アロマセラピーの知識をいかして、こだわりのオリジナル石けんを開発 (株)HCハートコンシャス 北尾菜保子さん

アロマセラピーの知識をいかして、こだわりのオリジナル石けんを開発 (株)HCハートコンシャス 北尾菜保子さん

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起業 中小企業応援センター事業

北尾さんは、ご自身が化粧品トラブルで体調を崩されたことがきっかけとなり、その原因を調べるなかで植物やアロマセラピーなどに出会われました。その後、自分自身でトラブルの少ない化粧品等を作りたいと考えて、勉強を続けられた後に、起業されました。

―現在の事業内容を教えてください。

オリジナル商品の「雪紫美人」石けんの販売とアロマセラピー関連セミナーや資格取得のための講座、化粧品のコンサルティング等です。アロマセラピー関連セミナーは起業した当初から行っている事業で、次が化粧品のコンサルティング、今年の夏からスタートしたものが石けんの販売ということになります。自分にできること、資金が大きくかからないところから徐々に広げていきました。

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―起業なさったきっかけをお話しいただけますか?

直接的には、自分が安心して使える化粧品を作りたいと思ったことがきっかけです。

実は、もともと化粧品が大好きで、20~30代前半まではいわゆるコスメフリーク。百貨店などの化粧品売り場で相談してはコース買いをしていました。

その一方で、ニキビや皮膚炎がひどくなり、また、体質的なものもあったと思うのですが、化学物質で呼吸困難になるという経験もしました。その原因を自分なりに調べるなかでアロマやハーブ等の植物にたどり着き、アロマ関連の資格を取得するなどの勉強を続けてきました。

―資格を取られたのは、いつ頃でしょうか?

 2001年です。社団法人日本アロマ環境協会のアロマセラピーのインストラクター資格を取りました。そのほかにも、ハーブやフラワーレメディ、マクロビオティックなどを学び、資格をとりました。その頃は、今ほどアロマセラピー関連の講座は多くありませんでしたから、病院やNHK文化センターで講座をしたこともありました。また、NHKの「夕方いちばん星」という番組でアロマの楽しみ方についての講師を担当したこともあります。

ただし、私自身は講師業という形だけではなく、アロマセラピーやハーブに関することや化粧品関連をビジネスとして確立していくにはどうすればいいかを模索していて、個人での活動を続ける一方で、創業セミナーを受講して事業計画の立て方を学んだり、経営相談窓口で相談したり、ということをしていました。

特に、相談窓口でお会いした税理士の先生には、かなりお世話になりました。やはり、専門家に話を聞くことができるのは心強いものがありますね。わからないことをそのままにして見切り発車するよりも、できる限りの準備をしてリスクを低くするほうが失敗する確率が下げられると考えたのです。

もちろん、起業する分野などにもよると思いますし、どれだけ準備をしてもやってみないとわからない部分もあるので、最後は、やりたいことがあるならば、思い切ってやってみることが大事だと思います。実際に、会社を設立したのは2008年でした。アロマセラピー関連のセミナーやコンサルティング的なことが中心でしたので、自己資金で設立しました。

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―きちんと準備をなさった上で、順調に進んでこられた印象がありますね。

そうでもありませんよ。

以前、保険会社に在籍していたときには、社名を出せばアポイントなども簡単にいただけたのですが、起業するとそういう看板がないので同じようにはいかない。当たり前のことかもしれませんが、会社や組織の看板のありがたみを実感しましたね。

ただ、やはり、起業したことで、自分自身がこだわっていること、自分が作りたいと思っていたものを形にすることができましたから、起業してよかったと思いました。

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―オリジナルの石けんを商品開発された経緯をお話しいただけますか? 

当初は、石けんを作る予定ではなかったのです。もともとは、知人が化粧品を扱っていたこともあって、その方の事業支援をしておりました。1年以上前ですが、その方から、石けんを探してほしいと依頼されました。自然のものや植物成分などを取り入れた化粧水を販売されていて、それに合う石けんを商品ラインナップに加えたいということでした。

最近は、固形石けんは人気があるのでいいものはたくさんあるのですが、ピッタリと思えるものが見つからない。それならば・・・ということで、オリジナルの石けんを作ることを思い立ったのです。せっかく商品開発をするのであれば、できれば、日本で古くから化粧品に取り入れられている植物の成分や、地域に関連するもの等を取り入れたいと考えました。

―石けんは製造委託されていますよね?そのメーカーさんとは、どのようにして接点ができたのですか?

