「これからの後継者に求められる型破り経営論 企業の“未来”を考える経営」(2009/11/25開催)

「これからの後継者に求められる型破り経営論 企業の“未来”を考える経営」(2009/11/25開催)

ハイテク企業ならぬローテクで自らの企業価値を高めている「未来工業」は、残業ゼロ、年間休日140日という中、一人ひとりの社員が自ら考え行動し、生産性を向上させたり、「他社とまったく同じものは作らない」の方針のもと、採算を度外視して多くの製品バリエーションを確保することにより顧客満足を勝ち取ってきました。
NHKの放映や「楽して、儲ける!」の著者でも話題を呼んだ講師が、創業からの軌跡とともに、事業の受け渡しを成功させ、今なお成長を続ける企業経営のノウハウを講義します。

本文の後ろに添付資料がございます。印刷してご利用ください。

事業承継 地域力連携拠点事業

皆さん、おはようございます。会社の方の仕事も大変でございますね。こんなにたくさん来ていただいて大変びっくりしております。出てこいと言われますと、私は気が弱いものですから、黙って出てくるわけですが。ご案内にもあると思いますけれども、私が社長をクビになりまして、病気をしまして、来月が私の11回忌であります。倒れたものですから、社長をクビになりまして、今は相談役です。相談役というのは、これはホウレンソウの「ソウ」なんですよ、会社で言えば。どこの会社でもありえないようなホウレンソウ禁止と言うと、とても変わった会社だ、珍しい会社だと(思われて)、それで話を聞いてみなくてはいけないということで、これだけの方が集まったんだろうと思います。

役所から大中小企業の、零細企業から大企業で何かと「報・連・相をやれ」と言います。ホウレンソウは身体にいいから、人間は食べたほうがいいんですが、会社が食べて何が売れるんでしょうか。とにかく、どんなに小さい会社でも大きな会社でも、「ホウレンソウをやれ、ホウレンソウをやれ」と皆言うわけです。皆さん方もこのホウレンソウというのは言ってらっしゃるだろうと思いますが、大体ホウレン草というのはポパイが食べるものですからね。

ホウレンソウ禁止の次に何をやるか。成果主義禁止。その次はノルマを禁止。それから携帯電話の禁止、残業の禁止。禁止が多い会社です。私は、5 年前くらいまでは、視力が2.0で遠視だったんです。それが今は近視に憧れているんです。近視に憧れて、それでこの会社は禁止ばかりしています。そんなことで、大変禁止が多い会社でして、それが珍しい。多分皆さん方とまるきり違っていると思います。全てうちは反対です。未来工業がうちの反対をしているんだなと皆さん方は思われるかもしれませんが、どっちが反対かは分かりませんが、大体人様がやることはやらないということで、そういう反対のことばかりやっています。

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会社自体は何をやっているかと言うと、最近やったことは定年を70歳(にしました)。定年を70歳にしたのは、日本ではうちだけしかないんだそうです。私も知りませんでしたが人の話によると、「70歳という定年はあなたの所しかないよ」と皆が言うんです。定年を70歳にした理由は何かと言うと、3年くらい前に日本政府が定年を65歳にするという法律を作りました。それについて3つのネタがあります。

1つ、定年制を止めればいい。これはマクドナルドがやっていますけれども、定年を止めて、80歳でも90歳でもヨボヨボの爺さんでも婆さんでもどんどん使おうというわけです。

2つ目は、60歳から65歳までは給料を半分にしてもいいから使おう。これは、給料を半分にしてもいいというのが、国の法律ですけれどもね。

3つ目は、おとなしく(定年を)65歳にするという、3つがあります。この3つのどれでもいいからやりなさいよというのが法律だけれども、これには罰則がありません。罰則がないなら、やらなくても捕まる心配がない。捕まる心配がないから、こんな事はやらない方がいいということで、あまり流行っていないと思います。

これがどういうことかと言うと、経済が下がる。去年の8月からアメリカのサブプライムが始まった。この頃、政府もマスコミもリーマンショック、リーマンショックと訳の分からないことを言っていたけれども、これは違うんです、元々は8月からのサブプライム(ローン)ですから。人間が住むと、アメリカは家の値段が上がっちゃうんです。だからどんどん価値が上がる、それで借金して借りまくるからアメリカの経済はすごいんだけれども、あそこは貯金がゼロなんですけれどもね、これが。それが、何十年も上がり続けた家が、去年の8月に下がっちゃったという大事件が起きて、それでアメリカの経済が駄目になってきたというのがあるわけです。

それで日本がどうなったかと言うと、あれで引っ掛かったのは日本ではN証券一社です。後はどこも引っ掛かっていません。他の国の他の銀行はすごく引っ掛かっています。一番(金額が)多いのは、何十兆円という桁が引っ掛かったスイスの銀行もあります。日本はN証券以外引っ掛かっていないんだから関係ないじゃないですか。それを馬鹿な総理大臣が100年に1回なんて言うもんだから、日本人は皆怖がっていますが、それで景気が悪い、景気が悪いと言っていますが、どこの景気が悪いんでしょうか、日本の景気はいいのに。

とにかく銀行が下がるからどうなるかと言うと、経済が下がる。非常に理解しにくいのは、日本人というのはどういう頭をしているのか、「良いものを安く」ということです。我々商売人は金儲けをやっているんです。今、日本には675万社ありますけれども、この675万の会社は皆金儲けをしているんですよ、NPOじゃないんだから。金儲けをしているのに、「良い物を安く」。どうやって儲ければいいのでしょうか。

ご存知のように日本は世界で一番品物が良いです。腕があります。でも馬鹿タレばかりで、天は二物を与えずと言いますが、品物を作ったら世界で一番良いのは日本です。腕があります。でも頭はありません。それで、よその奴がかっぱらうんです。けれども、何故良い物が出来るのか。これは何も福岡ばかりではありません。日本人は(皆)言うんですからね、「良い物は安く」なんて馬鹿な事。後に出てくるのが過当競争。ひたすら過当競争。どうやって過当競争をして金が儲かるのか。めちゃくちゃ儲かっていないと金儲けは出来ません。

どれくらい儲けられないかというと、少し古いデータでありますけれども、売り上げの経常利益率は、日本は3.5%、アメリカは35%でした。それで日本とアメリカの(製品の)どちらが良いかと言えば、絶対日本の方が良いんです。今、アメリカにはテレビのメーカーはありません。全部日本に負けて、今はテレビのメーカーはない。テレビだって、ネタはアメリカからかっぱらったんです。でもそれで、アメリカのテレビ会社はなくなりました。

車(メーカー)だって、日本は今12社。アメリカの人口は3倍ある。では36(社)あるか。この中にはジープなんて懐かしいところもあるけれども、36(社)あるかと言えば、3つしかありません。日本の3倍だから36あってもいいのに、3つしかありません。その中の2つは倒産して、あと1つです。こうやって全部日本に負けちゃったんです。

でもネタはみんな日本がアメリカからかっぱらってきたんです。よそからかっぱらってきては、世界で一番良い物を作ってしまう。ここにいる皆さんはデジカメを持っていると思いますが、私は給料は安い方だから持っていませんけれども、デジカメは全部日本製です。でも、カメラというのはドイツのネタです。それをかっぱらって日本が作って、ドイツ人が持っているのも日本製ですからね。おまけに、時計となるとこれはスイスですけれども、これも大体皆さんが持っているのは日本製ですよね。

とにかく日本は良い物を作ったからめちゃくちゃ勝った。めちゃくちゃ勝って、めちゃくちゃ世界中で売っているんですよ、それが何で3.5と35というような差が出てくるのでしょうか。良い物を出せというからそうなってしまうんですけれども、それが商売の仕方が間違っていると私は思うんです。そんな事で、経済が下がります。それでも「良い物は安く」と言うんだから、過当競争をやっていて生きていけるのか。 戦争が終わって、日本中焼け野原。そういう中で、戦争が終わって商売を始めたんだけれども、その時日本は元々、戦争に負ける前までは1億人いませんでした。1億人増やせ増やせと散々言われて、私はその頃小学生で、子供が産めるわけがないので私は経験がありませんが、増やせ増やせと言われました。

そして戦後になったら皆が頑張ってどんどん人口が増えました。どんどん人口が増えたから、めちゃくちゃ過当競争をしても、皆何とかなったんです。皆さんの会社も何とかなった。それは、人口が増えたら経済も上がる。衣食住が増えるんだから経済が上がる。だから過当競争でもいいけれども、これが人口が減って経済が下がるんですから、そこで今までのような過当競争をやっていて、それで生きていけるか。私は絶対駄目だろうと思います。

そこで出てくるのは何かというと、差別化です。よそと違うことをやる、これは製造する方でも販売する方でも何でも一緒ですが、とにかく何かちょっと違う事をやる、差別化をするということです。そうでないと生きていけないと私は思っています。経済が上がればそれは、少々のことは何でもいいんですが、下がれば、差別化以外には生きていく道はないだろうと思います。そういう事を考えています。

