「新型インフルエンザの基礎知識とこれから~メンタル面を含め~」(2009/10/25開催)

「新型インフルエンザの基礎知識とこれから~メンタル面を含め~」(2009/10/25開催)

新型インフルエンザの再流行が懸念されています。その第二波に備え、当所ではこの新型インフルエンザの正しい知識と情報を多くの方々にご提供するために「中小企業のための新型インフルエンザ対策セミナー」を開催いたします。今、企業が何をするべきか、今回の新型インフルエンザ発生に伴う教訓から企業の対策はどのように変わったのか、新型インフルエンザの予防対策、そして、大流行時の事業継続への取り組みについて解説いたします。予期せぬ脅威に対する事業継続手段のひとつとして、皆様の今後のビジネスにおけるご参考となれば幸いです。

本文の後ろに添付資料がございます。印刷してご利用ください。

BCP 地域力連携拠点事業

皆さんこんにちは。今日のお話ですが、まず最初に2003年、SARSの時の経験です。私は大学の教授であると先程紹介いただいたんですけれども、この仕事をしているのは2006年からです。それまでは外務省の医務官という仕事で12年間海外を歩いておりました。その12年間、スーダン、フランス、セネガル、そして2003年に北京に着任しました。着任した直後から、このSARSの話が始まりました。その時に経験した色々な社会不安であるとか、社会的な反応について、前振りで少しお話ししたいと思います。

それから、新型インフルエンザの基礎知識を約20分くらい。そして、最近の動向を15分くらいです。例えば、私は1週間前に講演を行ったんですが、その1週間の間にすでに3つ新しい事が出てきているんです。そういうふうに、どんどん新しい事が出て、変化していくのが新型インフルエンザですので、新しい知見というものをお話しします。そして、私たちは何をすべきか。最後に、メンタル的なお話を少ししていきたいと思います。それでは始めます。

まず、大規模な感染症が流行した時に、どういう事が社会では起こるのかということをSARSの経験から少しお話いたします。SARSというのは、新型インフルエンザよりも、より多くの方がばたばたと亡くなる病気。しかも、全く降って湧いたみたいなよくわからない病気。そういうものが社会にガーっと広がると、どういう事が起こるのか。2003年の3月中旬頃から、香港、広東の中心で流行しました。その頃、北京にもたくさん患者がいるのではないかと噂が流れていたのですが、中国の当局が事態を隠蔽しているということで、中々本当の事がわからない。公式の発表で、北京は患者が12人です。というふざけた事を言いました。しかし、4月にある医者がアメリカの雑誌に内部告発をしました。その結果、患者さんは三百数十人ですと、隠蔽出来なくなり発表したというのが流れでありました。その後、色々なパニック的な状況がどんどん広がっていきました。
 
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ということで、この間に社会はどのような反応を示したかということを、私は5段階に分類出来ると思います。これを、ゴロが良いのでPで統一して、いくつかの医学雑誌や学会で発表したりしています。

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まず、SARS phobia。フォビアというのは恐怖症という意味です。本当のことは中々分からないが、なんとなく噂が広がっているという状態が、この状態です。そういう意識が最初にあります。そして、疑心暗鬼です。この間、私は北京の地下鉄で通っていたんですが、実際に私の周囲にいる人たちが何人くらいマスクをしているのかを数えていったら、4分の1くらいでした。この数字は、社会に広がる不安を映し出す鏡なんです。

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そして、実際に本当の事が白日の下にさらされたということから、パニックは始まります。そうすると、日本人社会でも色々な所から問い合わせがやってきて、私も医務官という仕事をしていますから、大使館の中にクリニックがある訳なんですが、普通の診察ももう出来ない。1人の患者さんを診ている間に3回電話が掛かってくるという状態になりました。そして講演依頼が殺到しました。また、マスクの着用率は一気に9割以上という事になりました。

アメリカのニューヨークタイムズという新聞に、日本人は皆マスクをしていて変だ、けったいだという新聞記事を書いて、それが日本で話題になったことがあるんですが、マスクをするという事は、決して日本人の専売特許ではありません。海外でもこういう状態になります。

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それから、次に大変問題な時期がやってきます。paranoiaパラノイアというのは妄想症という意味なんですが、妄想というのは本来全く不合理な考えである。不合理な考えを、そうではないと否定して、合理的な説得で訂正しようとしても訂正出来ない、思い込みが強い状態を妄想と言います。まさにこの間は、社会では事実ではない噂が沢山流れました。○○会社。ここの○○には色々な会社名が入りました。例えば有名どころの、頭文字に三の字がつく商社が2つありますよね、そういうのもどんどん出て来るわけですし、あるいは今をときめく某○○○○の医療メーカーの名前もここに入ってきますし、色々な会社が入れ替わり立ち代わり、日本人社会の中でもこういう噂が飛び交いました。

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それから、すれ違っただけ感染。こんなことは現に起こるはずがないんですが。そして、何とかクリニックに日本人患者が発生した(という噂)。もっと酷いのは、当時の私達大使館に死者が出て、その葬式がどこどこで行われますと、こんなのも流れておりました。しかし、結局最終的にSARSという病気では、日本人は誰も感染しておりませんので、これは全部嘘なわけです。こういうふうに、本当によく分からない感染症が広がると、こういう噂が流れてくる。ですので、この対策が非常に大事になってくるということです。
 
感染がだんだん下火になってきますと、色々な政治的な動きが出来てきたりします。あるいは、感染が全部終わってから、日本に申告しに行った方々が北京に戻ってきた時に、色々なお話を伺ってみますと、一時帰国した時に日本社会から大変な差別を受けたそうです。葬儀出席も拒否だ、親戚連中は出るなと言われたり、本来義務教育は転校拒否などしてはいけないはずですが、どこかの教育委員会が、北京帰りだったらちょっと学校に入るのは待ってくれと言ったそうで、さすがにこれは新聞で叩かれていました。あるいは受診拒否など、色々な事が起こりました。感染症が流行すると何が起こるか。実に社会的な反応ですね。

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そしてSARS、その間を振り返っての考察です。当時の私たちは、大使館という立場で。当時7,500人いた日本人社会に対して色々な対応を行いました。特に大事だったのが、事実ではない噂がどんどん流れる事に対する対応というのが、非常に重要になりました。これをやらないと、どんどん社会は浮き足立っていきます。そして、インターネットによる情報提供やメールをしました。やはりメールで個人のいる所に、直接パソコンに情報が入って来るという形式が有効であるというのが、ここで分かった事です。

それから、情報はどういった形で出すのがいいのか。実は、当時大使間の中でも2つの説がありました。きちんと完成したもの、特に新型インフルエンザでもそうで、SARSはもっとそうです。次から次へと新しい知見が出て来ます。新しい発表が出て来ます。そうすると、以前言われていた事が、それはそうではありませんでしたと、ひっくり返ってしまうということがよく起こるわけです。それなら、話がまたひっくり返ってしまうかもしれないんだから、ちゃんと話が分かってからまとめて出す方がいい。よく分からない情報を出さない方がいいよと、私の直属の上司をはじめ、東大出身の優秀な公使の方々は、大体皆こう考えるんですね。しかし、ある日会議の中で、特命全権大使が「それじゃだめだよ!」と一喝しました。鶴の一声で、ある日からこっちにポンっとなったんですけども、どうも結果的に当時の在留邦人の方々とお話しをしていると、明らかにこちらの方が安心ですと言う声が沢山あったので、こちらの方が有効であるということが教訓として得られました。

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さて、新型インフルエンザ流行と社会不安。新型インフルエンザという病気が流行したらどうなるんだろうかということで、このスライドその物は2年くらい前に作っております。実は、私がおります近畿医療福祉大学は兵庫県にあります。日本で初めて(感染者が)出た兵庫県。兵庫県の中の特に、神戸市ですね、神戸市辺りの状況を見ておりますと、どうも非常に不幸な事に、半分くらい当たってしまったのかな、その通りになってしまったのかなというところです。特にこの、物が消える、これもやはりマスクであるとか、消毒薬なんかは神戸の薬局から全て消えました。あっと言う間に消えました。北京の時は物が消えるというのも、先程も言った噂ですね。噂からより深刻な事になったという事がございました。

