『人生とは友情と邂逅(かいこう)である』の思いで事業の承継を行いました。 (株)ベンソン 仁戸田修さん・野村康也さん

『人生とは友情と邂逅(かいこう)である』の思いで事業の承継を行いました。 (株)ベンソン 仁戸田修さん・野村康也さん

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事業承継 地域力連携拠点事業

会社経営は突き詰めると、その目的は「会社(事業)の存続」そのものである。経営者にとって、会社(事業)を、どのように承継していくか?後継者を誰にするか?そもそも誰に相談したら良いのだろうか?など事業承継について悩んでいる経営者は非常に多いと思われます。

このたび、福岡市でゴルフ用品の卸売販売・ゴルフ場やゴルフ練習場向けの施設コンサルティング事業等を営んでいる株式会社ベンソン(福岡市東区原田)では、福岡商工会議所での事業承継相談をきっかけに、事業承継に関わる後継者選定、承継に際してのデューデリジェンス、事業承継後の引継ぎ業務まで、短期間で非常にスムーズに事業承継を実現させました。

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-先ずは、仁戸田会長にお聞きします。「事業の承継」という経営者としてとても大きな仕事を終えられて、今はどのようなお気持ちですか。

私の人生訓に、“人生とは友情と邂逅(かいこう)である”という言葉があります。邂逅(かいこう)とは『巡り合わせ』のことです。

このたび、ベンソンの事業承継が短期間で、とてもスムーズに実行できたのは、まさにこの思いが通じた結果であると思っています。福岡商工会議所での相談、野村さんとの出会い、そして関係諸機関や支援者とのめぐり合わせや関係作りがこのような良い結果をもたらしたものと思っています。『偶然の巡り合わせ』。その偶然があたかも『運命的な必然の出会い』であるかのように感じました。

-さて、その事業承継への取組みを少しお話いただけますでしょうか。

昭和49年に、会社を創業しこれまで約36年間が経過しました。今、思い起こすと、実はその創業も『偶然の巡り合わせ』から、私がたまたま社長になり起業しました(笑)。

事業承継を考え始めたのは、4年ほど前からです。丁度私が60歳を過ぎた頃から体力の衰えを感じ始めておりました(ある程度は気力でカバーできると思っていたのですが)。その当時は創業期から経営を共に進めてきた右腕的人物(当時、専務取締役)に継がそうと思っておりましたが、残念ながら体調を崩し、退職を余儀なくされたため、この計画が叶わなかったのです。ちなみに、私には子供も3人おりますが、本人達にも、私自身にも彼等に後継の意思はありませんでした。

そこで、まずは社内から後継者を探すことになったのですが、代表権を譲るとなると、弊社のような中小企業は個人保証が大変な重荷になる。また、株式の譲渡に関わる費用も大きなハードルになる。一方で、社内および社外から後継者を選ぶことに拘らず、場合によっては、他の企業への事業譲渡も視野に入れておりました。しかしながら何度か金融機関等にも相談しましたがなかなか良い企業との出会いはありませんでした。

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-今回の後継者との出会いは、福岡商工会議所での相談がきっかけだと聞いていますが・・・。

金融機関だけでの相談ではだめだ、もっと多方面にアプローチしなければと思っていたところでした。福岡商工会議所に事業承継の相談窓口が設置されたとの会報誌に挟んであった「チラシ」を見て、一度行ってみようと思いました。でも、最初から大きな期待はしていませんでした(笑)。とりあえずは気軽に様子見のつもりで、自分の思いを聞いて欲しいと・・・。

-それからどのような展開でしたか。

2~3度、福岡商工会議所内の事業承継センターで税理士で専門家の川野さんと面会を重ねた後、具体的な企業評価支援や候補者情報等の提供を受けはじめました。後継の候補として企業が数社と個人が一人いることを伝えられました。そこで、先ずは個人の候補者にお会いすることにしたのです。