そこでまた、日本に定年の法律が出来ました。日本人というのが面白いのは、お上に弱いところです。今日はお上はいないと思いますけれども、お上に弱いんですよね。お上が法律を作ったんだから、やらなきゃヤバいという問題になります。もう一つは、日本人は農耕民族です。農耕民族は横並びが大好き。それで、この頃の若い人は村八分という言葉も分からないと思いますが、村八分はいけないと。何故いけないのでしょうか。村八分を嫌がるということで、とにかく横並びをやりたがります。

一番すごいのが福岡の横並びの真似をして倒産したのが小売のM社です。そんなことで、日本人というのは物真似が大好き、横並びが大好きなんですけれども、そんな事をやっていたんでは差別化にはなりませんので、やってはいけません。でも横並びが好きだから、お上に弱いから、やらなきゃいけないなと言って誰かがやると、「あそこがやってここがやったから、うちもやらなきゃヤバいな」と、こっちもやってしますんです。

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それでワーッと65歳(定年)になってしまうでしょうから、そんな時に私のところも(定年を65歳に)やったら、横並びにしかならないから、70歳にしてしまおうということで、(定年を)70歳にしました。その時に何をしたかと言うと、これも3つの法律の中の1つで、60歳から65歳までは給料を半分にしてもいいということになりました。多分皆さんは給料を半分にして65歳まで使うかと(思います)。ならば差別化で、うちは70歳まで一銭も下げないと。70歳の爺さんと婆さんにそんなにたくさん金をやる気はないんですけれども、(給料を)上げはしませんが、下げません。60歳から70歳までは同じ給料でこき使う、こういう形にいたしました。これが、わが社が定年を70歳にした理由です。

喋っているうちに思い出しましたが、もう5、6年経ったら工場見学にいらっしゃいませんか。何が良いかと言うと、私のところも工場ですけれども、熊本にも工場がありますし、岐阜にもありますけれども、工場を見に行くと、多分全員が車椅子と松葉杖の爺さんと婆さんばっかりでやっているようになるでしょうから、これは見ものですよ。観光になります。そんな会社の工場なんて、日本中探してもどこにもありません。爺さんと婆さんばかりで、皆車椅子か松葉杖で仕事をやっているなんて、他にはいないでしょうからね、観光になりますよ。皆さん、是非見学に来ていただきたいと思います。

何故呼ぶのか。一人2,000円。これはいい商売ですよ。何が問題かと言うと、つい最近、福岡の太宰府に国立博物館が出来ましたけれども、あれは幾ら取るかは知りませんが、大体全体的に見ても2時間かかって、見るものがある美術館だって1,500円ですよ。こっちは見るものは何もありません。車椅子の婆さんと爺さんを見るだけです。それで一人2,000円、これはいいですよ。この前も、ここと同じくらいの120人が(私の講演に)お見えになりました。それで(その人たちが工場見学に来たら)24万円。皆さん方も含めて、うちの一番若い、一番下っ端の女の子の給料です。多分皆さん方のところでもそんなものだと思いますが、一番若い一番下っ端の女の子の給料が24万円。工場見学3時間で、1人分の給料1ヶ月分が稼げます。おまけに、元手なし。これはいい商売ですよ。

そこで何が問題か。私どもの隣の県の愛知県がトヨタ自動車、そして反対側の三重県がホンダ技研。そういう大企業も含めて、どこでも絶対にお金を取らない。工場(見学)なんかはお金を取らない。だから、他が取らないから差別化で2,000円を取る。2,000円を取ったらまた人がたくさん来る。何人かは分かりませんが、毎日お金を払って団体がお見えになる。これをグッチ商法と言います。

日本は先程も言いましたように、「良い物を安く」と馬鹿みたいなことを言うから、儲かる会社なんて日本にはありません。大会社だってめちゃくちゃ儲かっていないんです。そんなことでグッチとか、皆さんもご存知のルイ・ヴィトンとかシャネルとかエルメスとか、ブランド品があるじゃないですか。あれは良いのか。絶対日本製の方が良いんです。グッチで、小さなカバンが30万、日本製の偽物が3万円。誰が日本製を買うかと言ったら、誰も買いません。それでグッチはしっかり買っているんです。

85年、86年のバブルの時に銀座4丁目は坪2億円でした。いくら福岡が頑張ったって、坪2億円なんて土地はなかったと思うけれども、(銀座4丁目は)坪2億円です。お腹が空いていても食べられないんですよ、それなのに坪2億円。これは日本で一番だけれども、その日本で一番の銀座4丁目から有楽町のこの両側の店は、今全部中国語に変わってしまいました。今は日本人の店を探す方が難しいくらい、全部中国語に変わってしまいました。

それで、ディオールとかグッチとか、皆そんな店にばかり並んでいます。しょうがないんですよ、日本人は皆あんな悪い物を買うんだから。高いから良いと思うんです。高いと良いと思うから、誰もやらない工場見学一人2,000円と言ったら、未来工業の工場はめちゃくちゃ良いんじゃないかということになるわけです。

今日はこのセミナーのチラシを見ているんですけれども、ローテクと書いてありますけれども、本当にこの会社はハイテクの反対、ローテク。先端企業の反対、後端企業。ローテクの後端企業では日本ではトップだと思っています。物は造っていますよ、電気(製品)などを作っていますけれども、見るところは何もない。

何もないけれども、毎日毎日団体が二つも三つも2,000円を持っていらっしゃる。絶対いいですよ、これ。それで、売り上げは全部利益になります。気持ち程度のお茶菓子は出しますけれども。そういうことで、皆様方も人に見せる時はお金を取った方がいいのではないかと思います。何でもいい、グッチと同じで高ければ日本人は良いと思うんです、

ルイ・ヴィトンは、日本の店だけで売上げが1,500億です。1,500億と言ったら、この中で何人の方がそれだけ売っているでしょうか、年間1,500億の売上げがある会社が日本にどれだけあるでしょうか。99%は駄目です。日本の会社の99%は1,000億も売っていません。1%くらいは何とか、ちょっと1%は多いかなと私は思いますが、(日本の会社が約)600万社だから(1%で)6万社、日本で1,000億売る会社は6万社はないと私は思っています。(日本では)誰も売っていないのに、ルイ・ヴィトンは1,000億くらい売っているんです。だから高くしたらいいんだと私は思います。それで、よそが取らないからうちは取る、よそが取ればうちは取らないと、こうなるんです。これが差別化ですけれど、今はそういう定年制をやります。

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次に何をやったかと言うと、子供を産んだら3年休みにしました。これは人に聞いてみると、(よその会社では)2年というのはあるそうですね。2年はあるけれども、3年はないよということでした。2年はあるということなので、だったら差別化で、うちは3年にしようと(決めました)。だから子供を産んだら、3年は産休がもらえます。3年目にまた産んで産休と言ったら、また3年もらえるんですよ。それで3年ごとに子供を産んで、67歳まで産み続ければ、どうなるでしょうか。一日も出勤せずに、めちゃくちゃ高い退職金をもらえます。こういう会社なんです。

何故めちゃくちゃ高い退職金がもらえるかと言うと、うちには今(従業員が)800人いますけれども、これは今日入っても明日入っても、全部正社員です。正社員だから退職金をもらえます。全員が正社員ですから、だから3年ごとに子供を産んで、正社員だから出勤しなくても70歳までいるということは期間が長いから、だからすごい退職金がもらえるということになるわけです。そういうことで、これも(産休)3年というのは、(他の企業で)2年があるからということで、差別化で3年にいたしました。

何が言いたいかといえば、これも余分な話ですが、何故か日本人は核家族が好きなんです。皆婆さんと爺さんとは別々に暮らしたがる。私のところはすぐに出ていきましたけれども、今日本はそういう形態なんです。それで核家族は大好きで、皆親と別々に暮らすじゃないですか。それで若い二人が結婚して子供を産みますが、その二人に育てる能力はあるのか。絶対ありませんよ、だって経験がないんですから。子育ての経験なんてないんですから。

昔は、我々の頃は、お婆ちゃんやお爺ちゃんに聞きながら子育てをやったものです。だから何とかまともな人間に育ちましたけれど、今の若い人は経験がないのに、(子育てについて)聞くベテランのお爺ちゃんお婆ちゃんがいません。子育ての先生になるような人がいないのに、どうやって育てられるんでしょうか。育てられないじゃないですか。(育児が)上手くいかないものだから、いろいろなトラブルが起きるんです。側にベテランのお婆ちゃんがいないんですから。

産んでしまったら、真面目にまともに育てなければいけません、だから会社には来なくていいから、3年間一生懸命育てろと。3年経ったら子供は喋るし走るし飯は食うし服は着るしで、手は離せるわけですから。昔からの諺でも、三つ子の魂百までとか、そういう言葉もあるので、だから3年間は子供の面倒を見なさいと。そうしたら手が離せるから、会社に出てくるか、次をまた産むかです。そんなことで、そういう(産休を)3年にいたしました。