4月下旬のある日、ある噂が流れました。北京市の周りを人民解放軍が囲んで封鎖する、だから食料が入ってこなくなるんだ。そういう噂がバーっと流れると、人々は皆スーパーにどんどん行くわけです。私も大変だというので、スーパーに行ったんですが、悲しいかな当時着任したばかりの私は、情報をキャッチするのが遅れたんです。一歩遅れて行くと、そのスーパーには物が何もなく、ガラーンと空になった棚を前に呆然と立ち尽くして、明日からどうしようかと思った、という大変なトラウマを持っているんですが、そんな事も起こったりします。という事で、これまでが前振りなんですけれども、要は大体よく分からない感染症(の噂)が流れたり、今までに分かった感染症でも話が少し変わってくると、何が起こるのかなという話をご理解いただければという事です。

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さて、ここから新型インフルエンザの話になります。新型インフルエンザとは一体なんぞや?まず、復習をしましょう。それまで、動物の間だけに発生していました。例えば、ニワトリであるとか、豚であるとか、そういうものだけに感染したウイルスが、何らかの遺伝子の突然変異を起こして、人から人へどんどん感染しやすくなっていった時に、それは新型インフルエンザが発生したと言います。そして、季節性インフルエンザ、つまりいつものインフルエンザと鳥インフルエンザ、豚インフルエンザ、新型インフルエンザ、これは全く別のものであります。今年の4月にこれが出て来るまでは、特に鳥インフルエンザ(H5N1)というものがひょっとしたらこっちに変わるんじゃないかというので、色々な事が言われていました。鳥インフルエンザというのは、実際にインドネシアや、エジプトなどで幾人かの人々が罹りました。しかし、その人達は鳥に密接に接していました。でも、人から人にはうつらないという状況でした。その当時言われていた鳥インフルエンザは、まだ今も鳥(のインフルエンザ)のままです。しかし当時、実は言われていなかったけれども、密かに豚の中で既に感染拡大していたものが、今度豚の世界からポンと出て来て人間に感染したので、新型インフルエンザと呼ばれているわけです。

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それでは、鳥インフルエンザを忘れていいのかと言ったら、まだ忘れてはいけないんです。頭の片隅にはちゃんと入れておかないといけない。と言いますのは、鳥インフルエンザはまだ鳥の間でしか流行らない。どうして流行らないかと言うと、それぞれの動物には受容体(receptor)という物があって、つまりこれはアンテナです。アンテナの部分が鳥と人間とでは異なるので、いくら鳥のインフルエンザがあっても滅多に人間は罹らない。例えば、今ここにラジオがあったとします。AMのラジオでいくらジージーやっても、FMを聞こうと思っても聞けないわけですよね。それと同じことです。ですので、今はまだ鳥のままです。しかし、このウイルスが消滅した訳ではないので、将来何か(別の)遺伝子が混ざってくると、怖いということがございます。
 
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さて、今遺伝子が混ざるという言葉をちょっと使いましたが、具体的にどういうふうにして、今私たちが脅かされている新型インフルエンザのウイルスが出ているかと申しますと、まず1つ、鳥にうつるウイルスがある。また、人間にうつるウイルスがある。

先程言ったように、こっちとこっちはアンテナが違う訳ですから、本来はこっちがこっち。こっちがこっちでお互いには混ざらないんですけども、豚という大変気の毒な動物がこの世には存在します。豚という動物には、鳥のウイルスとほぼ共通するアンテナを持っているんです。ですから、鳥のインフルエンザに罹ってしまうんです。それから、人間のウイルスにも罹ってしまうんです。その気の毒な豚の中でもとりわけ気の毒な豚さんがいまして、ある日人間のウイルスと鳥のウイルスに同時に感染してしまいました。何故そんな事が起こるのかと言ったら、例えばインドネシア、ベトナム、エジプト等の国では、零細農家の裏庭で豚を飼っていて、ニワトリもそこら辺を駆け回っているんです。それで、その一家の主人や奥さん、子供などが、餌やりをするんですね。だからみんな密接に接しているわけです。その状況で同時に人間もニワトリもインフルエンザになったら、豚さんにうつしてしまうということが、当然考えられるわけです。豚さんが万が一両方のインフルエンザに罹りましたら、その中でこれまた必ずというわけではありません。またある種の偶然が起こると、遺伝子が混ざり合います。遺伝子が混ざり合うと、この中で人間に、つまりこっちから来ている訳ですから、人間に取り付きやすい。なおかつ鳥の性質も持っているので、ウイルスの抵抗が出来なくて、どんどんこっちに罹ってしまいます。つまり、罹りやすくて、なおかつ病原性も未だかつてなかったものという新しいものが出来上がって、こっちに取り付いていくというメカニズムがございます。先程から豚さん豚さんと申し上げていますが、豚以外にアライグマも同じように両者感染可能ですので、同じような機能は果たし得るという事がわかっています。

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さて、私たちは4月以降もうここにいるんであろう、H1N1と今言われている型についてはここにいます。では、もうこれで終わっちゃったんだから、ずっと私たちはここにいるのか。1つ、実はまだ未解決の、起こるか起こらないか分からない問題がございます。それはひょっとすると私たちはここにいると同時に、まだ始発駅にもいるんじゃないか。つまり、終点にいるんだけれども、まだ別の始発駅にもいるんじゃないか。今私たちは完全に人間の病気としてのH1N1というものに煩わされているんですが、それと今まで鳥と呼ばれていたH5N1とがまたまた混ざり合って、またまた新しいウイルスが出て来る可能性も頭の片隅に忘れないで置いておく必要があるということです。何故頭の片隅であって、真ん中ではないのか、というのはまた後程説明させていただきます。

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そして、今私たちが悩まされているのがこれですね。新型インフルエンザと報道されているものの正体はこれでございます。インフルエンザのウイルスの中には、遺伝子RNAが8本ございます。それでは、その8本がどこから由来しているのか、どこからやってきたのかとう事は、よく分析してみますと、鳥から来たというのが2種類ございます。鳥インフルエンザのウイルスですね。それから人間というのは、つまり今言われた季節性インフルエンザのウイルス、これから1本。そして、北米の豚から来たのが3本。そして、アジア、ヨーロッパの豚から来たものが2本でございます。こういう複雑な組成をしています。こういう複雑な組成なのは何故かと言うと、先程非常に単純化した形でこの図を出しましたが、これは1回起こったという事だけではなくて、何度も何度も北米で起こり、アジアで起こり、色んなものが混ざり混ざりという事を繰り返しながら、こういう複雑怪奇なものが出来てきたということです。これまで、スペインインフルエンザ、アジアインフルエンザ、香港インフルエンザと、それぞれその時のニュータイプが出て来たわけなんですけれども、そのニュータイプもやはり、それぞれが色々と混ざりながら出て来た。ある日こういうものが天からポンポンポンと降ってきたかと言ったら、そうではないわけです。その時点で混ざって次のものが出て来ましたと。今回もこういうものが色々と混ざって、フルモデルチェンジになったということです。
 
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さて、そういうことで新型インフルエンザになり得るウイルスは、今流行中のものはA型です。A型の中のH1N1の2009年型豚由来というものです。しかし、これだけではないんです。鳥と混ぜる可能性もまだ十分ございまして、特にここ1、2年の中で人間に取り付いた前科者だけで、H5N1、H9N2など色々あるんですね。H2N2など、こういったものが、色々とまだ前科者は沢山野放しになっているんです。こういうものと、これがまた遺伝子交雑。豚の体の中で混ざっていくと、更にまた怖いものが出て来るのかもしれない。ただ、このことは新聞に、小さな記事なんですが載っている事は載っているんです。一部の非常に意識が高い方はこれが、ひょっとしたら明日にでも更なる新型が出て来て、今度は日本中で64万人が亡くなってしまうんではないかと心配する人がいらっしゃいます。

しかし、これは私の私見になるんですが、今日の明日のというそういったレベルで、突然この混ざったものに不意打ちをくらうという可能性は、あまりないと考えます。つまりこれが先程申し上げた、頭の真ん中ではなく、片隅にでも置いておきましょうという話はこれなんですね。それは、これが混ざったものがある時出たとして、それが豚の体内、あるいはアライグマでもいいのですが、豚の体内から人間の中に移って来る、この期間は結構かかるんです。今の新型と言われているH1N1は豚の中で確かに出来ました。しかし、これが人間にどんどん移って来る、つまり、遺伝子の中のあるアミノ酸が変化してという事なんですが、それには確か3、3年時間がかかっているという研究発表があります。つまり、新しいものが出来ても、それが人間の世界に襲いかかって来るのに数年かかるんです。
 