-その候補が、今の社長の野村さんだったわけですね。

はい。そもそも当社では、長く勤めている社員が多く、他の企業の買収では彼らの雇用継続に不安がありました。彼ら社員のことが一番の気がかりでした。その点で、個人で意欲のある方が当社の後継者になっていただけることが、会社のためにも社員のためにも一番だと思いました。

-野村さんの印象はどうでしたか。

初対面からビビッ!ときましたよ(笑)。

話した印象も誠実そのものですし、大手人材紹介会社に一貫して勤められ、直前は九州支社長まで経験した経歴や、退職後も起業に向けた研修に積極的に参加するなど、意欲的な行動面などにはとても興味を持ちました。ハロー効果とでもいいましょうか。以後、プラス思考で後継者としてイメージするようになりました。

-それではこれからは、その野村さんにお聞きしたいと思います。昨年(2009年)秋まではサラリーマンだったのですね。

そうです。業界最大手の人材紹介会社に新卒で入社し約20年勤めておりました。札幌・仙台・岡山・広島、そして福岡の計5拠点を統括する部長職と福岡・天神にある九州支社の支社長を兼務しておりました。福岡には4年前に家族を連れ着任し、当時から漠然と妻に「福岡に永住しようかなぁ」と半分冗談で話しておりました(笑)。

半導体・自動車産業の製造業が集積する九州地区は、技術者の中途採用ニーズが強く、支社の業績も良く、また優秀な人材が揃っていたので、成績だけでなく、一体感と元気の良い支社と前職社内では有名な支社でした。

そんな折、2008年秋のリーマンショックで人材ビジネスの業界は大きな影響を受け、前職でも大幅な人員削減を余儀なくされました。昨年の夏、部門長として担当部門の目処がたった時点で、自らも退職する決意をしました。転職を支援する会社でしたので、退職の決まった社員たちにはしっかり次の転職活動の準備を促していたにも関わらず、当の自分は先の見込みはほとんど無く辞めてしまいました(笑)。

-今回の、この出会いまでどのような経緯があったのでしょうか。


「起業・創業」を第一に考えておりました。実父が小規模ながらも、自ら起業し自営で商社をしていたことに潜在的に影響を受けていたかもしれません。父も40歳代前半で起業しましたから、「チャレンジするなら、失敗してもやり直しのきく40歳代前半で」、という思いで起業を志しました。それに前職の社訓であった「自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ」という言葉にも触発され、「一度しかない人生、やってみよう!」と考えました。

昨夏に、福岡商工会議所で開催された「起業・創業セミナー」受講者として参加しました。そして、そのセミナー講師をしていた税理士の川野さんと面識ができ、退職後に同会議所で窓口相談をしている川野さんを訪ねました。実はその時は「起業」の相談ではなく、退職後の確定申告など、くだらない相談だったのです(笑)。でも、その時初めて川野さんの担当していた窓口相談の専門は事業承継だったことを知らされ、「起業」以外に会社の「事業後継者」という可能性を示唆されました。

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-実際に今回のお話を聞き、どのように思われたのですか。

川野さんと雑談気味にしていた会話の中で、趣味の話しになり、川野さんも大好きなゴルフの話題で盛り上がりました。その流れでなんとなく、今回の話(事業承継)が出てきたのです。「起業・創業に拘らないなら、一度、検討してみては?」と提案を受けました。

様々な可能性を探っていた矢先でしたから検討してみることにしました。

私には「起業」「創業」に際して、3つの基準を決めておりました。①一人でするコンサルタント的な仕事ではなく、リスクは大きいが少ない人数でもチームで行う会社組織でスタートすること ②社会貢献できる使命感のあるビジネス領域であること ③“B to B”ではなく、“B to C”、つまり消費者と直接接点のあるビジネスであること。

この3つの基準に合致する可能性を感じました。

-今回の話を具体的に考えてみようと思ったのはどのようなきっかけでしょうか。

はい、やはりそれは仁戸田会長(当時は社長)との出会いです。私も初対面でビビッときましたよ(笑)。しかも、1回目よりは2回目、3回目、4回目と回を重ねる度に、社員への思いや会社を将来どのように引き継ぎたいかをお聞きし、そして先ほどの3つの基準と合致し始めていることに気付きました。それで、具体的に前向きに検討してみようとする気持ちが、回を重ねるごとに増してきました。