そのメーカーさんとお話しする前に、石けんメーカー数社に打診していました。インターネットで調べたり、実際に販売されている商品に書かれているメーカー名を調べたりして、連絡をとってみたのです。

しかし、自社販売商品以外は製造しないと断られたり、受注ロットは最低でも2,000個以上という話であったり、こちらが希望する条件に合いそうなメーカーにはなかなか出会うことができませんでした。そうしているなかで、別の仕事で動いているときに、石けんを作っていただける会社を探しているという話をしていて紹介されたのが、今回のメーカーさんでした。

すぐに電話をして、翌日にはその会社を訪ねました。社長さんには、「あら、ほんとに来たねぇ」とビックリされましたが。

実は、紹介してくださった方から、その社長さんは気に入ったものしか作らないと聞いていたので、受けていただけるかどうか気がかりでした。

個人的には、植物成分で、地域のものを入れたいと思っていたので、いろいろとお話をしているなかで「梅はどうでしょうか」と聞いてみたのです。太宰府の梅、の発想ですね。しかし、「梅は大山町の石けんで使っとるから」と言われて無理でした。

ただ、この一言で、社長さんのものづくりに対する姿勢を感じ、信頼できる方だと思いました。ですから、ぜひとも受けていただきたいと、より一層、力が入りましたよ。

せっかくの機会なので、私自身がアロマセラピーやハーブに関わるようになったきっかけや、植物成分を入れた石けんを作りたいこと、雑貨扱いになる手作り石けんではなく、きちんと化粧品の認可を取りたいと考えていること等をお伝えし、結果的には受けていただけることになりました。

会社を設立していたことも、本気でやろうとしていることが伝わった要因のようでした。

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―実際に商品化されるまでには、どれくらいの時間がかかったのですか?

受けていただけるようになってから、半年程度かかりました。配合する成分や色などを試行錯誤しており、結果的には3回、サンプルを作りました。

特に、色には苦労しました。配合した成分が、化学反応を起こしてしまって灰色になったという失敗もありました。これでは「効果があるものですよ」と言われても、女性の心には響きませんよね。女性に手に取ってもらうためには、見た目のキレイさも大事な要素。最終的には、泡にも、ほんのりとした紫というかピンクがかった色がつくようになりました。

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―かなりこだわりのある石けんのようですが、どのように違うのですか?

ふだん使われている石けんは、使っている間に柔らかくなったり、溶けてしまうことがありますよね。これは、石けんに水分が含まれているために起こるのです。この石けんは水分を含まずに作ります。そのため、途中で、柔らかくなることが起こらず、長く使っていただくことができるようになっています。

水分を含まずに石けんを作る技術は、このメーカーさん独自の技術で、ひとつひとつ手作り。しかも不要な添加物は入れないという頑固なこだわりのある製造方法です。

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成分としては、太宰府の梅は断られましたので、ほかには何かないかと探したところ、紫根(シコン)があることに気がつきました。

紫根というのは、紫草の根のことで、薬、漢方薬として使われていました。太宰府に政庁がおかれていた頃には、筑紫野あたりでは紫根が採れており朝廷に献上されていたという歴史があるのですよ。その頃、紫根は紫色の染料や薬として使われていたようです。効果としては、抗炎症作用、創傷治癒の促進作用、殺菌作用などがあると言われていて、最近は美白効果のある成分としても注目されています。

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そのほかにも、美白効果があると言われているユキノシタなどを配合しています。

植物成分のユキノシタの「雪」と紫根の「紫」を使って、商品のネーミングは「雪紫美人石けん」として、このメーカーさん経由で化粧品の認可も取りました。

―石けんの商品開発、製造にかかる資金はどのようになさったのですか?

初めての取引でしたし、最初に開発費用などをお支払する必要があったのかもしれないのですが、その社長さんにご協力いただいてそのような形にはならず、石けんの製造段階での支払いということにしていただきました。

―起業してよかったことは、どのような点ですか?