これまでは、いくらこれが数年かかろうが、何百年かかろうが、それは分からなかった。例えば、1918年のスペインインフルエンザが流行ったあの当時の科学技術の水準で、今私が申した事は何一つ分からなかったんですね。だから、いくらここの中で3、4年かけてやってきても、1918年の人にとっては、ある日突然不意打ちをくらったという話になってしまう訳です。

しかし、今この21世紀の平成の世の中というのは、1918年よりも人類は進歩しているんです。今、それより進歩した人類は、つまりこの中でもしも新しいものが出来たら、すぐに見つけてしまうんです。今年に入って新型が始まってから、5月以降も神戸大学という大学は、インドネシアに研究拠点を持っています。そこで、インドネシアの豚の中で、鳥のH5N1というのが感染したという所見をぱっと見つけ出して、ぱっと発表しているんです。それは、これですね、この部分だけです。こっちはまだないんです。この段階でぱっと見つけ出して、ぱっと発表しているんですね。そして、今こういう事が起こりそうな怪しい所、エジプトやベトナム、インドネシア等、世界には沢山あるんですけれども、みんな世界中の研究者達が虎視眈々と狙っているんです。狙っているというのは、早く見つけ出して、早く論文を書いて、1番乗りに。という事は、今1番乗りと言いましたが、世界中の豚の中は要は監視されている訳です。ですから、もしそういうものが出来たら、すぐに発表がある。それは皆さん学者の性ですから、早く論文を書いて、早く発表して、ということで必ず予告編があると思うんです。予告編があってから、今度はまたそれに則したBCPを作り、対策を取りということでいいと思うんですね。ですから、すぐに起こるかもしれないけども、それは頭の片隅で良いでしょうと言うのはそういうことです。
 
さて、話を戻しまして、今私たちが煩わされているH1N1型に罹ったかなと疑う場合はどういう場合か。発熱、咳、咽頭痛、これは8割以上。と言うことは、ほぼ全例と思って下さい。それから、鼻水、鼻閉、鼻が詰まった、鼻水が止まらない、頭痛がする、筋肉痛がする。これが過半数、50~60%台です。数としては減りますが、嘔吐、嘔気、腹痛。要するに、消化器症状と呼ばれるものです。ただ、いくら全例とか、1、2割とか言っても、これはいずれも特異的なものはないわけです。つまり、これは新型インフルエンザでしか起こりませんというものが何もないわけですね。皆季節性インフルエンザでも起こるし、あるいは季節性インフルエンザどころか、風邪だって起こる訳です。風邪をこじらせていったらこれが全て起こるんです。風邪と言っても、色んなライノウイルスや、ロタウイルス等があって、特にロタウイルスはこうやってもっと増えてきます。ということで、これがあれば新型です、と断言出来るものは何一つありません。
 
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それから、重症化するパターン。今の状況では、大体90%ちょっと位は軽症のままで終わるんです。しかし、それで終わらない人が5%位います。

終わらない人、つまり重症化してしまう人はどういうパターンかと言うと、発症から5、6日後くらいにドターっと悪くなるんです。急に息が出来なくなってしまうんです。呼吸困難になるんです。何故そういうことになるのかと言えば、肺ですね。ここではなくて、呼吸器の奥の方ですね。こっち側の方にウイルスがドワーっと増えてしまうんです。そして、(ウイルスが)増えてしまってウイルス性肺炎という状態になります。息が出来ないと今言いましたが、急性呼吸促迫症候群(ARDS)という非常につらい状態になってしまいます。こういう状態になると、やはり重症、ICUですね、集中治療室に入院していただいて、人工呼吸をかけるということにどうしてもなってしまう訳です。それから、基礎疾患、持病がある人が重症化しやすいというのは有名になってしまいましたが、どういう病気が重症になる基礎疾患なのかと言うと、それは多彩なんです。一定はするんですが、次から次へと新しいものが分かっていくというのが正確なところです。

それと、妊婦。妊娠した人は重症化しやすいので、妊娠した人はすぐに治療して下さい。インフルエンザかな、風邪かな、どうかな、ああかなと言って、家でゆっくりしていては駄目なんですね。その妊婦は何を飲んだら良いのか。イギリスではリレンザという、吸い込み式ですね、吸入式の薬を勧めています。吸入式の方が胎盤や赤ちゃんの方に流れてくる量が少ないという根拠で言っています。アメリカは、タミフルという飲み薬と吸入の薬とを並列してお勧めをしています。いずれにしても、早く薬を使えと言っているんです。勿論日本も言っています。それから、5歳未満、65歳以上という方もよく重症化します。後は、19歳未満でアスピリンの治療とかですね、長期入所者など、こういう方々がいます。
 
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今、基礎疾患というのは、色んな病気があるというお話をしたのですが、例えば慢性呼吸器疾患ですね、気管支喘息、肺気腫、拘束性肺疾患。みんなここに○○○、○○○(配布資料より)と書いてありますよね。というのは、ここに属するものは、よくあるパターン以外のものもあるということです。つまり、患者数の絶対数が少ないとあまり報道に乗ってこないわけなんです。

喘息があると重症化するよ、くらいは新聞も書いてくれるし、テレビをつければ朝からみのもんたさんが教えてくれるんですけども、そうじゃないものも色々ある。例えば、嚢胞性線繊維症なんていう病気があります。この病気は、スウェーデン系、北欧系のあるプレスが報道していました。それから、腎疾患。これも糖尿病をこじらせて、コントロール出来ないとそのまま腎不全にまで行ってしまうという人がいます。

腎透析の中で1番多い原因は、糖尿病、腎不全。こういう方は勿論リスクが高い。白血病、再生不良性貧血も勿論そうです。それから、心因欠陥障害、心房中欠損症、心室中隔欠損症。これも、マレーシアの報道で、ダウン症候群という先天性疾患があるんです。そのダウン症候群に掛かった子供、気の毒な子供。実は結構可愛いいんですね、ダウン症候群(の子供)というのは。それはそれとして、要はこういう病気を合併していて、心臓の右と左の間の壁のどこかに穴があいていて、血流が通ってしまう。こういうのもリスクの一つです。

それから、肝疾患、神経・筋疾患、代謝性疾患、糖尿病、重症筋無力症その他色々あります。皆さんに覚えてほしいのは、ここに○○○(配布資料より)とか、その他とか書いてありますよね?つまりこれが全部じゃないんです。また、全部が分かりきっているかと言ったら、分かりきっているわけでもないんです。ですので、とりあえず何らかの持病を持っている人はとにかく罹ったらすぐに受診をしましょう、という事を頭に叩き込んで下さい。あるいは、勿論みなさん自身だけではなくて、みなさんの会社の方やご家族の方、皆さんそうなんです。何らかの持病があったら、新聞に載っているものが全てではないという事です。

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さて、重症化のサインとはどんなものか。これは、呼吸が速い、呼吸がしづらい、要は息がしにくい。これは、すぐに(病院に)飛んで行って下さい。それから、顔色が悪い、痙攣がある。やはり、酸素のガス交換、酸素をちゃんと十分に取り入れる事が出来なければ、どうしても顔色は悪くなります。それから今特に話題なのが、インフルエンザ脳症ですね。脳の方に行くと、意識が障害を起こします。その意識障害を早く見つける事が大事です。意識障害と聞いて、もう気絶している状態とか、もう目を瞑って倒れていて、「おい」と言っても起きない状態とか、それは皆さん想像されると思うんです。けれども、それだけが意識障害ではなくて、もっと早くの段階、気絶する前に、例えば、ちゃんと目を開けてちゃんと自分の2本の足で歩いている、でも実は軽い意識障害が始まっています。その段階で早く見つけなくてはいけないんです。気絶する前に見つける。
 
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それでは、早く見つける1つの鍵は、これです。見当識という概念です。