-実際に方向性を決めていくプロセスで相当悩まれたのではないでしょうか。

やはり、起業・創業よりも、いきなり大きなリスクを負うことへの不安、私にとって全くの未経験分野の業種であることへの不安、従業員と信頼感や一体感が得られるのかという不安、ゴルフ業界の厳しい現状と将来性に対する不安など、「不安」を数え上げればキリがなかったですね。ちなみに、今も不安だらけですが(笑)。正直なところ、当時他からもオファーが数件ありましたし。判断に迷うことも多いですから、実は毎月定期的にキャリアカウンセラーに相談する機会を設けておりました。

-そのような状況を経て、話が具体的になっていく過程で、専門家のアドバイスは如何でしたか。

川野さんは極めて中立的でした。会社(仁戸田会長)寄りになるわけでもなく、私寄りになるわけでもなく。ビジネスライクな対応ではなく、商売抜きというスタンスで、双方の当事者に第三者的な目線で、かつ専門家としての意見を十分に加味してアドバイスをもらったことはとても助かりました。結論を出すまでは正直悩みましたが、幾度となく相談にのっていただき、適時アドバイスをもらうことで、重要な判断の糧になりました。

-商工会議所においてこのような事業承継マッチングの仕組みがあることについてどのようにお考えですか。

私自身、前職で転職支援・採用支援を本業としておりましたのでよく分かるのですが、民間がビジネスで行うのではなく、極めて中立的に、真摯で公的な立位置で、企業の「事業承継相談」「後継者選び」にアドバイスできる仕組みがあることは素晴らしいことだ思います。

転職・独立・起業を志す個人にとっても、「偶然のいい出会い」に巡り合える、とても有益な仕組みであると思います。事業拡大や多角化を考えている成長企業にとっても、後継者問題と従業員の高齢化の問題はあるものの、やり方次第でまだまだ伸びる可能性のあるオールドエコノミーな業種の企業と出会える可能性や、起業を考える優秀で経験豊かな幹部候補人材と出会える仕組みはとても有益だと思います。

近い将来、当社の経営戦略上で、今度は“事業譲渡を受ける側”“優秀な人材を確保する側”でのエントリーをお願いすることになると考えております。

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-さて、また会長にお聞きします。今回の事業承継がスムーズに進んだポイントを教えていただけませんか。

あまりお互いに欲張り過ぎないということでしょうね。金銭面や権限など、互いの主張や要望を欲張ると話は進みません。欲張らず、後進に引き継ぐ方、引き継がれる方の双方の折り合いが大事だと思います。

-最後になりますが、これから野村社長や会社に望むことはどのようなことでしょうか。

一般的に会社の事業はリスクヘッジのため3本の柱が必要だといわれます。当社はこれまでゴルフを基本に事業を進めてきましたが、途中何度かゴルフ以外の新規事業にチャレンジしました。しかし、いずれもなかなか上手くいきませんでした。自分が成しえなかったことですが、ゴルフだけにとらわれず、新たな事業領域にもどんどんチャレンジをしてもらいたいと思います。

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-もう一度、野村社長にお聞きします。仁戸田会長の意思を受け、どのような思いで事業を引き継いでいかれますか。

まだ数ヶ月かしか経過しておりませんが、弊社を取り巻くマーケット環境は想像以上に厳しく、また変化のスピードの速さを痛感しております。これから起こる変化は、これまでの変化よりも大きいことは間違いないようです。

弊社は36年におよぶ業歴があり、400件近い顧客・仕入れ先様と取引させていただいております。社長が変わったことで、顧客にも、仕入れ先様にも、従業員にも、いい意味での「変化」をもたらし、会長が示唆する新規事業にも積極的に取組み、数年後にはガラリと変わった新生ベンソンにしてゆきたいと考えております。これまでの40年近い歴史をしっかり受け止め、さらに、これから先も永続できる会社に変化させるという使命感を持って引き継いでいきたいと思います。