ここで一つ問題なのは、日本政府も派遣が多すぎるから、派遣で製造業に出すのを禁止しようなどと色々な法律を作りたがっています。日本の平均は、大企業は派遣、中小企業はパートというパターンですが、中小企業の場合は、平均的にはパートが多いんです。どっちでも同じことですけれども。そういうものを使って何がいいのかという問題があります。

一つは、「良い物を安く」と馬鹿な事を言って過当競争ばかりするから儲からない。儲からないけれども会社というのは、せっかく会社を作ったんだから、社員たちにはまともな給料を払って、ちゃんと税金も払って、社会貢献もしたい。しかし、儲けないとちゃんとした給料を払えません。でも過当競争しているから儲からない。ではどうやって儲けるか。

後は一つ。コストを下げる、金を使わない。金を使わないというのは、これはもう絶対だと私は思います。それで、金を使わない、コストを下げるという意味で、そこで普通の会社はパートや派遣を使いたがります。これはコストを下げるという意味があります。人件費を下げたがるんです、気楽にできるものですから。パートと派遣というのは、あれは91年。91年というのはこの中の皆さんもご存知だと思いますけれども、平成不況、戦後最大の不況、これが91年でした。それで、去年からは100年に1回の不況ですね、これが。

どういう名前がついているかは知りませんが。91年から2001年までの10年間、これは政府が失われた10年と言って、これは平成不況、戦後最大の不況、この時にパート・派遣は生まれました。 ここで言いたいのは、さっきから言っていますように、会社というのは金儲けです。金儲けだとすると、その金儲けは誰がやるのか。社長がやるのか、社長なんかに出来るわけがありません。まともな人間かどうかも怪しいんですから、社長なんてものは。何故怪しいかと言うと、今の商法では1円で会社が作れるんです。1円というのはサイトにも載っています。最後は法務局に行って1円出したら会社が作れるんですよ。社長になれるんです。社長というのは実ではありません。

やはり会社は儲ける、そしてちゃんとした給料を払って、税金も払えるように儲けるという事を、これをやるのは誰か。これは社員です。社員が頑張らなければ、会社は絶対に発展しないと私は思っています。社員が頑張ってくれれば、会社は儲かり、発展できます。社員が頑張らないと絶対に無理だというのが私の考え方です。だからどれだけ社員たちに頑張ってもらえるか。今これ(チラシ)を取ったら「社長の仕事」と書いてありました。結局社長というのは、いかに社員たちに頑張ってもらえるかというのが、私は一番大きな仕事だと思っています。

これも社長連中が(言うのですが)、さっきは「良い物を安く」と言いましたが、この次に言うことは「率先性のある陣頭指揮」。これも社長がやらなきゃいけないと思っているんです。私はこんなものやるなと思います。率先性のある陣頭指揮というのは、これは何をやるかと言ったら、これは商売ですから造るのもありますが、商売は売る・買う・造る、この3つです。その3つを社長が率先してやりたがる、特に中小企業では。これが面白いですね。売るとか買うとか造るとか、これは社員がやる仕事なんです、それを社長がかっぱらってやるんですからね。社長の仕事だと思っている人がいっぱいいます。

その売るとか買うとか造るという社員の仕事は何かと言えば、戦術です。では社長(のする事)は何かと言ったら、戦略。戦術というのは、だから社員たちが考えるべきで、それでどれだけ高く売るか、どれだけたくさん売るか。買う方はどれだけ良い物を買うか、安く買うか。造る方は、我々も造る方ですが、如何に良い物を造るか、安く造るか、一時間当たりにたくさん造るかと、こういう仕事が社員にはあるわけです。これは全部戦術なんです。

それに対して、社長は何をするかと言えば、戦略をやる。では戦略とは何か。どうやったら、どういう餌を与えたら、社員たちが頑張ってくれるかというのが、私は戦略だと思っています。社長というのはそういうやり方でやったらいいと思います。どうやったら社員が頑張ってくれるかなという事だけ考えればいいと、私は思います。 餌と言うと、大変言葉が汚いとか下品だといって評判が悪いんですが、こっちは下品だからいいんですが、餌が嫌いな人は、餅と言えばいいですね。何故かと言うと、餅を食わせるとモチベーションが上がるから、だから餅でもいいですね。後は、飴でもいいです。

これが社長というのは不思議なことに、皆知っています、「飴と鞭」。私は間違っていると思っていますが、とにかく飴だけでいいというのが私の考え方です。けれども、「山田さん、飴ばっかりやると、社員に嘗められるよ」と(言われます)。一番面白いのは、中小企業というのは、誰が飴ばかりやって嘗められた経験があるか。誰もいないんです。それで日本中で飴と鞭やっているんですから。誰も飴ばかりやったてた結果ではないんですよ、飴ばっかりやったと言えるんだから。そういうふうに言えるんですよね、不思議なことに。

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今も言いましたように、2年や3年ではなく何十年もやっていて、まだたった一度も確認していないんだから、情けない生き方ですよ。そんな情けない社長が、「山田さん、飴ばっかりではなくて鞭をやらないと、社員に嘗められるよ」。だったら嘗められた経験はあるのかと言うと、ないんです。だったらそんな事言うなよ。何故かと言うと、経営というのは、経験を説く。経験のないことを勝手に言うな、その場しのぎで言うなというのは、私の言い分です。色々と悪口を言うのが専門でございますから。

そういうことで、社長というのは社員たちがいかに頑張ってくれるかということを、一生懸命考えるのではないか。それは社員たちが頑張ってくれるにはどうしたらいいかというと、餌をやればいいと先程言いました。餌とは何かというと、2つあります。

1つは月給、給料。社員というのは絶対にたくさん給料が欲しいです。昨日N航空のニュースを観ていてびっくりしました。大昔に働いていた爺さんと婆さんの年金が48万円ですよ。48万って、どれだけ給料を払っているのでしょうか。中小企業でどれだけが現役の社員たちに手取りで48万円の給料を払っているでしょうか。いくらか上の方には、そのぐらいの(給料をもらっている人)がいるでしょうけれどね。あそこは年金でもらえるんですから、すごいと思いました。

そういったことで、一つはそういった給料、給料を欲しいと社員が言うんだけれども、そう言うと叶えてやれるか。叶えてやれないんですね、これが。この中に大企業さんがいらっしゃったら話は別ですけれども。中小企業だったら絶対に叶えてやれない。何故かというと、儲かっていないからです。高い、まともな給料を払えるわけがありません。問題は貸し渋りをされる程、会社が儲かっていない、儲かっていないから給料なんて払えないと、こうなってしまいます。

でも私は、福岡なら福岡の相場を払いましょうと言っています。相場というのはどうやって決めるかと言うと、社員の同級生、友達、親戚に聞いてみたら、まあまあだな、というのが私は相場だと思っています。基準はないんだから、自分の会社の社員たちが、仲間や同級生に聞いてみて、「俺の給料はまあまあだな」という程度、高くもないけれど安くもないというのが、私は相場だと思います。それだけの相場を払ってやらないと、「俺の給料は誰に聞いても安いじゃないか」という時に働くか。絶対に働くわけがありません。

ただ会社に出てこないと飯が食えないから出てはきますが、頑張ろうなんて誰も思いません。儲かっていないからたくさんは払えないけれど、せいぜい「まあまあだな」というくらいは払おうと私はいつも言っています。でもそれが難しい。「山田さん、まあまあと言うけれど、うちなんか儲かってないんだから」と。 また問題は、儲かっているか儲かっていないかというのをどうやって決めるかと言うと、今はやっていませんが3年前までは毎年毎年日本は高額所得法人を公表していました。高額所得法人、これは幾らかと言えば、経常利益4千万。たったの4千万です。4千万を超えたら、高額だと政府はおっしゃるんです、3年前までは。

だから、4千万が政府が言う数字だから、4千万を超えていればいい、超えていないのは駄目な会社なんだから、貸し渋りされても当たり前なんです。だからもっと頑張れというのが、私どもの仲間に対する言い分です。

そういうことで、政府が4千万を基準にするから、だから「私のところは4千万もらってないから、とてもじゃないが山田さんが言うようなまあまあという給料は払えない」という人がいます。けれども一番納得しにくいのが、4千万儲かっていないという情けない会社でも、若い女の子は給料が一番安いです。その給料の一番安い女の子でも、日本では自分の金で車を買います。うちは給料が安いから、会社で買ってやろうという会社は、日本に一つもありません。車というのは全部自分で買います。

それで、儲かっていない会社でも、大体社長が一番給料が高い。それで給料が一番高い社長が自分の金で(車を)買うかと言えば、大体が買わないんです。どうするかと言うと、会社のお金で買うんです、社用車という名目で。それで税務署は文句を言わない、税法上は文句はない、だから会社のお金で買っているわけです。