見当識というのは、時間と人と場所、この認識能力が普段のその人と比べてずれるか否かというものです。例えば、今昼なのか夜なのか、それまで分かっていた子供が急に分からなくなってしまった。夜中の3時におやつを下さいと言い出したとかね。あるいは人。お母さんが分からないとか、場所。今お家の中にいるのに、お菓子屋さんにいたつもりで話している、学校にいるつもりで話しているとかですね。そういった、時、人、場所の認識がずれる。これは、意識障害を早く見つける1つの鍵です。後は、話しかけても反応が悪いとか、奇妙な事を言うとか。そこら辺は新聞にも載っていると思うんですが、この見当識という概念を是非覚えて下さい。

それから、十分な水分が摂れない。いつも通りの尿量が出ないといった事も、これは脱水のサインですから、早く病院に行って、点滴をしないといけないわけですね。それから、ひどい、または継続する嘔吐。それと、一旦熱が下がってやれやれと思ったら、また熱が出て来る。これは少しおかしいサインですね。これも是非重症と認識して下さい。
 
さて、これまで分かってきた事は、大体重症化して入院に至るのは5%前後です。5%と言うと、結構ばかにならないんですよね。100人いたら、5人ですから、この部屋にいる人だけでも5人重症化してしまうということです。ごめんなさい、ここにいる人がもしも全員罹ったら、5人重症化してしまうということですね。この数字はばかにならないです。それで、重症化の多くは合併症があるんですが、ただ合併症の種類は今新聞に載っているだけでは言い尽くされていなくて、あるいはまだ分からないことも多々あるということ。とにかく、自分が持病を持っていれば、会社の人が持病を持っていれば、気をつけて下さい。早く、早くタミフルを飲みましょう。
 
タミフルというお薬なんですが、リレンザも同じなんですが、あれはウイルスがそれ以上増えないようにするお薬なんです。決してウイルスをバシバシと殺していくお薬ではありません。だから、もしこういう重症化しやすい免疫が低下している人が、バーっとウイルスが増えてしまったら、もうなす術がないんですね。それ以上増やさないことは出来るけれども、それをバシバシと殺していくことは出来ないわけですから、こんなふうになってしまう前に、特にこういう基礎疾患がある人はこういうふうになりやすいわけですから、そうなってしまう前に早く早くお薬の投与を始めて下さい。もちろん妊婦もその1つ。

それが1つと、それからちょっとまた別の話で、非常に気色悪い話があるんです。基礎疾患が、つまり持病を持っていないのに、肺の中でウイルスが増えてしまって、重症化するケースが多くはないですが、少数存在するということ。これは例えばカナダの青年層がウイルス性肺炎でどんどん重症化してしまうと、死ぬ事は少ないとは言えども、カナダのケースレポートではその人たちは1ヶ月間、4週間から5週間ずっと人工呼吸しているわけなんです。つまり、病院から退院出来ない訳です。非常に辛いことです。そういうことが起こっています。

しかもこれをわざわざ赤字で強調しているのは、それは別に鳥と混ざったとか、何とかかんとかの遺伝子変化ではなくて、今現在ある、現行のウイルスで必ずこれは起こっているんだということですね。あるいは昨日、WHOのアジア太平洋地域の事務所が発表していたのは、アジアだけに限って言うと、死亡者の25%は基礎疾患がなかったそうです。やはり基礎疾患がなくて、重症化する人は勿論過半数には絶対ならないが、ばかにならない数が十分いるという事です。

致死率は、季節性インフルエンザの8倍、0.4%。あるいは、更に最近新しいデータが出ましたが、0.5%。あまり大差は無いですけれども、1番新しいデータが0.5%ですね。という事は、8倍から10倍。それから、感染率はそんなに今までと変わないということです。

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さて、これから特に注目していかないといけないこと、第一波、第二波、第三波。過去の新型インフルエンザ、つまり1918年の時点ではスペインインフルエンザが新型インフルエンザだったんですけれども、その時は、最初にバーンと襲われて、その後終わりました。そうしたら、半年くらいしたらまた大流行の波がバーンと来ました。しかもこの時に皆はどんどん重症化しました。バタバタと赤い兵士たちが死んでいきました。こういう波状攻撃で、しかも第二波が来た時には、第一波の時よりもより多くの犠牲者を出したということがありました。歴史に学べば、たしかにそうなんですね。

しかし、もちろん歴史と今とが違うのは、やっぱり人類は進歩するんです。その1918年の時点では何も武器を持っていなくて、右往左往するだけだったのが人類とウイルスの戦いの本質でしたけれども、今は全然違うわけです。そうではなくて、人類は、例えばどんどん新しいワクチンを作ることが出来る。或いは治療薬もそうです。今ではタミフル、リレンザということを言っていますけれども、もしそれに対する耐性が出来ればどうなるのか。もう既に次の世代のものが続々と出来つつあります。まだ臨床試験中ですから、売り出しはされていませんが、例えばペラミビルという薬は点滴で投与することが出来、一回の点滴で投与が済む。また、富山化学はT705とか、第一三共はCS8958などもあります。第一三共の薬は吸入式ですね。富山化学のT705は飲み薬です。ペラミビルは点滴、注射薬です。そういった、次から次へと新しい色々なものが出てくるわけです。ということで、この通りになるわけでは多分ないだろうなと思います。もし今の人間が1918年から一歩も進歩していなかったらこうなるかもしれないけれども、それは多分違うシナリオになるでしょう。しかし、注目しなくてはいけないものです。

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そして、鳥との遺伝子交雑の話ですね。これも、頭の片隅には置いておいて、注目はしなくちゃいけないわけです。今日の明日のと、恐れることではありません。フェーズは、もうフェーズ6ですね。

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それから厚労省も独自の段階分類をやったんですけれども、どうも今は運用を停止しているらしいんですね。しかも停止したということをホームページにちゃんと大きく書かないから、ますます特に、あるメーリングリストで、例えば大企業の人たちの危機管理セクションの方々、私もよく情報交換をするんですが、皆さんがけしからんと言っているのは、この第一、第ニ段階で、「今はもう国内発生でピークになっているから第三段階になるんですね」と厚労省に聞いたら、厚労省のホームページには第ニ段階と書いてあるんですね。それで、「どうして第三段階じゃないんですか」と聞いたら、実はこの前提となる行動計画が、これが(ウイルスが)弱毒なので、もうこれは運用はしていないと(いう話でした)。だからこの段階も当然止まっているんですという、そういうことは言わなくても分かるんじゃないかという話ですよね。まあそれはそれとして、今はこういう、ピークは上がりつつあります。

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さて、対策としては何があるのかと言ったら、医学的介入は抗インフルエンザ薬とワクチン、そして医療体制の整備、あるいは医学的な介入以外のことでは、社会的な接触のチャンスをとにかく減らす。集会、○○○(イベント)の自粛とか学校閉鎖など、方法論としては色々なものがあります。そしてワクチンなんですけども、本来どうやってワクチンを作るのかといえば、卵の中にウイルスを弱毒化して植え付けて、それを培養して作ります。一部の、例えばアメリカのバクスターだとか、イギリス由来で今は多国籍企業になったグラクソ・スミスクラインなどという会社は、こういうものを細胞培養法という新しい方法でやっているんですけれど、中々日本のワクチンメーカーの中小企業4つではそこまで技術力がないので、ただグラクソと協力してやりますという発表はありましたけれど、まだ今のところそれが出来ていないので、どうしても上限に限りがあります。

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ちょっとこれは、皆さんにお配りした資料の中で一ケ所、実は昨日数字が変わったので、この私のパワーポイントもつい先程喫茶店で直したところですので、書き加えて下さい。一応、本年度中に製造できるワクチンは、日本国内で出来るワクチンは2,700万人分です。その次の優先順位ですが、ただ日本の人口は1億2,000万人ですから、いくら情報を修正したって、1億2,000万にはどのみち届かないですね。だから、更にここにプラスして、いきなり海外から輸入をして上積みをするということが今考えられているわけです。