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-今後の事業運営への夢や豊富をお聞かせいただけませんか。

我々はゴルフという素晴らしいスポーツをビジネスの商材としたノウハウと経験をもっております。少し大袈裟かもしれませんが、ゴルフというスポーツを通して、健康ビジネス・スポーツビジネスのあり方を考えてきたとも言えます。

今後、新たな事業を進めるにあたり、ゴルフだけに固執することは考えておりませんが、健康やスポーツというビジネス領域から大きく外れることは考えておりません。社員の採用についても、ゴルフを、スポーツを愛し、ビジネスにしたいという方に仲間になって欲しいと考えています。またゴルフに限らず、スポーツや健康をビジネスにしている経営者の方々やNPO、地域団体の方々ともたくさん会って話してみたいと思っています。そして、我々が単独でなくとも、それらの方々と連携して、小さくても何か新しいことを進めていければと考えています。

そのような小さな連携体がつくれれば、それが過疎や少子化で悩む地域おこしや町おこしにつながっていくと信じております。そういう意味でも、今後は九州の各地に拠点を作って情報交換を進めやすい仕組み作りと、地域貢献とビジネスを両立させていける会社にしてゆきたいと考えております。

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事業承継を支援した福岡商工会議所専門相談員の川野秀明氏(税理士)のコメント

福岡商工会議所で長く事業承継の相談対応やマッチング支援をしておりますが、そのなかでも事業承継がとてもスムーズに進んだ好事例です。昨年(平成21年)の4月仁戸田さん(当時は社長)が相談に来られ、その1年後には野村さんに代表を引き継がれたのですから、順調に支援対応ができました。

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その要因を整理して、いくつかポイントを挙げてみたいと思います。

一つ目は、前社長の経営がしっかりされていたことです。その成果は決算書にもしっかり反映されてあり、また会社の雰囲気もとても良い状態であることから、事業を引き継ぐ側にとって魅力のある経営状態であったことです。

二つ目は、前社長の事業承継に対する考えがしっかりされていたことです。特に着目したいのが、会社の存続を最優先しており、極めて自分のエゴは排除しているということです。また、その判断へのご家族の理解もすばらしいと思います。

三つ目は、後継社長の引継ぎの方針がしっかりされていることです。先ずは、現状の社風を引き継ぐということです。代表者が変わることで急に新たな色を出さず、社員にも無理をさせない方針であることです。一方で、新しい事業戦略はしっかり立てられており、こちらについては新たな人材や他企業とのアライアンスにより進められていこうとしているところです。

その支援の概要は、

企業情報の確認 → 財務診断・現地調査 → 譲受情報提供 → 面談 → 情報公開のための秘密保持契約 → 譲受への企業情報の公開 → 資産評価 → 譲渡条件提示 → 交渉 → 契約書の取り交わし(調印式)

このような流れでした。

当会議所の事業承継マッチング支援は、ただ単に企業の後継者を見つけてマッチングさせることだけではありません。引き続き野村新社長の事業運営をサポートしていきます。具体的には、合同面接会を通した新たな人材探しのお手伝いや、マーケティング支援など経営上のさまざまな課題解決に向けた支援を引き続き進めていきます。

