高年齢継続雇用者の労働条件について
Q.当社は訪問介護事業を営んでおり、正規職員が32名、パートタイマー8名、登録型ヘルパー28名という人員構成です。正規職員の内訳は管理部門を含んだ内勤が6名、ヘルパーが26名です。
この正規職員のヘルパーで、まもなく60歳の定年を迎える職員が3名いるのですが、このうち1名については、急な欠勤や遅刻・早退が多く勤務態度も良好ではなく、また、利用者との間でトラブルをおこし苦情が出るなど、あまり良い職員とは言えず、当社としては実際は定年後もすんなり雇用したくないのです。
本人は定年後も働きたいとの希望はあるのですが、こうした職員についても65歳まで雇用しつづけなければならいのでしょうか。
A.高齢者雇用安定法が改正されて平成18年4月1日に施行されましたが、その内容は、65歳未満の定年を定めている事業主は、雇用する高齢者の65歳までの雇用を確保する為の措置(65歳までの定年の引き上げ、継続雇用もしくは定年の定めの廃止)をとることが義務づけられたことはご存知のことと思います。
このうち、実務上多く採用されているのは継続雇用制度です。再雇用制度をとるにしろ勤務延長制度をとるにしろ、企業側にとって労働者を選別することが可能となり、労働条件を柔軟に設定できるというメリットがあるためです。
継続雇用制度は希望者を定年後も雇用するという原則はあるものの、労使協定締結によって継続雇用の対象となる高齢者の基準を定め、当該基準に基づく制度を導入したときは継続雇用制度を講じたものとみなされる為、対象者の選定に当っては、労使間の協議により適切な基準を定めることが出来るという企業側への譲歩が認められた格好になっています。
ただし、労使協定による対象者の選定基準について会社の裁量を広く認めることになった為に、逆に意欲・能力等を出来る限り具体的に測るものであること(具体性)と、必要とされる能力が客観的に示され自分で予見可能なほどに客観的なものであること(客観性)が要求されています。
上記のことから御社においては就業規則に継続雇用制度について明記しておくのは言うまでも無いことですが、労使協定において、労働者の評価・査定について客観的・公正・適正さの確保された制度構築はもちろんのこと、勤務態度や業績の良くない職員に対して日頃より書面による指導・深い観察と能力や適性の比較、御社の業務への影響・利用者の声などを記録しておくことが必要になるでしょう。
さらに制度の運用については、雇用形態は必ずしも労働者の希望に完全に合致せずとも雇用確保の観点を満たしていれば、常用雇用のみならず、短時間勤務・隔日勤務等の形態も認められますし、継続雇用後の賃金等については改正高齢法では何ら制限なく最低賃金さえみたせば賃金減少も可能です。
したがって、現段階での御社のとりうる対応策としては、選定基準を決め、労使協定を締結して対象者と面談をして勤務態度等についてきちんと話し合って御社の方針を伝えて御社の望む労働条件を伝えることが必要になります。
また、労働者が御社の提示した雇用条件に応じないというケースも考えられますが、御社の提示した雇用条件が合理的な裁量の範囲を逸脱するような場合でなければ、労働者が応じなくて継続雇用されなくても改正高齢法違反とはならないでしょう。
本来であれば、対象者に対する選定基準を具体的・客観的に定め事前に公表し定年前に対象者に対してアンケートをとるなどして意思確認し健康状態をチェックするなどが必要となるでしょう。また、賃金水準が下がるのであれば事前に通知し理解を深めることが必要でしょう。