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ワクチン優先順位の議論なんですけれども、日本はまだ正式発表をしていないんです。最終方針案というのを示して、これからパブリックオピニオンを集めるという段階で、ドカドカっと発表されましたから、世の中では日本はもう決まったんだと思っている人がたくさんいるみたいなんですけれども、今月末になんとか決めようと、パブリックオピニオンは9月13日で締め切ったので、一応集計して、それに基づいて直しているはずなんですけれども、今のステータスは一応議論中ということになっています。一応最優先は医療従事者、基礎疾患、持病を持っている人、妊婦、1歳から就学前の小児、1歳未満乳児の両親、こういった人々です。ごめんなさい、これも先程喫茶店で付け加えたものです。皆さんの資料に書き加えて下さい。小学校の低学年、これも優先から最優先の方に動かそうというところまで今来ています。それは何故かと言うと、1,800万の計算だったのが、2,700万に増えたからであります。そしてその次の、ちょっと低めの優先順位は、小中高生とか65歳以上の高齢者とか、そういう人が入っています。英国ではもう既に決まっています。医療従事者、妊婦、5歳以下の子供、65歳以上、慢性疾患のある成人。18歳以下とか、もうちょっと広くとっていますね。さすがにイギリスは、例のグラクソ・スミスクライン社の、グラクソの方が元々はこういうのを発祥(提唱?)しているんですね。ということで、そういう大企業を持っているので、結構強気なことが出来るんです。

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さて、最近の動向であります。まず、(新型インフルエンザの感染地域は)世界中のどこにありますか。WHOの地図を見たら、もう世界中にあります。皆色を塗ってあります。ユートピアなんかどこにもありません。皆世界中お友達です。

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では、最近のトピックスにはどんなものがあるのか、いくつか拾っていきます。タミフルが効かないウイルスが現れました、という報道が、ベタが二段くらいであるんですけれども、ただこれは、こういうのがちょこちょことあるんですけれども、今の段階ではあまり心配しないで下さい。それぞれ、デンマークで一人見つかりました、大坂で一人見つかりました。香港はさすがに他所から来たやつなんですけれども、皆これ、一人見つかりましたという話ばかりなんです。それはどういうことかと言いますと、その人たちは皆濃厚接触者、自分の家族やお互いの友達などが感染したから、濃厚接触者として予防的にタミフルを投与されています。予防的に、その人は罹っていないけれども飲んでいって、その間に身体の中で、感染には至っていないけれども体内に入っているウイルスがちょっと変化をしてしまった。それを研究的に採ってみて分析をしたら、タミフルが耐性の形になっていたと。

ただ、今申し上げたように、この人たちは予防投薬です。ということは、この人たちは発症していない、つまり咳だとか、痰だとか熱を出してウンウン唸っているとか、そういう話はないわけです。だから、このタミフル耐性のウイルスの飛沫を飛ばしたかと言えば、そういうことはないわけです。ですので、その人限りの話です。

また、アメリカのキャンプ地で、同じキャンプにいた子供からタミフル耐性のウイルスが、人人感染を初めてしました。そういった報道もあります。ただそれも、非常に特異的な話です。ということで、これはあまり今の段階ではそんなに心配しないで下さい。

もちろん、季節性のH1N1は、例えば鳥取県でたくさん耐性ウイルスが出たとか、昨年は色々と報道があったんですけれども、そういうことで、もう何ヶ月、半年とか1年とか2年とか、そういう時間を経ながらウイルスが段々変容していって、タミフルが効かないやつがどんどん出てくるという可能性は、将来の課題としては勿論可能性はあります。これが広がってくる可能性は将来としてはあるんだけれども、ただ、恐らく今日いらっしゃっているのは、そういう2年後、3年後という話よりも、今どうしようかということで皆さんいらっしゃっていると思うので、これはとりあえず、今日のお話としては、やっぱり頭の片隅に置いておいて下さいというレベルかなと思います。後は、南半球は冬だったのでかなり流行りました。これは当然ですね。

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それから死亡数の拡大。これは死亡数がどんどん拡大していくと、やっぱり社会不安というのは高まるんですね。それで私たちよりも一足早く、イギリスという国ではこれ(死亡)が起りました。イギリスの保健省も最初は冷静だったんですけれど、イギリス人も、段々人が死にだすと皆パニくってしまったんですね。イギリスの保健大臣は、「これから毎日40名、イギリス人が死ぬかもしれない」と、こんなことを言ったりしました。結局はこうはならなかったんですけれども、そういうことでパニックが起こりました。またこの人は同時に「妊娠するな」とイギリス国民に向けて呼び掛けたりしたんです。妊娠するのは待て、このインフルエンザが終わってから楽しいことはすればいいからと。勿論そんなことを口走ったら大変です。国会で追求されるんだけれども、ただあの国は、「けしからん」という追求の仕方はあまりしなくて、「あなたはそんなこと言っていますけれども、ではどうしてこういうことになったんでしょうか」と。それは、「やはりこのイギリスの最初の対策が遅かったからじゃないですか」とか、「もっと早くやっていればそんなことにならなかったんじゃないですか」とか、そんなことでネチネチと結構苛められる。

あと、マイノリティーグループの重症化、それから先程も申し上げましたけれども、もう一回言います。合併症が、持病がない症例でも重症化するということが起こり得ます。それで、ウイルス性肺炎が進行していく。そういう人たちは、1ヶ月以上人口呼吸器から離れられない、後遺症を残してしまう人もいるということがあります。これはもういいですね。

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それから、新型インフルエンザは、これは侮ってはいけませんというお話ですね。5分の1の量のウイルスでもどんどん感染していってしまうということです。

それから家庭内感染。これは神戸のデータを国立感染症研究所が集めて発表したものです。家庭内感染は、いつ起こるのか。それは最初、例えば子供が学校から(ウイルスを)もらってきて罹った、その日なんです。もちろん感染して熱が出て、病院に行ってタミフルをもらって、冷や汗をかいてウンウン唸っています。そうしたら、家族皆が気を付けるんですね。この後うつらないように。でも、気を付ける前、つまりまだ、何かしんどいとか、ゴホゴホ咳を始めた、その辺りが、結構家族の方も警戒体制に入っていませんから、(ウイルスを)よくもらってしまうということになります。これは、神戸の9月の、感染者の家庭を追跡したデータです。これは家庭内、家庭内と言っていますけれども、よく考えたらこれは会社内でも一緒ですよね。会社内で誰か感染者が出たら、何に気を付けなければいけないかと言ったら、感染した最初の時、最初にゴホンとした咳とか、最初の熱の出し始め、そこでちゃんと防衛体制を取らないと、そこでうつってしまいますよ、ということです。

それから、ウイルスの排出期間は、季節性インフルエンザよりも長期間です。これは、カナダとシンガポールの2ケ所で全然別の人たちが研究をしていたところが、一応こっちに書いてみたんですけれども、感染した人がいつウイルスを出すか、ウイルスを含む飛沫を出すか。つまり、うつされてしまう可能性があるのはいつかということに関して元々以前から分かっていたのは、発症する前の日、半日くらい前からどうもウイルスを排出しているということです。それでウイルスをどんどん沢山出していって、しかし薬などで治ってくればだんだん減ってきて、この発症した日を基準にすると、一週間というのが説です。解熱して、本人が元気になってから、この日を起算として二日間が、感染してしまう可能性のある時期ということでありました。ですから、厚生労働省のホームページを見ても、会社に行かなでいで下さい、学校に行かないで下さい、もちろん遊びにも行かないで下さいと呼びかけているのは、この数字なんです。

ただ、ここで今言っているのは、後程紹介します私のブログに載せて一週間経つか経たないかくらいなんですけれども、この日よりも、更にウイルスを排出しているというのがちょっと分かってきました。それで、発症後一週間、これで大体OKと思われていました。この段階でまだ10%の患者さんがウイルスを出しています。もちろん9割りはもう出していないんですけれど、10%の患者さんはまだウイルスを出しているという発表があります。最大12日経ってからも、ちょっとはウイルスを出しています。そういう発表がありました。これは一応、頭の片隅と言うよりは、もう少し真ん中に置いておいて下さい。

ただし、厚生労働省のこの基準がすぐに変わるかと言ったら、おそらく変わらないと思います。何故ならば、この段階を過ぎてもちょっとウイルスを出していると。じゃあこのウイルスは、どれだけの量を出しているかというのはまだ分からないんです。と言うのは、例えば私が患者だったとして、私がウイルスを一粒だけ誰かにあげたとしても、その人は罹らないですね。普通の抵抗力がある人は。ある程度のまとまった量が入ってきて、それが増殖して感染になるということです。ですから、ここでまだ10%の患者はウイルスを出しているんだけれども、この出しているウイルスが他の人に感染させるに至るだけの量を出しているかどうか、そこがまだ分からないんです。データがないんです。出しているということだけが分かっていて、「え?」と皆思っているんだけれども、まだ感染するかどうかは分からないんです。ですから恐らくは、厚生省の基準はすぐには変わらないはずですね。