【事業承継の流れ】

  • 2009/04 事業承継支援センターの窓口相談チラシを見て株式会社ベンソンの仁戸田社長(当時)が来所。事業承継専門家(川野秀明税理士)による、会社の現況と事業承継への思いや考えを聞き取り。
  • 2009/09 3期分の決算書等をもとに財務診断を実施。業暦も長く、内部留保もある十分にある優良企業であることを確認。専門家(川野秀明税理士)自ら、本社社屋に出向き現地調査を行う。会社所有の土地に自社保有物件(2階建て)があり、資産価値も十分であり、オフィス内や倉庫内も見学し、従業員の雰囲気もよく魅力のある会社であることを確認。
  • 2009/09 福岡市起業家支援セミナーの講師として川野秀明税理士が講演。起業準備をしていた野村氏がこの起業家支援セミナーに参加しており、川野秀明税理士と野村氏が名刺交換。
  • 2009/10 事業承継支援センターより専門家(川野秀明税理士)の派遣。会社所有の土地に自社ビル2Fがあり十分資産価値があり、社員の雰囲気もよく魅力のある会社であることを確認。
  • 2009/10 事業承継支援センターに野村氏が、起業準備や退職に伴う税金相談などで川野税理士を訪ねて来所。その中で、川野秀明税理士より「後継者を探している老舗の会社があるがゼロからの起業ではなく、業暦の長い企業の事業承継に興味はないか」との打診。野村氏からは「話を聞いて判断したい」との返答。
  • 2009/10 「多角化を考える企業数社と起業を考える一個人が今回の事業承継マッチングに興味がある」旨を仁戸田社長に説明。仁戸田社長から「まずは個人である、起業予定者に会ってみたい」旨を確認。
  • 2009/10 野村氏とベンソン仁戸田社長が、事業承継支援センターで、川野秀明税理士、福岡商工会議所事業承継支援センターの宮崎コーディネーター同席で、最初の面談。譲渡側(仁戸田社長)からは会社概要や事業内容、譲受側(野村氏)からは履歴書及びキャリアシート・職務経歴書を相互に提示。
  • 2009/11川野秀明税理士が同行し、野村氏が株式会社ベンソンを訪問。従業員には「社長の友人」と称して、オフィス内や倉庫を見学し、仁戸田社長と常務取締役(当時)の仁戸田夫人と会談。
  • 2009/11 仁戸田社長、常務の仁戸田夫人、川野秀明税理士の3人で、野村氏の印象と今後の方針についての確認。仁戸田社長から「ぜひ前向きに話しを進めて欲しい」と川野税理士に要請。さらに「我が子のようにカワイイ会社と大切な従業員のために、事業の継続、企業の存続が一番大事で、金銭面が第一条件ではない」と断言。常務である夫人も概ね、社長の意見に同意。川野秀明税理士からは、ベンソンの事業承継を成功するためには、商品の仕入と営業の統括責任者を兼務する取締役営業部長の佐藤氏の協力が不可欠であり、承継後は野村氏と佐藤取締役の相性が合うか否かが非常に重要なため、次の段階では、野村氏と佐藤取締役の面談を設定すべきであると進言。さっそく面談の日程を調整。
  • 2009/11 この段階では従業員には秘密裏にしていたため、会社から少し離れたレストランにて、仁戸田社長、佐藤取締役、野村氏、川野税理士の4人で会合。約2時間の会談の中で、佐藤取締役からは更に詳しい会社の事業内容、市場環境などを説明し、野村氏からも起業にかける思いやこれまでの経歴を説明し、互いの相互理解を促す。
  • 2009/11 野村氏に財務諸表(過去3期分の決算書、勘定科目内訳書、税務申告書)を開示するために、事業承継支援センターにて、専門家(成瀬裕弁護士、川野秀明税理士)の立会いの下、仁戸田社長と野村氏の間で、秘密保持契約を締結。
  • 2009/12 話をこれ以上、前に進めるかどうかの野村氏からの回答期限を契約締結日から1ヶ月以内としていたが、野村氏から「もう少し検討する時間を頂きたい」との要望。
  • 2009/12 川野秀明税理士事務所で、仁戸田社長、野村氏、川野税理士の3者で会談。取引先の状況変化による業績に与える影響や従業員の近況などを仁戸田社長から報告。川野税理士からは、仮に話がすすんだ場合の今後の段取りやスケジュールについての説明。仁戸田社長から「株価評価書(デューデリジェンス)の算定」を川野税理士に依頼。
  • 2010/01 川野税理士より、仁戸田社長に対し株価評価書の説明。仁戸田社長、川野税理士が相談の上、譲渡側としての株式譲渡に関わる条件を決定。
  • 2010/01 川野税理士より、仁戸田社長の希望する株式譲渡条件の提示。野村氏は、即答を保留。後日、野村氏から、野村氏の希望する諸条件を川野税理士に通告。
  • 2010/01 川野税理士から仁戸田社長に対し、野村氏の希望する条件面を伝えた上で、「条件面で仁戸田社長の希望に合致しなければ、当初にも話したとおり、ベンソンの事業承継には複数の企業が興味を示している。野村氏にこだわることなく、他に話しを投げかけるのも可能である」と助言。しかし、仁戸田社長から「野村氏とは、今年に入ってからも数度面会した。厳しい経営環境であることを理解した上で、野村氏がベンソンで挑戦してくれるなら条件面にはこだわらない」と回答。野村氏からも「仁戸田社長の意向を最大限尊重した上で、ベンソンを事業承継したい」と最終回答。
  • 2010/02 川野税理士より、事業承継までのタイムスケジュールの確認。3月2日が、仁戸田社長の66回目の誕生日であるということで、その日に株式譲渡契約書の調印式、また3月26日が会社の36回目の創立記念日で、社員総会を開く予定があるので、その日に全従業員に対し、仁戸田社長から後継者である野村氏を紹介、4月1日に正式に代表取締役に就任するという流れが決定。
  • 2010/03 福岡商工会議所の会議室にて、川野秀明税理士、福岡商工会議所事業承継支援センター宮崎コーディネーターの同席のもと、仁戸田社長、常務である仁戸田夫人、野村氏による調印式。
  • 2010/03 3月26日の株式会社ベンソン創立記念・社員総会にて、仁戸田社長から正式に社長交代を発表し、野村氏を社員に紹介。当日は、川野秀明税理士も列席し、今回の一連の経緯と仁戸田社長の事業継続への熱意、従業員を大切に思う気持ちが第一であったことが株式会社ベンソンの事業承継の大きなポイントであったと説明。
  • 2010/04 野村氏が代表取締役社長に就任。仁戸田氏は取締役会長として経営を全面的にサポートする新しい体制がスタートした。