自分がこだわっていること、作りたいと思っていたものを形にすることができたことが、いちばん良かったことですね。自分でやっているからこそ、妥協せずに取り組めたと思っています。

ただ、さすがに、石けんメーカーさんに何社も断られたときには、作れるのだろうか・・・と不安になったこともありました。本物といえるものを作りたいと思って取り組んでいると、本物の人に出会えると実感しましたし、石けんが出来上がったときには、あきらめずに取り組んでよかったと思いました。

あとは、経験することが広がったり、さまざまなネットワークの広がりも大きいですよね。今回のメーカーさんとの出会いもご紹介という形でした。ありがたいと思っています。

―今後の課題は、何でしょうか?

石けんの販売チャネルを増やすことですね。現在の販売チャネルは、石けん開発のきっかけとなった方のお店に置いていただいているのと、ネット販売です。あとは、使っていただいた方からのご紹介や口コミで、徐々に広がっているという状況です。

ネット販売で購入された方からは、どこのお店で買えますか?とお問い合わせをいただくことがあるので、扱っていただけるお店を増やしたいと思っています。ただ、成分にこだわって作っていることもあり、税込価格3,045円で販売しておりますので、そのあたりをご理解いただけるとありがたいです。

―今後、取り組みたいことは何ですか?

短期的な目標としては、石けんの安定的な販売ですね。今年9月から販売を開始して、リピートで購入してくださっている方が徐々に増えてきましたが、まだまだ、これからの状態です。

事業の安定的な柱として位置づけていますので、しっかり取り組んでいきたいですね。また、メーカーさんにも、生産ロットや開発面でかなり協力していただいたので、早くご恩を返せるようにしたいと思っています。

長期的には、石けんだけでなくて、商品ラインを増やしたいと考えています。化粧水なども扱えるようにしたいですね。

また、以前、心理学などに関心を持っていたことがあり、日本メンタルヘスル協会の公認心理カウンセラーの資格をとっていますので、アロマやハーブなどの知識とメンタルヘルスの知識を生かして、香りによる空間づくりを提案したいと考えています。そのために、アット・アロマ空間コーディネーターという資格も取得しました。

アロマセラピーで使用される精油(エッセンシャルオイル)の香りは、心地よいという感性だけではなくて、成分的な機能を持っていることが確認されています。たとえば、インフルエンザ対策やストレス緩和などの効果です。病院や介護施設などへ導入のご提案をしたいと思っています。

紫根については、一時期は、筑紫野周辺でもほとんど見られなくなっていたそうです。最近になって、地域の農家の方々が栽培に取り組んでいらっしゃるそうなので、石けんを通じて少しでもお役に立つことができれば、と考えています。

【レポーターのコメント】

北尾さんのお話を伺っていると、しっかりとしたご自身の軸をお持ちであることを感じます。その軸の中心となっているのが、アロマセラピーを中心とした知識や植物などへのこだわりです。アロマセラピーというと、一見、趣味的なものと捉えられがちなのですが、それをビジネスの形につなげていかれるところに、北尾さんならではの着眼が活かされています。

また、起業前の準備として、創業セミナーや経営相談窓口などの公的な支援も活用され、経営に関する知識を深めたうえで会社を設立されており、計画性と実行力を合わせもった方だと感じました。

今後、ますます、北尾さんのビジネスセンスに磨きをかけられて、ご活躍なさることでしょう。

添付資料(印刷用にご利用ください)

千葉真弓

レポーター:千葉 真弓(ちば まゆみ)

中小企業診断士

広告代理店、メーカーに勤務し、その後、中小企業診断士資格を取得。現在は、マーケティング戦略立案・小売業やメーカーの販売促進企画の支援・商品開発支援を専門分野として活動している。また、グリーンシート市場登録に従事した経験から、事業戦略立案、経営管理体制の構築等にも精通。中小企業診断士の受験機関で受験指導の講師を8年間経験している。
(株)HCハートコンシャス

博多区博多駅東2-5-28-2F
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事業内容  
アロマテラピー関連講座、個人カウンセリング、無添加化粧品プロデュース及び販売、アロマ関連用品(精油、基材、機材)

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