ですので、一応これは頭の隅っこよりもちょっとこっち側(真ん中)に置いて下さいというのは、皆さんの会社の中で、感染者が出ました、休ませます、「出てくるな」と言った時に、どれくらい(休ませるのか)。1週間、2日。これで当面はいいんだろうなと思うんですね。ただ、もし免疫不全の人がいる、HIVの感染者の人だとか、癌の末期の人というのがオフィスで働いているということはあまりないでしょうが、例えば会社というよりも、お家の中やご近所の中で、特に免疫昨機能が低下している、つまり普通の人が感染するよりも少ない(ウイルスの)量で感染してしまいそうな人がいたら、ちょっとこれは意識して下さい。意識するだけじゃなくて、その人と接したりするのは、もうちょっと、12日というデータがあったのでこれ以後はもう大丈夫だと思いますけれど、ということです。

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それから、後はこれは、季節性の普通のワクチンを接種すると、これは違うワクチンだから「かえって」という表現はおかしいんですけれども、季節性ワクチンの接種をすると、新型にむしろ罹りやすくなってしまうというデータがカナダの、カナダ人2,000人を使って調べたデータが報告されています。後、免疫賦活剤というものをワクチンに入れると沢山生産できるんですけれども、でも危険性がどうなのかまだ分かっていないから、色々と侃々諤々とやっているということがあります。

それから、血液中の免疫グロブリンのG、一つ言っておきます、AGGの2という○○というのが重症化する人の全身(のデータを)バーッと取って調べてみたら、ほぼ共通して低下している。だったら、重症化しやすい人には免疫グロブリンを注射したらいいのではないかということを今言いだしているのがオーストラリアの研究者です。この辺りが最新の話題です。後は、鳥インフルエンザも平行して進行しています。

さて、次に私たちは何をすべきか。まず、私たちの対策の取り方によって、パンデミックの風景は当然異なってきます。皆が皆、もうテレビの人は帰ってしまいましたが、さっきテレビの人が、「これ(パンデミック)になったらどんなことになりますか」とおっしゃっていましたが、「なりますか」じゃなくて、私たちの動き方、私たちの対応によって、それを少なくしましょうという、むしろ能動的なお話だと思います。

さて、まずは手洗いを皆さんは会社に帰って、あるいはお家の中でも、構成員の方々に強く言っていただきたいです。指の間もきちんと洗って下さい。擦って下さい。それから手の平も洗って下さい。手首もきちんと洗って下さいということです。これによって、色んなウイルスを除けられるんです。風邪のウイルスもそうなんです。例えば、トイレなどで手を洗いましょうというのは、消化管ウイルスなんかもこれで落ちるからなんです。

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ちょっと私のブログにも書いたんですけれども、アメリカのCNNが、この新型インフルエンザについては、この手洗いだけではなかなか抑えられないと報道していますが、しかしそれでも、手洗いはきちんとやれという話で最後は締めくくっています。しかし、手洗いだけに頼ってはいけないということですね。ごめんなさい、その前に手洗いの意味。どうしてそうかと言うと、主流は飛沫感染です。

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例えば私がグシュンとくしゃみをしました、それでここに(ウイルスが)付きました、後でこれを片付けていただく方がこれを触ると、私のこれ(ウイルス)が手に付っつきます。それが手に付着して、長いこと手の上にいることはできません。 ただ、これを触ったすぐ直後くらいにその方が、口を触る、鼻を触る、目を触るということがあれば、そこから入ってしまうということです。それでは、口、鼻、目を触るなと教育すればいいじゃないかと言えば、全くその通りです。ただ、なかなかこれを人間に強制するのは難しいんです。ある研究によると、人が3時間のうちで、何回鼻、目、口に触るかカウントをしたという暇な研究をした人がいるのですが、3時間で口の回りを触った回数は24回だったそうです。普通の人は3時間に24回触るそうです。つまり、触るなと言っても無理です。それよりも前、中間のこの段階でオミットしちゃいましょうという話になります。 咳エチケットです。これはくしゃみの飛沫を飛ばさないようにすぐに押さえて下さい、あるいは手で触ると手に(ウイルスが)沢山くっついてしまうので、もしハンカチを持っていなければ、こっちでで押さえて下さいということです。また、マスクはその飛沫を他人に飛び散らかさないためにも、して下さい。これはアメリカのCDCとミネソタ州の保健当局がやっているポスターです。

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実は、このポスターは色んな言葉があるんです。さすが他民族国歌です。ここにアプローチすると、下に言語選択欄があって、それぞれ選択すると、これが出てきます。例えばこれは中国語バージョンですけれども、もし皆さんの会社で外国人労働者を雇っていらっしゃれば、それに応じまして、例えば中国人を使っていらっしゃるのであれば、中国語バージョンをこうやってプリントアウトする。あるいはブラジル人を使っていらっしゃるのであればポルトガル語バージョンをこうやって出してプリントアウトして、あちこちにペタペタ貼っておくということは、役に立つと思います。

それから食料備蓄。これはかつてほどは言われないんですが、ただこれも、かつてのような鳥インフルエンザの話の時のような、一歩も出ないで籠城するための備蓄ではないんですけれども、やっぱり、例えば自分の好きなものとか食べたいもの、あるいは遠くの店にまで行かないと手に入らないもの、そういうものはやっぱり備蓄しておくといいわけです。例えば、スパーマーケットに5回行くのを4回に減らせられれば、あるいはコンビニに10回行くのを9回、8回に出来れば、それでやっぱりリスクは下がるんです。ですから、そういう視点からも、そしてこの食料備蓄の話も、弱毒だからお蔵入りということではなくて、やっぱりちょっと意識していただきたいと思います。

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ということで、会社としてやることのポイントは、やることとやらないことをまず決める。何でもかんでも、それはBCPの本なんか見たらすごいですよ。電力会社のBCPなんか見たら、ありとあらゆることが書いてありますけれども、何でもかんでもやろうと思うと、結局全部中途半端になってしまいます。やることとやらないこと、出来ることと出来ないこと(を決める)。

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それから情報入手、まずこれですね。情報をちゃんと入手することが出来るかどうか。そのためには情報サイトなどを使い慣れておく。厚労省にしてもCDCにしても、どこのホームページでも皆、どこをクリックすれば何が出てくるか、把握しておかないと、いざという時にあまり使えないんですね。ですから、こういう色んなものはしょっちゅう見て、どこをクリックすれば何が出てくるか、大体把握しておくことが非常に大事です。

そして、BCPの話は後程あるようですのでちょっと端折らせていただきます。ただこれも総力戦でやる、決して保健関係者に丸投げしてはいけません。社長さんが出て来て下さいというお話です。 それから、備蓄は今からやらねば間に合わない。ここで出てくる備蓄とは、備蓄品、マスクとかそういったものを含めたお話です。会社の中で色々とM95だとか、立派なサージカルマスクだとか、色んなものを備えるというのは当然です。ただ、単に買って置いておくだけでは、安全配慮義務を果たしたことにはならない。そういったものをちゃんと、どういうふうに装着するのかという、装着法をちゃんと研修する。

正しい使い方が皆できますというところまでやって、安全配慮義務ということになると、これはある弁護士さんの受け売りで申し訳なんですけれども、そういうことのようです。さて、あとは環境整備ですね。机の配置は、もう2メートルにすると思って下さい。すると、東京のあの狭い所にいっぱい詰め込むということでないんですから、地方だったら2メートル、2メートル机を離す。それから加湿。絶対湿度。空気中の湿度が絶対湿度11グラム以下という条件で、ウイルスは元気になるという発表もありますので、とにかく加湿器を買うということにしていただければと思います。

それから、有症状者のマスクの徹底。例えば飛沫を飛ばす人は、とにかくマスクをして飛ばさないようにして下さい。こういう横着な人がいたら、必ず誰かが「これこれ、マスクを着けろ」と、こういうことを会社の中でやることが大事なんですね。これが、これは今男の子の絵が書いてあるんですけれども、これがもう少しお腹が突き出て、恰幅のいい人だったらどうなるか。この人が遠慮するような雰囲気になると、駄目なわけです。ですので、いくらこれが、こんなんじゃなくてもっと恰幅のいい人がやっていても、ちゃんと「コレッ」と言えるような雰囲気ということは、つまり社長さんが先頭に立って号令をかけるということが大事なわけです。それから人込みを避けて、幾分か時差通勤をするようにするといいということですね。