一番下っ端の安い給料の子でも自分で買うのに、社長はその会社では一番給料が高いんですよ。それにもかかわらず、社長というのは自分のお金で買わずに会社のお金で買って、会社のお金でガソリンを入れて、会社のお金で車検を受けて、しかも買う車が3ナンバー。4千万も儲けてないけれども3ナンバー(の車)を買っている。これが大体日本の社長のパターンです。こんなことで、どうして社員たちがそれを見て頑張ろうという気になるか。「俺たちは自分の金で車を買っているのに、あの野郎は会社の金で車を買いやがって」となるに決まっています。しかも、いい車を買うでしょう。

私の仲間は寿司屋ですが、この間レクサスを買いました。これが1千万だと言うんです。絶対に4千万も儲かっていない会社ですよ、それが1千万で(車を)買った。儲かっていない会社は10万円の軽でいい。中古車屋に行ったら、軽でも10万円で売っていますから、10万円の軽を買って1千万の車を売って、(そのお金を)会社にバラ撒いた方がよっぽどいいんじゃないかと私は言うんですけれど、誰も実行しません。それを言われてやった奴は誰もいません。そういう会社が横行しているんです。

どうやったら社員たちが頑張ってくれるか。今の車の話も含めて、どうやったら社員たちが頑張ってくれるかということを、やはり社長というのは一生懸命考えなければいけないんじゃないかと私は思います。まして、先程から言っているように経済が下がって過当競争ではやっていけない時代になったんだから、時代は変わったんだから、やっぱりそういうことを一生懸命考えなければいけないんじゃないかと思うんです。給料はまあまあ払いましょう。

その次に何があるか。社員たちが何を思っているかと言うと、ここにいらっしゃる方もお分かりになるかと思いますが、働きたくないですね。給料はたくさん欲しいけれども、働きたくはないと思っているんです、社員というものは。だからこっちは、金がかからないんだから叶えてやろうじゃないか。これから暮れになりますと間もなく12月、そうするとどこの会社でも年末年始の休暇というのが始まりますよね。その休暇というのは、うちの場合は12月の20日から1月10日まで20日間、これが休みになります。年末年始休暇を20日間やります。これは多分かなり長いだろうと思います。

さっきからまだ全然話していませんが、私どもの場合は建築の電気を専門に造っています。畳は新しい方がいいというので、家を建てる時は年内に家を建てて、新年から新しい家に入りたい、というのが多い。これが多いものだから、年末というのは建築業、特に住宅の建築屋さんというのはめちゃくちゃ忙しいんです。めちゃくちゃ忙しい時に、20日間休みなんですね。忙しい真っ最中に。お客さんは怒ります。この会社は日本で一番お客さんを怒らせているのではないかと私は思っています。現場が困るし納期もあるんですが、それがこっちはシャッターを降ろして売りませんと言うんですから。だから皆お客さんは困ってしまうんです。

昔50年くらい前に、歌手がマイクを持って舞台の上で、「お客さまは神様であります」と、こう言ったんです。「お客さまは神様であります」と言ってから、日本の会社ではお客さまは神様なんです。値切られても値切られてても、神様なんです、お客さんというのは。お客さまは神様だと、どこの会社でも言うわけです。それでどういう表現をするか。

一つは、「お客さま第一主義」。

それから、「お客さまのニーズに応えよう」。「お客さまを満足させよう」。「お客さまに喜ばれよう」、或いは「お客さまの目線で見る」とか、皆さんの会社でも何か言っていると思います。何も言っていない会社はまずないんじゃないでしょうか、これも一種の流行りですから。横並びの日本だから、皆そういう事を何か言っていると思います。色んな言い方がありますが、それを一つにまとめるとどう言うか。それを私は感動と言います。お客さまを感動させれば、商売になる。商売というのは、皆さんも含めて、買ってもらうことですね。買ってもらうことですから、お客さまを感動させれば、お客さまから買っていただけると私は思っています。 そこで、どうやってお客さまを感動させるのかという問題になりますが、まずその前に誰が感動させるのか。社長でしょうか。これは違いますね、社員だと思います、私は。

社員たちが、お客さまを感動させたい、させなくてはいけない。では社員たちがお客さんを感動させるには、まず社員たちを感動させましょう。これは卵とニワトリではありません。取り敢えずお客さんは放っておいてもいいから、社員たちを感動させましょう。社員たちが感動してくれたら、感動した社員たちがお客さまを感動させてくれるだろうと、私は考えます。ですから、どうやって社員たちを感動させるかということは、戦略として社長のテーマになるわけです。

例えば、社員がお客の所に行って、「うちの会社は朝早くから夜は遅くまで人をこき使うし、社長はガミガミ言うし、ものすごく給料は安いし残業手当ては払われないし」なんて言って愚痴ってみたら、お客さんは喜びますよ。「そうだそうだ、お前の会社そんなもんだろ」と喜びますが、買いませんよね。そういう社員がいたのでは、お客さんは中々買わないだろうと思います。

だからそうではなく、社員たちが感動して一生懸命やってくれれば、それがこの頑張ろうという気持ちに繋がります。社員たちが感動して、この会社のために頑張ろうというふうに言ってくれれば、それなりの事を社員もやってくれるでしょう、売上げも上がるだろうと私は思います。そんなことで、経営者たちの仕事は、どれだけ社員たちを感動させられるか、ということになるわけです。そういう意味では、先程の給料がまあまあというのも言ったりします。

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それからもう一つは先程も言ったように、高く売って儲けるのが一番楽ですが、安く売ったら儲けられないから、コストを下げる。これは今ではどこの会社でも決まりですね。いかにコストを下げるか。「コストを下げろ、コストを下げろ」と社長が多分言っていますよね。これは一つの決まりですから。コストを下げろと言いますけれども、そういう中で出てきたのが、先程の派遣やパートです。友達に聞いてみると、パートというのは月給半分だそうです。

そこでまた政府の発表ですが、政府の発表という言葉を使わないと中身を信用してくれないからそうやって言いますけれども、これは政府の発表なんです。これは毎年、去年も発表しました。6,500万人のサラリーマンの平均月収。一番上から一番下までの平均を出すと、30万です。去年はちょっと具合が悪かったから30万を割ったと政府は言っていましたが、それでも29万くらいです。毎年毎年これを発表しますが、ずーっとこれは30万です。その30万というのはどういうことかと言うと、世界で一番高いということになるわけです。

それがパートなら半分だから15万。ボーナスは10%、退職金なし。これはパートを使った方がいいやとなりますね。だから我々の中小企業の仲間の大体70%くらいは(パートを)使っていると思います。政府は、これもまたパートや派遣などの非正規社員は(全体の)55%などと言っていますが、私たちの仲間を見ていると、70%くらい使っていると思います。それは、何がいいかと言ったら給料が半分だからです。ボーナスは10%で退職金は出さなくてもいいし、しかも明日(にでも)お前クビと言えるんです。

そういうことでパートや派遣が増えたんですが、どこでも仕事は(正社員と)同じです。同じ仕事をさせられて、月給は正社員の半分で、それでやる気を起こすでしょうか。絶対にやる気を起こさないと思います。社員が頑張ってくれないと会社は発展しません。社員たちにやる気を起こさせるためには、パートや派遣を使ったらいけないと私は思います。だから私のところには一人もいません。一人もパートや派遣を使っていません。それでまともな給料を払おうじゃないか、その代わり頑張ろうと思ってくれよ、という話になるわけです。

1991年からパート・派遣が出て来た、それで何が出てきたかと言うと不良品です。不良品を取り替えることをリコールと言います。今リコールがものすごく流行っていますよ。一番最初にやったのがM自動車です。M自動車が不良品を出して、最近裁判をやって負けましたね。車屋に聞いたら、Tが一番(リコールが)多いと言います。それは多いですよね、(出回っている車の)数が多いですから。家電メーカーNさんは、悪いもの出したから返してねとテレビコマーシャルでよくやっています。あそこはすごいですよ。とにかくあんなに高いコマーシャル代を払って、正直に悪いことをしたから返してと言っている、あれは良い会社ですね。とても評判が良いです。

あんなに悪いものを出して評判が良いって、賢いですね。不良品を出したことは悪いんですよ。それが不良品を出して褒められているんですからね。あの会社はお利口さんです。私は頭が下がります。私の隣の町のガス機具のメーカーPさん。不良品をいっぱい出しました。それで、ガス機具日本一のR社も不良品を出しました。

そんなわけで、各大メーカー、物を造っている大メーカーが、片っ端から不良品を出しています。そんなものを出して、返して返してと言うのはリコールですけれども、そんなことばっかり言っていますが、それで商売になるんでしょうか。どうせ悪いものを買うんだったら、中国製の方がいいですよ、安いですから。日本製が悪いんだから、中国製の悪いものを買った方がよっぽどいいじゃないかと私は思ってしまいます。

やっぱりメーカーとしては良い物を造りたい。良い物を造るためには皆に技術を覚えてもらいたい、という問題があります。そんなものは、給料が半分でボーナスが10%で、誰がそんなもの技術なんか覚るでしょうか。しかも明日にでもクビと言われるんだから、覚えたって価値がないんですから、誰がそんなことやるかということになるに決まっています。そういう社員ばかりいっぱい抱えて、どんな良い物が出来るでしょう。その辺が、日本の企業は間違っていると私は思います。

