福岡は来たことがなかったし、来ようとも思っていなかった」と、「でも、初めてきたらびっくりした。本当に福岡は他の街と比べてもすごいいい街だ」って言ってるんです。
その生徒さんは、「買い物は東京じゃないと出来ない、美味しい食べ物は札幌じゃないと食べられない」と思ってたと言うんですね。でも、「福岡に来たら買い物もいろいろ出来るし、美味しいものも食べられる。ちょっと自然に触れたいと思ったら、少し足を伸ばせば自然に出会える、だからすごくいい街だ」と言っています。実際にそういう生徒さんが多く、また福岡に戻って来るケースも多いんです。
FIVの趣旨として、福岡は国際化、国際化と言われているんですけど、実際に日本人の目からではなくて外国人の目から見た時、福岡に住むにしても観光で訪れるにしても、やはり不便な部分がまだ多いんですね。
例えば、代表的なものを言えば、サイン(標識など)も最近外国語の表示が増えてきましたけど、まだまだ他の言語になっていないというのがあります。
他にもバスの乗り方がわかりにくいとか、交通機関のアクセスの仕方がわからないとか、レストランに行ってメニューを見た時に全然わからないとか、何か気軽に聞いて電話対応してもらえるところがないという声もあります。
そういう問題を私たちはボランティアグループを組織して、ボランティアで外国人と日本人が一緒になって改善していくというのを考えています。ですから、日本人だけでなくて、外国人も時間が空いた時に自分の国の言語への翻訳の手伝いをするとか、まだ他にできることはたくさんあると思うんです。
日本人と外国人が協力し合って、本当に外国人にとってもいい街、もっと住みやすい街、外国人が福岡を大好きになってくれて、絶対もう1回福岡に来たいと思ってくれる街にするための活動、本当の意味で福岡が国際都市になれるような活動をしたいと思ってるんです。
そして、ただ私たちの間だけで何かをするのではなくて、私たちの活動が将来的には福岡市とか福岡県に改善策を提言できるくらいになりたいと思っているんです。私たちの提案を参考にしていただき、福岡市とか福岡県が実際に問題を解決してくれるということを目指しています。
これはビジネスとは別にボランティア活動としていきますけど、基本となる私が求めているものは全部1つなんですね。つまり、当社が私の大好きな街、福岡の国際交流推進の一助になりたいということです。1つはビジネスとしてやっていきますし、もう1つは完全にボランティアとしてやっていきます。
-目標や夢を教えてください。
私自身が16歳でホームステイを経験して人生の幅が広がったので、より多くの人にいろんな形の交流を楽しんで欲しいなと思います。交流を通して新しい発見があり、自分の将来の展望とか、自分が将来したいこと、目標とかが見えてくると思うんです。だからぜひ、そういう出会いをたくさんの人に経験して欲しいと思っているんですね。
ひとりひとりの交流から輪が広がって何か新しいものが生まれ、それが最終的には大きな意味での国際交流に発展すると思います。
私も実際に交流活動で知り合った外国人で、その人たちはもう20年以上ずっと外国に住んでいるんですけど、今でも交流が続いている人が何人もいるんです。やっぱり出会いによってお互いの国に対して親愛の気持ちが湧いてくると思うんですね。
私ひとりが誰か他の国の人と知り合ったとしても、その人は私だけじゃなくて、日本人に対しても親愛の気持ちが生まれてくるわけじゃないですか?
