保証人を取るとき、保証人になるとき、知っておきたい基礎知識
Q.当社では、取引先に頼まれて保証人になっている件があります。最近、その取引先の経営が厳しいようだという噂を聞きましたが、何とか保証人を外してもらうか、またはその取消や解約をする方法はないでしょうか?
また、当社は、売掛金等を保全するため、取引先と売買基本契約書を結ぶ際に、代表者やその親族の個人保証をもらっていますが、保証人の取り方によって、保証契約が無効になるようなことがあると聞きました。どういう点に気をつければよいでしょうか?
A.そもそも、保証人とは、本人(主債務者)が約束の債務を履行しなかったときに、主債務者に代わって、その債務の履行(=肩代わり)をする義務を負う者のことを言います。保証人の責任は、債権者と保証人との契約(保証契約)に基づいて発生するものです。
保証人の種類には、単純な「保証人」と「連帯保証人」とがあります。
「保証人」の場合は、あくまで二次的な責任ですので、債権者から請求されたときに、①先に本人(主債務者)に請求してくれと反論すること(=催告の抗弁権)や、②まず本人(主債務者)の財産を差し押さえるなどして、それでも回収できなかったら、その後に自分のところに来るように反論すること(=検索の抗弁権)、が認められています。
常識的に考えても、自分が借りたお金でもないのですから、請求されたら、「まず本人に請求してくれ」と言いたいところで、これらの権利があるというのは、一般的な感覚に合っています。
しかし、「連帯保証人」になると、これらの反論をする権利がありません。つまり、「連帯保証人」であれば、主債務者が十分に支払える状態であったとしても、それと関係なく、先に債権者から請求を受けることになりますし、これを拒否することはできません。
「連帯保証人になるのは、自分が借りるのと同じことだ」と、昔からよく言われていますが、これは、そのような連帯保証人の重い責任を言い表したものと言えるでしょう。
なお、保証契約は、口頭では成立せず、必ず書面で行う必要があります(民法446条2項)。もっとも、「書面」であればよく、必ずしも「契約書」という題名の書面である必要はありませんので、この点は注意が必要です。
保証に関しては、さらに、「根保証」という制度があります。
これは、保証限度額(これを「極度額」といいます)を決めておき、その限度額の範囲で本人の債権者に対する債務を包括的に保証するというやり方です。ポイントは、根保証契約を結んだあとに、債務残高が「増える」可能性があるということです。つまり、根保証契約をしてしまうと、その極度額の範囲内では、本人が借り増したりしたものについても、全部自動的に保証したことになってしまうわけです。
この「根保証」は、非常に大きな責任ですので、法律上、一定の制限が加えられており、個人が保証人になる場合は、書面に極度額を定めていない根保証契約は無効となると定められています(民法465条の2第2項、第3項)。
また、根保証契約において、元本確定日(=結局いくらの債務を保証することになるのかを確定する日)は契約から5年以内で定めなければならず、確定日を定めていない場合や、5年を超える確定日を定めた場合は、すべて自動的に契約締結日から3年後を元本確定日とすることになります。
なお、根保証については、特別解約権というものが保証人に認められています。これは、保証契約締結時に予想できなかった特別の事情が生じた場合(例えば本人の経済状況が著しく悪化したときなど)には、保証人から一方的に解約をすることができる制度です。
もっとも、解約をしたとしても、その時点までにすでに発生している債務についてまで保証責任を免れるものではなく、ただ、その後に増加した債務については保証しなくてよいというものにすぎません。
また、あくまで「保証契約締結時に予想できなかった特別の事情」が生じた場合のものですから、「やっぱりいやになった」とか「よく考えたら、怖くなった」といった理由では、特別解約権は発生しません。
保証人となった場合で、色々な事情があって保証人を外してほしいというときは、基本的には債権者と交渉することになります。一般的には、債権者は、代わりの保証人を付けるなどしなければ保証人を外してくれることはありませんが、夫婦や会社とその代表者といった特別な関係に基づいて保証していた場合などは、その元となる関係が解消された場合(離婚や取締役の退任など)には、交渉によっては保証人を外してもらえることもあります。そのような場合、任意に交渉するか、または民事調停を利用して話し合いをするのも一つの方法です。
一方、取引上の債務を担保するために保証人を取る際には、すでにお話ししたように、①かならず書面で約束し、保証条件等を明確にしておく、②根保証の場合は極度額と元本確定日(契約締結から5年以内)を明確に定める、といった注意が必要です。
また、これに加えて、保証人の保証意思の確認も重要です。単に署名押印をもらうだけではなく、実印を押してもらい印鑑証明を添付してもらうとか、写真付きの身分証明書を確認して面談で意思確認するなどの方法で、本当に保証する意思があるのかを確認し、これを記録に残しておく必要があります。
面談ができない場合、保証人の住民票上の住所に保証確認書を送付するとか、自宅に電話して意思確認するといった手段をとることが必要な場合もあります。
このような手続をとっていないと、後日、「自分は保証していない」「そんな話は聞いていない」「自分が書いたものではない」など、さまざまな保証否認トラブルを招く恐れがありますので、注意が必要です。
もっとも、保証人というのは本来は自分の債務ではないわけですから、いざというときも、なかなか支払いはしたくないもので、さまざまなトラブルや裁判の素になることが多いと言えます。ですから、債権者としては、保証人を取ったからといって安心せず、本人(主債務者)に対してきちんと債権管理を行い、主債務者から回収を行うという姿勢で、しっかりと管理をしていくことが必要です。
