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それから従業員に対する情報提供ということで、提供するためには、まず会社が情報を持っていなければいけないのは、発生地域、概要、まあこういったことですし、あるいは社内情報ですね。従業員の緊急連絡先とか、あるいはもしこれから先さらにピーク、ピーク、ピークになってくると、例えば子供が罹ったから今日看病をしないといけないので、お父さん、お母さんが会社に出て来れませんとか、あるいはその他支援、介護を要するお爺ちゃん、お婆ちゃんがインフルエンザに罹って息も絶え絶えだから、もちろんARDSであれば入院するでしょうが、そこまでいかなくても、熱を出しているから(会社に)出てこれませんという話になるわけですね。では、そういう条件がない人は何人いるのかということもちゃんと把握しておくということになります。

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さて、次にメンタルヘルスです。神戸でも最初、感染して色々なことが起こりました。感染した人に後ろ指差すとか、あるいは感染した人の学校に対して、イタズラ電話ではないのかもしれないですけれども、「ウイルスは熱に弱いそうだから、お前の学校に火をつける」と本当に電話をかけてきた人が結構いたそうなんです。そういう、あるいは感染した学校の生徒がその制服を来てなかなか外出できないということもありました。

そういうこと、偏見問題、あるいは北京の日本人が○○○。どうしてああいうことが起こるのか。感染者への偏見問題、それは何故かと言うと、不安です。人は不安を感じた時に、それに対処するパターンが幾つかあるんです。その中で、他者を否定する、つまりある人をスケープゴートにして、否定し非難し、そうすることによって、自分はそうじゃないからいいよね、という自分の不安を緩和しようという防衛的なもの。それは今までに人種、民族あるいは患者、ハンセン氏病しかりエイズしかり、色々なことが起こりました。ですから、とにかくもし会社の中で朝礼か何かで、「もし皆さんが会社の誰かを何か噂をしたり、もしそういう気持ちが起こったら、それは皆さん自身の不安、それを何とかしようという動きではないでしょうか。ちょっと集まって考えてみましょう」ということを言うと、ハッと気が付く人も色々いるかなという話です。

さて、もう一つのメンタルでとても大事な話は、この否認という心理規制。心理規制というのは心の動きです。自分が受け入れられない現実を、そんなことはないとして、無意識のうちに心の中から排除してしまうという、心の動きです。例えば、ある人が癌の告知を受けたとします。癌の告知を受けた人がまっ先に考えるのは何かと言うと、自分は癌のはずがない。このヤブ医者が間違えたんだというのが、まず一番最初に考えることです。その否認の後で、色々葛藤しながら怒りだとか、取り引きなどを通って、最後には受容ということになるんですけれども、それは別の話で、とにかくその最初の段階では「そんなはずはない」と思う。これが通常の心の動きです。

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さて、新型インフルエンザは死亡率0.5%ですから、癌とは比べ物ようもないわけなんですけれども、こういった社内的不利、もし罹ったら会社の中で後ろ指を差す奴がいっぱいいるかもしれないという、そういう部署がもしあったとしたら、ハンディキャップがあったとしたら、あるいはもしこれで休んだら、出て来た時に自分の机があるんだろうかという不安がもしあったとすれば、この否認の心理規制が働いてしまうかもしれない。そうすると、熱が出て咳が出ているけれども「私に限って新型インフルエンザに罹るなんて」と言っているうちに受診が遅れてしまう、あるいは、遅れるということは、一生懸命ポーカーフェイスを作りながら会社に出て来てしまって、○○○起こるかもしれない。ですから、これもよく考えて、社内的不利が起こらないように、もし何何さんが休んだと、それを後で、濃厚接触者は誰か、次にヤバいのはあんただろと、こういう犯人探しをやって、会社の中の保健士さんが困り果てて相談してくるというのも現にあるんです。ですから、そういうことが起こらないように、「そういう噂話をした奴は後で厳罰に処す」と社長さんがバーンと朝礼の時に宣言するとか、あるいは、その間の出て来た後の同一職種を保証するとか、あるいは会社の、出てこないとその間の賃金を何とか値切ろうという話があるみたいでちょっとあれなんですけれど、まあ色々と、そういうところで社内不利がないように、何とか配慮していただくということが必要です。

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急にバタ臭いものが出てきて恐縮なんですが、この人たちはハーバードの社会心理学者です。何を言っているかというと、噂、流言、社会情報を伴う噂は流言と言うんですけれども、流言の量は、重要さと曖昧さの掛算で起こると言っているんです。どういう意味かと言うと、この重要さ、これが上がれば、当然流言の量が増える。これは当然です。もう一つの曖昧さ。これが多いと、流言、噂が流れる量が増えます。逆に、曖昧さの部分を減らしていくと、流言、噂の量も減りますというのが、オルポートとポストマンの原則というものです。

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ですので、曖昧さを特に世間、あるいは会社の中で減らすというのが、噂で皆さんが心配になるのを減らす、一つの条件です。ですから、とにかく分かっていることから次々とちぎっては投げ、こまめに情報を提供していきましょう。その情報提供もあらゆるもの、一番最初のSARSのところでもお話しました、やっぱり自分のパソコン、自分の中に来る方法が一番好評ですので、例えば、社内にLANがあるのであれば、あるいは社内LANまでいかなくてもメールで皆に送るようにしているのであれば、皆さんのパソコンに入ってくる、あるいはパソコンだけじゃなくて携帯に入ってくるようにしてみるということが大事であります。

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今の、だから曖昧さが加わるとどれだけ広がるかという、この学校を使った実験の話ですが、今ちょっと遅れ気味なんですけれども。 それから今度は噂ですね。噂が広がるには、信じさせる力と伝えさせる力が必要です。信じさせる力は、あまり誰も信じない話というのは、誰も次に伝えようとは思わないわけです。「私は今日新幹線で来ました。窓の外を見ていたら、どうもおかしなUFOみたいなのがいました。どうもUFOがそのばい菌らしきものをばら撒いていました」という話をいきなりここでやっても、皆さんが会社に帰って伝えるかと言ったら、誰も伝えないわけですね。それは、信じさせる力がゼロだからです。ところが、噂が広まる時には、どこかで聞いたような話、皆が話している。それで、次の人が伝えようとするわけです。伝えさせる力、このためには、内容が過激化してより興味をそそる内容に変質するということですね。「会社のAさんが、どうも昨日咳をしていた」というのが次の日になったら、「Aさんがトイレで苦しそうな声を出していた」、あるいは、「Aさんがトイレに入って、後に私が入ったら血が付いてた」と、どんどんどんどん尾ひれがついていくんですね。これが伝えさせる力です。ですから、どうも二つ話を聞いた、という時に、一つ目と二つ目の話の間に、何だか聞いたことのあるような話になっているだとか、あるいは、どうも話がこっちになっているんじゃないかと思ったら、それは恐らくこのメカニズムが働いているということですから、それは皆さんがおいおい、こんな話を聞いたけど違うよなあという話で、「違う」とちゃんと出すとか、色々と準備して下さい。

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ということで、メンタル対策は、ライン、つまり会社の上司の方がやる視点から。まず感染者が出ました。ただ、感染者は皆不安に思っています。不安というのはつまり、新型インフルエンザで死ぬかもしれないと思う人は、0.5%しかいないから、自分が死ぬかもしれないとはまあ思わないですね。それよりもむしろ、会社でどうなるんだろうか、会社の皆はどう言っているんだろうか、そっちの不安の方が恐らく多いと思うんですけれども、そこで、ウンともスンともなしのつぶてだったら益々不安が高まります。ですから、会社の皆さんが電話の一本、ニ本、三本、四本くらいはしていただいて、「どうしてる?」と聞く。こういう電話があるのとないのではやっぱり違う。そして、「そうか、それは不安だね。そこはちゃんと言っておくから」と(言ってあげる)。そしてこれは、どうも真面目な人は、自分の責任ではないのだけれど、感染して申し訳ないという、非常に不本意なんだけれども、そういうことを感じちゃう人がいるんですよね。日本人だけとは言いませんけれども。ですからこういうのも、「感染したのは、それは厚生労働省の試算では国民の二割が感染すると言っている、あるいはアメリカの大統領の諮問委員会の答申だと、今年中に米国では最大5割感染するかもしれないと言っている。だから誰でも感染するものなんだから、何もあなたが悪いことは一つもないよ」ということも、ちゃんと言語化して言葉で言ってあげる。後は復職にあたり職場環境整備。そういう、後ろ指差したらいけませんとか、そういうことは是非恐い顔をして言ってあげて下さい。