私自身もその人やその人の国、その人の後ろにあるものに対しても興味が出てきたり、親愛の気持や親しみを持つようになってきたと思うんです。それは自然にですよね。
たまたまどこかで会って、じゃあ、この人の国のことをもっと知りたいとか、この人の国がちょっと身近になる、じゃあちょっと行ってみたい、そういうふうに興味が広がるわけですよね。
そういう日本人が増えていくことによって、世界の人たちの日本人に対するイメージとか、日本人って本当はこうなんだとかわかってきますよね。
外国人の方は皆さんは「接してみると日本人は本当に親切だし、誠実だ」と言われますね。外国人が持つ日本人のイメージとして、本音と建前があるとか、親しみにくいとか、負のイメージも少なからずあると思うんですよ。
ただ、個人として付き合った時によく言われるのは「本当に日本人は親切、やさしい、誠実、うそをつかない、だから好きだ、だから安心できる」という言葉なんですね。それに「福岡の人は他の街の人と比べてやっぱりやさしい」って言われますね。
だから、私はいつも生徒さんに「福岡の人は本当にみんな優しいから困った時、道迷った時は誰でもいいからとにかく聞きなさい。絶対助けてくれます」と言うんですよ。
福岡の人は自分が知らなくても「ちょっと待ってて」って言って、誰か知っている人を探してくれたりするじゃないですか?
実際に初めて当校にくる生徒さんも知らない人に連れて来られたりしたことが何回もあるんですよ。日本人の方から電話があって、「外国人の方が迷っているんですけど、お宅どこですか?」って言われて、その人に説明したらその人が連れて来てくれたことが何度もあります。
福岡を大好きになってくれる外国人は多いですし、みんな福岡に来て本当に満足して帰りますから、リピーター率が本当に高いんです。でも、実際に外国人で福岡を知らない人が多いことも事実です。
ですから、もっと世界中の人に福岡を知ってもらいたい、ぜひ一度訪ねて欲しいと思います。
【レポーターのコメント】
前川さんは国際交流の一助となりたいという夢について熱く語ってくださいました。
そしてその夢の実現に向けて、事業とボランティアの両面から活動をされています。
事業においては、日本語学校は信頼性を判断するために業歴が重視されるという事業特性から、創業したばかりの当社は代理店取引が難しく、まだまだ営業活動には苦労されているとのことでした。
しかしながら、前川さんは事業として経営効率を考えるのではなく、国際交流の一助となりたいという強い思いから、生徒さんなど顧客の目的達成を最重要視されています。
サービス業におけるマーケティングでは社内の従業員に対するマーケティング(インターナル・マーケティング)が非常に重要になってきます。それは、自分自身が十分に満足している従業員は顧客にも質の高いサービスが提供でき、それによって顧客満足が高まるというところからです。
実際に前川さんはご自身の夢や目標をスタッフと共有されていますので、スタッフも同じ夢や目標に向かってモチベーションも高く、顧客に満足してもらえる質の高いサービスを提供されています。そのため、顧客の満足度も高く、リピートや口コミにつながっているのではないかと思います。
福岡が国際都市として今後さらに発展していくためには、ぜひ事業、ボランティアの両面から福岡の良さを多くの外国人に伝えていただけたらと思います。私自身も福岡に来られた外国人の方に親切にすることで前川さんの活動を応援したいと思います。
「Arigato & Smile from Fukuoka」
【WAHAHA Studio Japan作成】
レポーター:大串 明子(おおぐし あきこ)
中小企業診断士、1級販売士、経営学修士(MBA)
外資系コンピューターメーカーでコンサルティングやシステム構築に携わり、その後、投資会社で経営管理実務を経験。2008年に独立・開業し、経営コンサルタントとして活動している。九州大学ビジネススクールで、IT系ベンチャー企業における内部資源の活用にもとづく成長戦略について研究し、現在も福岡市のインキュベートアドバイザーなど創業支援を中心に、事業計画の策定や経営革新計画の策定など中小企業の支援を行なっている。- (株)WAHAHA Studio Japan
福岡市中央区舞鶴2-2-7 4F
TEL:092-737-2288
業務内容 :外国人を対象とした日本語学校の運営、日本文化の紹介および体験教室の運営、インターンシップの紹介および仲介、旅行の企画および観光案内に関する業務、国際交流イベントの企画および運営