だから実際、91年以前の品物に不良品はそんなにありませんでした。91年以前の、パートも派遣もない時は、大メーカーに限りますけれども、そんなにメーカーさんがリコールなんてしていませんでした。今はめちゃくちゃ流行っています。リコールを出さない会社を探した方が早いんじゃないかというくらい、流行っています。そんなふうに、日本の企業はどうやっていくかというのもありますが、私はやはり物を造る限りは良い物を造りたい、過当競争で安く売るにしてもやっぱり良い物を造りたい。そういうためには正社員ばかりにして、それで技術を覚えてもらいたいと思うわけです。

これで一番すごいのは何かと言うと、H製作所。これが何をしたかと言うと、原子力発電所のタービンの羽根が折れたんです。原子力発電所のタービンの羽根が折れると、30~40万という人々に被害が及ぶんですよ。チェルノブイリのように。その羽根が折れちゃったんです。そういうのはやっぱり、もうちょっとちゃんとやらなきゃいけないんじゃないでしょうか。だからうちの場合は全部正社員です。 もっともっと考えてみれば、コストを下げるなんてことは、人件費を下げてコストを下げるなんて事を言わずに、もっともっと頑張ってもらうためにはちゃんとした給料を払う。でも、コストは下げなくてはいけない。そうするとこれはもっといくらでもコストの下げ方があるんじゃないか。それは安易に人件費と言わず、もっと色んなことを考えた方がいいのではないかと私は思います。

では何があるか。この会社には800人いますけれども、人事部はありません。実は1991年に名古屋の2部に上場しました。名古屋の2部に上場する時に、この会社は経理部、購買部、人事部、これらが何もなかったんです。あんな机の前に座って、働きもしない奴に何で給料を払わなくてはいけないのかと、何もなかったんです。そうしたら、大蔵省にバレました。大蔵省は、経理部もない、購買部もない会社なんかには絶対に上場させない、認めないと言うんです。大蔵省というのは、頭がいいと思ったら下らない事を言います。上場を認めないと。

ところが権限を持っていますから、敵が認めないと言ったら上場出来ないんです。ですから泣いても笑っても、おっしゃる通りにしないと具合が悪い。それで上場が途中だから、ここまで来て今さら止めるわけにもいかないからというので、それで嫌々、経理部と購買部を作りました。その時に人事部のないことがバレなかったので、未だにありません。

何故かと言えば、現場も知らない奴が机の前に座って、社員を移動させるんですね、お前はあっちに転任しろ、こっちに転任しろと。そんなこと、現場を知らない人間に分かるはずありません。それでもその人間にもまともな給料を払うので、これがもったいないんです。雇わなければ給料も要りません。現場の社員を正社員にしておいて、それで自分たちで、現場で人間が要るのなら入れればいいんです。好きな奴を入れればいいんです。要るか要らないか一番分かっているのは現場の社員です。そこの職場の社員が一番分かるんです。事務所に座っている人事(の人間)が分かるわけがありません。

うちの場合は、今総務をしている男がいまして、その男は何を担当しているかと言うと、健康保険と失業保険、厚生年金と厚生年金基金、その計算をするだけです、それ以外は何もしていません。後は作業でも何でも、全部私たち、それぞれの社員がやるというのがうちの決まりです。そういう事を考えればいくらでもコストを下げることはできます。上場していない会社は経理も要らないと思います。この中に経理の人がいたら、泣かされるかもしれませんが。こちらは大蔵省が上場を認めないと言うので作りましたが、そんなものは要りません。

いくらでもコストを下げる方法はありますが、一番びっくりするのは、我々の仲間は今日本に、福岡県も入れて4万社ありますけれども、その仲間が何て言うと思いますか?社員が2回遅刻をしたら給料を半日分引く、3回遅刻すると一日分引く、早退したら引く、休んだら一日分引く。そういうことを、我々の仲間の零細企業の社長連中が誰でも言うんです。

引くとすれば、引く係りが必要です。引く係りが真面目に出勤してきたら、100%の給料を払います。こっちは不真面目です。こっちは遅刻する、早引きする、休む、それで50%払います。そうしたら合計で150%になってしまいます。どれだけ不真面目でも100%払った方が会社は儲かります。その方が安くつきますから。その不真面目な奴の仕事は、こちらの人事の計算係りがやるわけがないんですから。二人合わせて150%払うのなら、計算係りを辞めてこっちだけ100%払った方が、どれだけ遅刻しようが早引きしようが休もうが100%払ってやった方が、会社は余分なお金が要りません。そういうことを考えれば、いくら社員というのは正社員にしてみても、いくらでもコストを下げるネタはあるだろうと私は思います。

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もう一つ、これは日曜日の夕方5時半から笑点という番組をやっていますよね、この間円楽師匠が亡くなりましたけれども。あの笑点に出てくる、春風亭昇太という噺家がいます。彼がテレビのインタビュアーとして、うちに来たんです、テレビ局が連れてきたわけです。彼が私を呼ぶので、
「何だ」と聞きますと、
「この建物は門衛の建物でしょう」
「そうだよ、これは門衛の建物だよ」
「門衛はいませんね」
「いないよ」
「いなくてもいいんですか」
「いなかったら悪いのか」
「でも危ないでしょう」
「危ないって何が」
「泥棒が入るでしょう」
「ああ泥棒か、泥棒は入るな」
でもこの会社は門番どころか、門にも鍵がないんです。鍵を買ったらお金がもったいないから鍵も買っていないから、簡単に門は開けられるんです。

門はあるけれども。まして門は鍵がないから開けられるんだから、門は開くし、門衛はいません。だから泥棒は入ります。そうすると、「泥棒が入ってもいいんですか」と。泥棒が入ったらいけないのか。泥棒に入ったら捕まりますが、でも日本中探しても、泥棒に入られて捕まったところはありません。泥棒に入られたら警察は来ます。警察は来ますが、泥棒に入られたからといって逮捕された人はいません。

泥棒に入ったら逮捕されますが。「泥棒に入られていいんですか」って、いいに決まっています、逮捕されないんですから。「泥棒に入られてもいい」と言うと、「泥棒に入られてもいいって、盗まれてもいいんですか」と。何でいけないんでしょうか。一番大事なことは何かと言うと、うちの場合は門衛を雇っても正社員なんです。全社員が正社員ですから。そうすると、750万かかります。750万以上盗まれたら、門衛を置いた方がいい。そこが問題なんです。

それでまた人件費が安くあがりますから。750万以下だったら盗まれた方が安くあがるので、門衛は雇わない方がいいわけです。それでコストは下げられます。うちは、プラスチックで電気の製品を作っています。こういうものは、日本は今では大体プラスチックです。プラスチックの場合は、粒が原料です。その粒の原料はたくさんあります。その割に、鉄や銅といったものはあまりありませんから、そんなに金目のものはありません。

プラスチックの粒はかなりありますが、そんなものはたかが知れています。これに限って言えば、プラスチックの原料を売っている店は日本に一軒もありません。買うと原料がメーカーから直送されてきます。これをトラックに積んで売りにいったら、一発で「お前は泥棒か」分かってしまいます。だから、ちょっと泥棒はやりにくいと思います。 もう一つ関心したのは、これもまた我々の仲間が、
「山田さんのところはセコムがないね」
「ないよ」
「(なくて)いいんですか」
「悪いのか」
「なかったら泥棒が入るでしょう」
まだ言っていませんでしたが、この会社は残業禁止ですから、暗くなったら誰もいません。電気ももったいないから、暗くなったら誰もいない。うちの工場は札幌から熊本まで8つありますけれども、これは24時間動いています。24時間動いていますけれども、事務所に泥棒が入ってガラスが割られても、工場の中はやかましいので音は聞こえません。ですから、工場の中にいる人は誰も気が付きません。だからガラスを割って気楽に入れます。「それでいいんですか」と、話がまたこうなりますね。これは社長たちが言うんです。さっきの門衛の話は噺家でしたけれども、こっちはまともな社長が言うんです。

大体早い話が、ガラスを割って泥棒が入って何を盗まれるか。お金なんかは置いていないので、せいぜい古臭いパソコンくらいです。明日にでも新品に買い替えたいくらいのパソコンを盗んでいっても、金になるんでしょうか。どこかに持っていっても、金を出したら引き取ってやると言われるくらいのパソコンなんです。大体、中小企業には碌に盗まれるようなものがないんです。現金や手形はヤバいですが、そんなものは事務所には置いていません。そのためにセキュリティ費用に、年間いくら払うのか。私は経験がないから分かりませんが、いくら払っているんでしょうか。よっぽど盗まれた方が安いのではないか、いつもそれなんです。