【レポーターのコメント】

今、わが国では中小企業の事業承継が円滑に進んでいないようです。国ではこれを大きな問題としてとらえ、早急な対策を促しています。特に一回も事業承継を経験していない創業社長が経営している企業にその傾向が強いといわれています。

今回取材を受けていただきました仁戸田会長のお考えや行動は、その点で他の創業経営者への熱いメッセージのように感じます。

特に社員を大事にされ、取引先や金融機関等とも上手く関係性を保ちながら、事業承継を進められたことは、現場や周囲に大きな不安を与えず、とてもスムーズな展開のように思います。また、ご家族のご理解も同様です。中小企業経営者にとって、日頃から家族との企業経営に関するコミュニケーションの重要さを強く感じた次第です。

一方、後を引き継ぐ野村社長ですが、社長という重責を受けられる懐の広さと緻密な分析力の双方を兼ね備えた方との印象を受けました。

見方によっては、後継者というよりは起業家精神あふれる青年実業家との印象さえ受けます。これまで先代が築いてきた信用や事業基盤をしっかり引き継ぎ、併せて新たな事業展開や将来への夢やビジョンなど、冷静な中にも沸々と熱い思いが伝わってきます。

まさに、第二創業に挑む上でとてもふさわしい後継者と感じました。当社の益々のご発展を期待したいものです。

添付資料(印刷用にご利用ください)

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レポーター:薗田 恭久(そのだ やすひさ)

中小企業診断士

民間企業勤務を経て、情報通信関連会社を同僚と創業。以後代表取締役含む14年間に亘る企業経営実務を経験。その後2005年、有限会社薗田経営リスク研究所を設立、経営コンサルタントに転身する。事業承継支援、事業再生支援、経営革新支援、およびBCP(事業継続計画)・BCM(事業継続管理)の企業経営リスクマネジメント構築支援等を専門分野として、中小・中堅企業の支援を積極的に行っている。

(株)ベンソン

福岡市東区原田4-17-1
TEL:092-623-0011

設  立:昭和49年3月  
資本金: 2,000万円
従業員: 20名

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