税務Q&A

利益の資本組み入れ 復活

Q.改正により、利益の資本組入れが容認されるようになったそうですが、その内容を教えて下さい。

A.平成21年4月1日施行の改正会社計算規則では、平成18年5月の会社法の施行に伴って禁止されていた利益の資本組入れが再び認められることになりました。

改正前の取扱い

旧商法においては利益の資本組入れも認められていましたが、企業会計原則における資本と利益の区分の観点から会社法でも禁止となり、資本組入れの原資は資本準備金やその他資本剰余金に限定されていました。

従来、利益の資本組入れは、財務の健全化、許認可要件や入札条件をクリアーする目的で中小企業を中心に行われていました。そのため、引受先がない状況下で増資を行わざるを得ない場合には、いったん既存株主に利益配当を行い、当該金銭配当金を原資として出資してもらい、結果的に利益を原資とする資本組入れと同様の状況となっていました。しかも、配当する額は所得税の源泉徴収の影響で組入れ額の25%増しで用意する必要がありました。

改正後の取扱い

今回の会社計算規則の改正では、中小企業に関連する団体等からの要望などにより、限定していた原資の範囲に利益剰余金等が復活し、利益から資本へ直接組み入れることができるようになりました。

今後の利益剰余金等による増資の際には、組入れ額相当の利益で足りることになります。

税務上の取扱い

税務上における利益剰余金等の減少は、「資本金以外の資本金等の額の減少」と整理されています。つまり、利益剰余金等を減少させて、資本金の額を増加させても、その増加部分は税法上、資本金等の額のマイナス・利益剰余金のプラスとして取り扱われるため、資本金等の額と利益積立金額はともに変動しないこととなります。

資本金基準を設定している税負担軽減制度には、法人税の軽減税率の特例、留保金課税の不適用、欠損金の繰戻し還付制度、政策税制の中小企業者等の判定等、交際費課税などがありますが、増資後で1億円を超えなければ税負担額には、ほとんど影響ありません。

また、資本金等の額は変化しないため、寄附金の損金算入限度額、法人住民税の均等割等も変動することはなく、金銭の授受もないことから平成18年度改正前と同様にみなし配当も課税されません。

利益の資本組み入れ 主な分岐点となる資本概念

山口 淳一

税理士・CFP®認定者

1967年生まれ。大学卒業後、某税理士受験校の専任講師として財務諸表論、法人税法及び消費税法の教鞭をとる。税理士事務所に勤務の後、平成15年9月に税理士法人YCAを設立し、代表社員に就任する。その後、事業承継や企業再生等の支援を事業目的とする(株)福岡企業統治コンサルティングの代表取締役に就任する。M&Aを含む企業組織再編や相続対策及び事業承継などを得意とし、企業統治の支援業務等を積極的に行っている。

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