先程も経理の話をしましたけれども、物を買ったら支払いをしますが、経理部がないので女の子が支払いをします。それは請求書通りに払えばいいんです。「騙されたらどうするんですか」と聞かれますが、750万を超えなければ、専門の人間を雇うよりも、総務の女の子が適当にガチャガチャとやって判子を押して払えばいいんです。手形にしろ小切手にしろ。それが、例えば品物を1,000万買うとします。それで騙されて1,200万の請求書が来たとしたら、チェックする人間を雇うよりはそのまま払った方が安くつきます。2,000万の請求書が来たら、これは損です。でも社内の誰かは1,000万分を買ったんだから、1,000万買ったのに2,000万の請求書が来たらこれは大概は分かります、馬鹿でも分かります。自分が1,000万買ったか2,000万買ったかは分かります。2,000万買って1,200万の請求が来たら、これは分からないかもしれない。これはチェックする人間の給料を払うより安くつくからいいんですが。1,000万買って2,000万の請求書が来たら、大概これは分かります。だから向こうも恐くてこれはやらないと思います。

1,000万買って1,200万の請求が来るくらいはあるだろうけれども、それくらいはやられたって、人間一人のお給料よりはいいんだから。そういう事はやりたくないという人はいっぱいいるでしょうが、そんな事でいくらでもコストは下げられます。 皆さん方もテレビをご覧になってお分かりになると思いますが、私どもの本社は、廊下は一切電気を点けません。一日中電気を点けません。何故かと言うと、点けなくても歩けますから。昼間は外が明るいから、人が歩くくらいは困りません。字を書くとか本を読むには困りますが、歩くには困らないので、廊下には一切電気は点けないというので、面白がって「日本一ケチな会社」といってテレビの取材がたくさん来ます。これでもコストを下げられます。コストを下げる方法はいくらでもあります。

他にもテレビが取り上げたがるのが、今本社には300人いますが、コピー機は1台です。これもどのテレビもやりたがります、ケチがテーマですから。テレビで流していると、300人に1台がケチなんですよね。各部屋ごととか各階ごと、各課ごと、各部ごとという会社は確かに多いです。でも、要るわけがありません。テレビ局が来て、カメラを回す、その時に「この会社はコピー機は1台ですか」と私に質問したがるから、私は部屋から引っ張り出されてそこに行って、いつも言ってやるんです。

「カメラを回していても、今コピー機は動いていません。300人に1台は多すぎるから、半分に切りたいと思っています」。これをやるとむちゃくちゃウケます。でも半分に切ると、日本の技術は良いとさっき盛んに言いましたが、日本でもまだ半分で動くというコピー機はないんです、だから半分に切ったら駄目なんですよね。本当は半分に切って売ってしまいたいですが、半分に切ったらコピー機は動かないから、しょうがないから切らないんです。

今動いていない、動いていないという事は、300人でも多すぎるという意味です。でも半分で動くコピー機がないから、仕方なく置いてあります。それが各部屋に置くとか各階に置くとか、部や課ごとに置くとか、私の仲間も結構やっています。そんな事をやっていて、儲かるわけがありません。それで儲けるために、人件費を削ろう、パート・派遣にしよう、それで悪い物を造ろう。私は、これでは物の考え方が全然違うと思います。そういう事を色々言っていると、今日中に話が終わらないだろうと思いますが。

そんな事もやりまして、もうちょっと続きをやらなければいけないんですが、先程の年末年始の20日間の休暇から話が始まったんです。かなり話がずれましたが元に戻して、今度は何をやるかと言えば、8月のお盆です。九州はどうか知りませんが、本当のお盆というのは旧暦の7月15日です。旧暦の7月15日というのは、今では日本では沖縄県しかやっていません。日本政府は、明治政府が新暦に変えてしまいましたから、基本的には日本は、新暦の7月15日がお盆です。

この間が2ヶ月あります。2ヶ月あると、お墓の中の霊に悪いから、名古屋のある東海地方では真ん中をとって8月15日をお盆にしました。それは仕方がないものだから、月後れ盆という名前でやっています。本当は何も関係ないんですが。8月15日がお盆だから、お盆というのは3日間やるのが一番だから8月13日、14日、15日の3日間。3日間というのはどこでもやるから差別化で5日間。でも5日間は半端だから10日間。この会社は8月に休みが10日間あります。お客さんは3日しか休んでいなくて、後の7 日は働いていますからお客さんが怒ります。お客さんは神様と言いますが、神様が働いているんです。「休みやがって」と散々叱られるんですが。そんな事で、10日間休みます。

その前には何があるかと言えば、5月の連休です。これもまたややこしいんです。政府はゴールデンウィークと言いますが、何がゴールデンなんでしょうか。カレンダーは黒は出勤、赤は休みです。まちまちですよね、誰かの頭みたいなものです。白と黒が混じっているので、シルバーウィークとかにすればいいですね。とにかく、出勤、休み、出勤、休みと5月は色々あります。昨日は旗日だから休み。これはどの会社もそうですね。そういう時に、休みと休みの間に出てこいと言われれば社員は出てきますが、それで働くでしょうか。私は絶対働かないと思います。カレンダーが黒い日に昼間から会社に出てくると、外は明るいのに電気は点ける、お茶は飲む、電話する、これは全部会社持ちです。コストがかかってしょうがありません。

それで働く気、やる気はないんですから。昨日は休み、明日も休みで、どれか一つ出てきてもやる気はありません。やる気もない奴が、会社の金は使うんですよね。やる気はないと言いながら金を使うんだから、それでは会社ももちません。だからやる気もないのに金を使うんだったら全部休めと、12日休みました。5月の連休は12日休みになりました。カレンダーは黒いけれど、どうせやる気がないなら出てくるなということで、12日間休みです。

ちょっと面白い話があるんですが、ここらは関係ないと思いますが、うちの方は両隣りにトヨタとホンダがあって、車製造の下請け会社がたくさんあるんです。本当はサブプライムで貿易は悪いから、車屋さんも電気屋さんも全部落ち込みまして、その下請け会社も暇なんです。仕事がないんです。仕事がないから、週休4日なんです。日本政府はいいですよ、4日休みにすると、2日分は金をくれます。皆さんも休んだ方がいいですよ、2日分金をくれるんですから。2日間は土日で当たり前に休みます、後の2日間は国が金をくれるんです、何とか手当てと言って。あれはいいですよ。それで今度は5月の連休になりました。実を言うと5月の連休が終わったのが5月6日なんですが、7日、8日出てくると、 9日、10日がまた土日で連休になります。どうせ仕事はないので、車屋さんの下請けさん、電気屋さんの下請けさんは、これを全部繋げて、16日(連休)にしてしまいました。16日の休みが多かったんです。

うちもやろうと思いましたが、木・金出てくると、 9日、10日がまた土日で、社員が働くわけがないのに経費は使ってもったいないから、休みにすると16日の休みになります。しかしそうすると、未来工業が暇だと思われてしまうのが面白くなかったので、嫌々12日にしました。5月はそういうことで、12日休みになりました。それ(休み)を全部足すと140日です。140日というのは、労働省が日本で一番休みが長いと言いました。

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今度は勤務時間の話ですが、労働基準法というものがあります。それで労働者は1日8時間しか使ってはならん、8時間以上使うならば残業手当てを払えとなったわけです。そこで、日本の法律は8時間労働です。8時間ですけれども、サービス業や販売業は別にして、製造業というのは大体どこに行っても一番多いパターンが朝8時から夕方5時、これが日本の工場では一番多いです。これが標準ですが、これで8時間労働です。

どこでも朝8時だから、うちは差別化して8時半、どこでも5時に終わるから、うちは4時45分。正味7時間15分です。残業は禁止。ですから、出勤日数で掛けると1,600時間。そこでまた労働省が来て、未来工業が日本で一番労働時間が短い、そして休みが一番長いと、わざわざ言いに来ました。そういう御墨付きはもらいましたけれども、お土産はもらいませんでした。

大体社員というのは働くのが嫌なんですから、休みは多い、勤務時間は短いということをやってやれば、この会社のために頑張ろうとなるのではないかという、餌としてやるんです。そういう事をやってやれば、「山田さんは飴ばっかり」と人には言われますけれども、そういうことをやった事によって、社員たちがやりたい、頑張ろうという気になってくれるだろうと私は思っています。だからこんな事を色々とやっています。

残業にも面白い話がありまして、実は2年前くらいになりますが、NHKの教育番組で、毎週夜の10時からやっていた「21世紀ビジネス塾」という番組があります。これは中小企業にとっては面白い番組でした。何をやっていたかと言いますと、東京都の大田区には小さな町工場がゴマンとある、東大阪市にも、小さな町工場がゴマンとある。でも世界で他の誰にも出来ない技術を持っている、というとても面白い番組でした。

その中でも一番有名なのが、岡野氏です。この人は民放からNHKまで、テレビにもよく出ていますが、この人はプレス屋さんです。この中にも鉄工所の方がいらっしゃると思いますけれどもプレス屋さんです。皆さん、携帯電話をお持ちだと思いますけれど、私は給料が安いものですからデジカメも持っていなければ携帯電話も持っていません。