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それから事業の、これは職場の産業医、産業保健士ですね。あるいは衛生管理者という人は、もちろんこういうこともしなくちゃいけないんですけれども、それプラス、やはり曖昧さの最小化ということで、この情報を細かく皆に広めるということです。 また、もし社員の方を海外に派遣していらっしゃる方につきましては、食料備蓄はもっときんとした備蓄(をする必要があります)。それから、タミフルですね。タミフル、リレンザ、これは海外渡航目的の場合は、今罹っていなくても予め処方してもらうということが可能です。それは厚生労働省がちゃんと言っています。ですので、海外に行く人については、予めタミフルを持たせて海外に行かせるということです。ただ、健康保険は使えないので、全部自費扱いになってしまうので、それは会社から後で領収書で払い戻してあげればいいと思います。ということで、もうこれは海外に行く場合は、現地でこれが手に入らないとか、成分をコントロールしているという話がありますので、やっぱり持っていくということでやって下さい。日本ほどタミフルをちゃんと備蓄している国はないわけですから、海外のどの国に行ったってタミフルを巡る状況は日本よりも悪いわけです。イギリスだってそうですよ。イギリスだって、タミフルをタダで患者さんに配るという話をしてみたら、ある町には全然なくなってしまって、それを求めて周りの町までタクシーの運転手が2時間走り回って探したという話が報道でありました。 最後に情報収集です。

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情報収集は通常から行ないます。色々なサイトは使い慣れておきましょうという話です。これが、私がやっているサイトです。こちらの方にはどんどん新しいことも載せていきます。やはりこの新型インフルエンザ、SARSもそうですが、新しい感染症というのはどんどん新しいことが出てきて、以前言われていたことが違うということになるんですね。

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最初に申しましたように、先週にやった講演から今週までに、3つ新しい情報が入っていますし、恐らくまた1ヶ月後の講演の時には、またここに載っていないこともいっぱい出ると思うんですね。そういう新しいことはこちらでまた色々と書きますので、毎日、あの実は私ブログを920何日やっていて全部管理画面で出てくるんですけれども、ほぼ毎日書いていて、というよりもほぼ毎日書くネタがあるんです。毎日毎日、一年350日くらいやっているんですけれども、必ず1日1つか2つか3つか、あるいは書ききれないくらい、採用できないくらいのネタがあるんです。それぐらい次から次へと新しいものが出てきて、というのが新型インフルエンザという、とてもダイナミックな状況なんだということで、皆さんに見ていただければ色々出ております。

後は、これも使い慣れて下さい。是非この際に、厚生労働省、国立感染症研、外務省。もちろんこんなのを入れるとどこかで間違えちゃいますから、これで検索していただいて、それぞれのサイトでどこをクリックするかというのは書いてあるから、例えば厚生労働省の、感染して7日休んでくれ、2日休んでくれなんていうのは、これだったら最初のページの一番上の方の、「症状がある人に」というところをクリックすると出てくるんですね。そういうことは皆さん色々クリックをしながら、把握して下さい。感染研もとてもいいページを作っています。外務省、そしてもし中国人の従業員に何か情報を提供してあげる際に、中国語で書いてあるのは、中国のCDCです。この○○○というのが新型のインフルエンザという意味です。あと、どうしてもお役所のサイトというのは、やっぱりちょっと状況が変わっちゃったらどうしようかとか、今書こうとしていることが嘘になっちゃったらどうしようかとか、そういうプレッシャーがどうしてもかかるんです。

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私も2003年、北京で大使館で働いていたからよく分かるんです。ですので、今言った政府のサイトもかなり頑張っているんだけれども、ちょっと最新でないところがひょっとしたらあるかもしれない。ただ、そういうしがらみがない、責任がない個人のやっているサイトというのは意外に、もっと最新の海外のものがすぐにポンと出たりします。これが、元小樽の保健局の外岡先生という、知っている方もたくさんいるんじゃないかと思うんですけれども、是非これも見て下さい。ただこれも、ある程度使い慣れないといけないんですね。使い慣れないと、いきなり見ても何が何やらとなるので、使い慣れて下さい。後、「新型インフルの達人」これは東京の某保健所の先生がやっています。この人は全部匿名なんですけれどちょっと勇気のある人で、よくこれだけ厚労省のことをボロクソに書いたりするなと思うくらい色々と書く人です。面白いです。私が現役の役所時代は、とてもこんなこと書けないよということを結構書いていたりします。

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それから、これから一体どうなるのかという話です。ヨーロッパのCDCのホームページを見ていますので、これからのシナリオというのが、複数の予想が書いてあるんですけれども、一応今の所、日本で厚労省が言っているのは大体10月の上旬あるいは中旬あたりにピークが来るでしょうということです。5月に一度結構流行りましたけれど、収まりましたね。8月からまたどんどん流行ってきました。どうして夏に流行るのとよく聞かれましたけれども、別に8月だからこんなもので、9月10月になったら恐らく増えるでしょう。ここから振り返って見たら、8月は暑いからこの程度で済んだんでしょ、という話でしょうねと言っていましたけれども、現に本当に(感染者数が)上がってきているわけですね。このピークは、厚生労働省の言う通りにピッタリなれば儲けもんですが、多少の前後はあってもそうおかしくはないです。それで、これがグーッときて、最大国民の2割、まあ1割何分かが罹ると思います。そして、段々また落ちてくるんですけれども、イギリスなんかの例を見ていると、これは週を追うごとに明らかにストンと減っているということですけれども、いきなり終わるわけではありません。ということは、もし本当に厚労省が言うように10月の上中旬にピークが来ても、やっぱり11月も相当なもののはずなんです。12月だって、まだ相当なもののはずなんです。ですからこれは、結構長期戦であるということは、是非頭に入れていただきたいと思います。

今ちょっと、皆のインフルエンザと言いかけましたけれども、これは皆かかる病気だということはよく(従業員に)おっしゃって下さい。と言うのは、実は噂が流れたりイメージが流れたりするので、いい対抗方法というのは、噂を否定するのもいいんですけれども、噂と対抗するイメージをもっと流すというのも対抗策なんですね。今、どうしてこういうインフルエンザに罹った人がそういう後ろ指差されたりということがあるのかと言えば、新型インフルエンザがまだ特別な病気で特別な人の病気だという、そういう観念があるからなんです。ですから、そうではないと。インフルエンザは皆が罹る病気なんだよと、いつもいつも社長さんが言って下さい。会社の中に広めて皆がそう思うという状況にすると、とても状況が違うんじゃないか。じゃあ皆が罹るというその根拠は何かと言うと、それは厚生労働省の試算では、国民の2割に可能性があると言っているわけだし、アメリカ大統領の諮問委員会が出した答申では、米国民の最大5割まで罹るシナリオですね。ですから、2割とか5割ということは、ちょっと考えたら、ここに2人から5人の人がいたら、必ず1人は感染する、そういう話なんだよと。だから、誰々さんが感染したからといって後ろ指を差す理由は一つもないんだよ、これはあなたの話なんだよ、というふうに諄々と社長さんから話をしていただけると、大分社内の雰囲気も違うかなと、そういうふうに思います。どうもありがとうございました。

添付資料(印刷用にご利用ください)

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講師:勝田 吉彰(かつた よしあき)

近畿医療福祉大学 教授

医療免許取得後、大学病院・精神科病院等勤務を経て91年英オックスフォード大学留学。帰国後、大学病院勤務を経て外務省入省。医務官としてスーダン・フランス・セネガル・中国の日本大使館に在勤する。中国在勤中にSARS流行の中で現地日本人社会の対応に当たりつつ、感染症のおよぼす心理社会的反応について論文発表等重ねる。退官後、現職。
新型インフルエンザ・ウォッチング日記」主宰
日時・場所

2009年9月25日(金)
14:00~16:00

福岡商工会議所502号室
博多区博多駅前2-9-28
TEL 092-441-2161

参加募集中のイベント

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電話 092-441-2161 まで

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