その携帯電話というのは電池で動きます。我々の商品、電気の物には全部コードがありますが、携帯電話にはコードはありません、電池で動きますね。小さい電池が2つあるんですが、その電池を入れる電池ケースがあります。電池が小さいのでケースも小さいのですが、この小さいケースを鉄板で、これはプレスの深絞りと言いますが、箱を小さくするためにめちゃくちゃ鉄板が薄いわけです。鉄板が薄いと、深絞りすると破れます。そういう薄い鉄板を深絞りして破れないように絞れた会社が、世界中に1社もありません。

ご存知のように、携帯電話の一番大きい会社はノキアで、利用者は何万人もいます。日本で一番大きいのはNTTドコモ、あそこも利用者が何万人もいます。誰も出来なかった、世界で誰も出来なかったことを、岡野という男はやりました。どんな会社か。たった8人の会社です。こういう番組なんです。たった8人です。何万人いる会社なんかはたくさんあります。けれども、それは誰にもできなかった、たった8人で出来たという、そういう大変面白い番組でした。そんな小さなケースのプレスが出来たから、皆さんが持っている携帯電話が胸のポケットに入る程小さくなったんです。昔はもっと大きかったらしいですね。これが胸ポケットに入るくらい小さくなったというのは、岡野氏の功績なんです。そういう番組でした。

もう一つ面白い番組があって、沖縄の美ら海水族館に世界一の水槽があります。世界一ですから大きいです。このセミナー会場の何倍もある、とても大きいものです。その世界一大きな水槽は何が問題かと言うと、水槽の中に水を入れると困ってしまうんです。水を入れると、水圧で水槽が割れてしまう。こんなに高い大きなガラスは無いのでガラスでは出来ません。

昔の車のメーター部分に付いていたガラスですが、これはアクリル樹脂というガラスのようなプラスチックがあります。このアクリル樹脂の一番分厚いやつを6枚貼らないと水圧で割れてしまいます。糊で貼るので誰にでも出来ますが、透明な板でも6枚貼ると、レンズ現象で歪むという現象が起きます。歪むと何が困るかと言うと、沖縄に行った人は見た人もいらっしゃると思いますが、すごく大きなジンベイザメが泳いでいるんです。尻尾から頭まで、タクシーぐらいの大きさがあります。そのジンベイザメが、水槽が波打ってしまうと、オコリザメに名前を変えなくてはいけなくなります。もう一つは、これくらい大きな、四角い魚が泳いでいます。これはエイといいますが、これは水槽が歪むと便秘になるということです。そういうことで、歪ませずに貼りたい、誰も貼れない、その時に日本で出来るところがありました。どんな会社でしょう。たった11人の会社です。とても面白い番組でした。

こういう大変面白いテレビ番組が、うちにも来ました。うちは建物の電気屋さんです。建物の電気というのは、一番分かりやすいのは、皆さん方がテレビを買うとコードが付いていますね。これがプラグですが、皆さんの会社のコンセントに差し込みますよね。この時に言えることは、そのプラグのメーカーはどこか。コンセントのメーカーはどこか、絶対に合わせないで皆さん買っていくんです。それで差し込んで合わなかったら、めちゃくちゃ文句を言います。メーカーは勝手なものは造れません。

その辺のテレビはとにかく薄いのも造って、大きいのや液晶やプラズマとか言って、薄いのを造る、またはブラウン管の厚いのを造る、大きいのを造る、小さいのを造る。携帯なんかはこんなに小さいですからね。ですから、テレビの業界はやりたい放題です。けれどもこっちはそうはいきません。皆さんが使って合わないとなったら、大騒動になってしまいます。誰が何を買ってもいいように、互換性、同じものを造れという法律があります。日本政府が、例えば寸法を同じように造れと法律で決めてしまう。原料は、私のところはプラスチックで造りますが、この原料はポリエチレン、この原料は塩化ビニルと、原料まで国が法律で決めてくれます。違反をしたら逮捕されます。そんな形で寸法も法律で決めてくれるんだから、技術なんか何も要りません。法律通りに造ればいいんですから。ですから技術なんて必要ありません。

だから、ローテクの後端企業と言えるんですけれども、そんなに技術のない会社に、「技術がすごいよ」というテレビ番組が、どんな理由で私たちのところに来たのかとテレビ局に聞きました。そうしたら、何と言ったと思いますか。「未来工業さんに技術がないことは分かっています」と言われました。だったら何故かと聞くと、「残業がないから」ということでした。残業なんて、そんなものどこもやっていないだろうと言うと、「どこでもやってますよ」と。どこでもやっているから、やらない会社が画になるということでした。残業の件で来たのなら話は分かるということで、テレビ局に付き合うことにしました。技術で来たのなら追い返しますけれども、残業ならと承諾して、カメラの前で心にもないことを滔々と喋りました。

何を喋ったかと言うと、朝7時に家を出る、夜7時に家に帰る。これで12時間。夜8時間寝ると、残りは4時間。この4時間を、残業をやったりして下らない会社のことに使うな。たった4時間、この4時間を自分のために使え。生きていて良かった、人間に生まれて良かったと思えるように。食って寝るだけだったら豚でも牛でもやっている。残りの4時間を残業に使ったら、残りは食って寝るだけ。食って寝るだけだったら豚と一緒だ。そんな生活はするな、人間らしく生きろ、そのためにはこの4時間を生きていて良かったなと思えるようなものに使え、それで短い人生を送っていけ。そういう事をカメラの前で滔々と喋りました。次の日にテレビを観ていたら、オールカット。一秒も映りませんでした。あれはおもしろくありませんでしたね。

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一番の問題は何かと言うと、残業手当というのは、25%余分に法律で払わないといけません。サービス残業という例はありますが、基本的にはあれは犯罪です。日本では、残業手当を払わなかったことで7人捕まっています。皆さんの会社でも残業手当を払わないと、今は内部告発が流行りですから、すぐに監督署へ社員が連絡します、そうしたら飛んできますよ。捕まえる、捕まえないは別にして、あれは犯罪なんだから。やはり商売というのは真面目にやって、ちゃんと残業手当も払ってやりたいですね。そんなところでインチキをやって金儲けなんかしたくないと私は思います。だからちゃんと残業手当は払いましょう。

平均月収が30万、これは世界で一番高いんです。戦後すぐ、敗戦後すぐは、月収はアメリカが10倍でした。今はアメリカよりも日本が高い。世界で一番高いんです。その高い30万の給料を払っていて、そこでまた残業したからと25%の残業手当を払って、それでコストが上がるんです。それで過当競争をして、どうやって飯が食えるのか、どうやったら儲るのか。だから日本人は97%が、たった4,000万しか儲かっていないんです。97% ですよ。97%と言えば、ほとんど全部です。日本の国で4,000万を超えたのは、8万社ある中のたった3%です。一番最初から言っていますが、日本の会社は儲かっていないんです。それでまた残業手当を払って、どうやって儲かるのかということになります。だから、金儲けをやるためには、残業手当を払ってはいけないと私は思っています。

そのためにもう一つどういうことが言えるかといえば、皆さんの会社も含めて、どんな会社でも人数の標準があるんです。うちは9人、うちは100人、1,000人、1万人、10万人、日本には10万人のところはありますね。100万人のところはないんじゃないでしょうか。その標準があるわけです。

うちは10人だと言ったら、9人の会社でも10人が標準ですから、10人分の売上げがないと困ってしまう。そういう時にどうするかと言うと、社長が、「あと20%足りないから頑張れ」、「あと10%足りないから頑張れ」と言うんです。その標準を超えるとどうなるか。「残業やれ」となります。標準を超えるのはいいんです、飯は食えるんだから。でもそれでは無理だと私は思います。それは何故か。社員たちも言うんです、「お客さまの要望なんだから、うちから欲しいとおっしゃるんだから」と。でも、よそにもあるんだから、ライバル会社はいくらでもあるんだからそっちから買ってもらえばいいじゃないかと私は答えます。

一番の問題は何か。日本中探しても、ライバルのない会社はありません。全部ライバルがありますので、別にうちだけがやっているのではないから、うちから一生懸命売らなくても、よそから買ってもらえばいいわけです。それよりも、8時間は飯を食うために誰でも働かなければいけません。でもそれ以上は何も働かなくていいんです。100やればそれで会社も飯が食えるんですから。それでまた残業手当まで払ったりして、色んなコストがかかって、余計逆に儲からなくなるだけです。

もっと面白いのは、これもまた一番最初に言いましたが、日本の会社は不思議ですね、たくさん買ったら安くすると言うんです。どこでもそう言うんです。たくさん買ったら安くなるんですね。日本人というのは不思議な民族ですね。全然私には理解が出来ません。流通業は、トラックにいっぱいでも半分でも、かかる費用はほぼ変わらないけれど、物というのは一番最初はメーカーが造るもので、製造業が造るのが物です。製造業は、機械で造ります。手作りもあるでしょうけれど、(基本的には)機械で造ります。機械というのはモーターで動きます。

今日は注文が多かったから速く回ろうか、今日は注文が少なかったからゆっくり回ろうというような、そんな馬鹿げたモーターなんかありません。モーターというのはどんなに注文が多くても少なくても、同じように回ります。手作りにしたって、1人で出来るものは大体同じもので、1時間に出来る数は一緒です。モーターも、回転数が同じなんです。1時間に出来る数は同じです。なのに、たくさん買ったら安くなる、これは分かりにくいですよ。

それで、たくさん買ったら安くなると言うので、スーパーで言えばJとかIとか、電気量販店で言えばBとか、そういうところは皆合併して大きくなっています。合併するとたくさん売れる、たくさん売れるとたくさん仕入れる、たくさん仕入れると安くなる。不思議ですね、これ。造る方は絶対安くなりません。むちゃくちゃ買っていったら25%の残業手当が発生します。もっと買っていったら、深夜に仕事をやるんです。深夜にやったら給料の50%です。コストは上がります。だから私はお客さんにいつも言います、「たくさん買ってくれたら値上げしますよ」と。コストが上がるんですから、値上げしなくてはおかしいんです。

それが日本の会社は不思議ですね、たくさん買ったら安くするんですから。どんなメーカーが、たくさん買ったら安く出来るんでしょうか。これは不思議だと思います。だから、うちはたくさん買ったら高くなるので、誰もたくさんは買いません。別に100さえ買ってもらえればいいんです。100以上買ってもらわなくても、飯は食えますから。ただ一つだけ言えることは、今のJやBのような大きなところは合併しますが、大体小さいところは合併もしません。10人の会社が合併もせずに、たくさん買うから安くしろと、こう言うんです。

メーカーさんは皆安くするんです、これが。それで、たくさん買ったら安くなると言うから、たくさん買う。でも会社というのは、10人しかいなかったら、10人分しか売れないんです。でも安くなるからと言って20人分買いますよね。でも10人分しか売れなかったら後の10人分はどうなるかと言ったら、これは在庫になってしまいます。在庫には経費がかかります。在庫に経費がかかったら、結局は安く買ってもチャラになってしまうんです。銀行さんから金借りてきて、在庫経費などを払っていたら、どっちが安いか高いか分からなくなります。絶対たくさん買って得するわけがありません。大手小売のJ社のように、合併で大きくしたら、それはいいですよ。大きくしないところは結局同じ人数のくせに、たくさん買うからまけろとおっしゃる。どこでもおっしゃるんです。

だから私はいつも、お客さんに向かってお説教をします。「あなたのところは規模が増えていないんだから、売れる量は同じなんだから、そんなにたくさん買ったら在庫になるじゃないか。在庫になったら在庫管理の経費がかかるんだから、差し引き五分になる、それよりもあなたのところは10人だから、10人分買った方がいい、安くなるからたくさん買うのは間違っている」と言うと、大体納得してくれるのか、頭が悪いのか知らないけれども、これで話は終わりです。そんなことで、私はたくさん買ったら安くなるという論理も全然理解できませんが、たくさん売るのが好きな会社が日本には多いみたいですね。けれども、結局儲かったかは知りませんが、どこにもないよという事が一番言いたかったんです。

今、日本でワークライフバランスというのがめちゃくちゃ流行っています。これは厚生労働省が主体でやるんですが、このワークライフバランスというのが流行っているんです。何故こんなのが流行るのかよく分かりませんが。色々と聞いてみると、どうも70歳を定年にしたいらしいです。とりあえず、ワークライフバランスをやりましょうというのが日本の流行りです。労働省と、各地の商工会議所なんかが組んでやるんですけれどね。そういうワークライフバランスをやりましょうというのが日本政府の方針です。ワークばかりではなく、ライフの方もやりましょうというのが、政府の言い分です。そういう事を言って、要するにライフというのは生活という意味ですが、日本語で言ったら仕事と生活の調和ということです。今、日本の国はそっちの方向に行こうと思って、政府がしきりに頑張っている真っ最中です。

でもやっぱり私は、社員たちに頑張ってもらう、頑張ろうという気にさせるために、先程から言っているように餌として、ワークライフバランスのライフを一生懸命やりなさいと。自分の生活を大事にして、そういうことに力を入れなさいと。8時間は飯を食うために働かなくてはいけませんが、それ以外に余分な残業なんかをやらずに働きなさいよと、そういうことを言うわけです。そういうふうな形、それは丁度ワークライフバランスという政府の言い分と、そういうライフもやらせることによって社員たちがやる気を起こすというのがドッキングするから、私はそういうテーマでしょっちゅう引っ張られて喋りに行かされるんです。

とにかく、一番の問題は社員たちがこの会社のために頑張ろうと思って頑張ってくれなければ、会社は発展しない、儲からないということが一番言いたいわけです。そのためには、ということで今までずっと喋ってまいりましたけれど、まだネタはあります。何のネタがあるかと言うと、テレビでもやっていますけれど、こういう社員旅行があるんです。旅行は毎年やりますが、5年に1回は海外に行きます。海外に行きますが、他の会社もいくらでも海外には行っていますので、どこでも行くような海外は駄目です。どこも行かないような海外、差別化の海外というのがうちの方針です。

名古屋の方の会社では、社員が積立をして、同じ額を会社も出します。社員が10万円出したら会社も10万円だして、20万円で旅行に行くというパターンがあります。差別化ですから、うちは全部会社持ちです。社員は一銭も出しません。そこで大体1億5,000万くらいは旅行にかかります。そういうことで、社員には旅行費用を持たせない。どこの会社でも社員が半分持つから、うちは社員は持ちません。差別化で、会社が持ちます。どこの会社でもやるような旅行は駄目です。よそがやらない、差別化の旅行をやれということで、皆考ました。

その時に考えたのは、ミステリー旅行です。これは800人分あみだクジを引いて、ABCを決めます。後は教えない。それで当日空港に、マイナス5度からプラス30の衣装を持って集合。全員が集まったら、Aはパリ、マイナス5度、 Bはハワイ、プラス30、Cはフロリダ、プラス30、要らない衣装は全部置いて飛んでいけと、そういう方法でやりました。

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これは、新聞が盛り上がるんです。こんな会社は日本には(他に)ないので、新聞が面白がる。それでA新聞は未来工業の記事を2回書きました。ここで言うとN新聞にあたるのが、向こうのT新聞という、野球のTですが、T新聞が名古屋の方では、ここでの西日本N新聞のようなローカル紙です。その下に県の新聞、岐阜新聞がありますね、そういう全部の新聞が記事を書く。そうするとうちの方は、岐阜県大垣市という県で二番目の街ですが、そこの市民が皆どこかの新聞を読んでいるので、皆知ってしまうんです。

皆が知ってしまうと、市民たちが、自分の友達に未来工業の社員がいたら、その友達に向かって、「お前のところはいい会社だな、すごい会社だな。とにかく俺のところの会社なんか、半分自分持ちなんだよ、それがお前のところは100%会社持ちで、しかも遠いパリとかハワイとか、去年はオーストラリア、そういう遠い所まで連れて行ってくれる。お前のところの会社はめちゃめちゃいいな。俺もお前のところの会社に入りたいな」と言って、友達が社員に誉めてくれるわけです。するとそれを聞いた社員は嬉しくなって、何かの間違いで頑張ろうと思うかもしれないと、こういう話になるわけです。

こういうネタというのは、作業服がないとか、まだまだいっぱいあります。もう3時間くらいあると足りますけれども、そんなことで、旅行から、まだ言っていなかった作業服からメセナから、いくらでもありますが、全部基本は社員にやる気を起こさせる。どんなことでも、何があったって、全部心はやる気を起こさせる、経営というのは、そういうことでやらない限り、社員が頑張ってくれないんじゃないかと思うと申し上げて、時間になりましたので、終わりたいと思います。どうもありがとうございました。

○質問者:最後にお話しされました社員旅行の件ですけれども、これは社員さんだけなんですか?ご家族も連れていかれるんですか?

○山田:海外は(家族は)連れていきません。4年間は国内、5年目は海外ですが、国内の時は(家族も一緒に)行くみたいです。その代わり一発で(全員)行かずに、部ごと、課ごとに行きます。その時は皆家族と行くらしいです。海外の時は金がかかります、1億5,000万かかりますからね。それでまた働きもしない社員の家族連れていったら大変ですから、会社が危ないですよ。だから海外だけは連れていきません。

○質問者:ありがとうございました。

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講師:山田 昭男(やまだ あきお)

未来工業㈱取締役相談役

昭和6年 中国・上海に生まれる。昭和20年 終戦直前に帰国、岐阜県の旧制大垣中学卒業後、父・山田一彦氏が設立した「山田電線製造所」に入社、専務取締役に就任。昭和40年 未来工業㈱を設立、代表取締役社長となる。平成3年 名古屋証券取引所市場第二部に上場するまでに育てあげる。それと同時に、岐阜県中小企業家同友会代表理事、同会長の他、岐阜県電機工業会会長なども歴任、地元の産業界にも大きく貢献する。平成12年 同社相談役
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14:00~16:00

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